『バロール&カティ』VS『P型センエース1号』

『バロール&カティ』VS『P型センエース1号』




「ゼノリカに仇なしている時点で、どっちみち死刑は確定。死刑囚の戯言にふりまわされるなど無様極まる。事情聴取は終わり。さっさと殺して終わらせる事にしよう」





 そう言って、バロールは、P1を駆逐しようと距離を詰めた。

 続いて、カティも援護する。


 『2』VS『1』になって、P1は、当然のように、劣勢にたたされる。


(分かっていた事ではあるが……九華を二体同時相手は……流石にキツいな……)


 バロールは、広範囲魔法で場を制圧しながら、豪快に両手の剣を振り回す。

 『肉を切らせて骨を断つ』が信条のバロール。

 思考ゼロの脳筋戦法を得意とする男の猛攻には、いつだって迷いがない。


 とにかく、被ダメージは無視して、相手を押し切ろうとする。

 その向こうでは、カティが、遠距離型の高火力技でバロールを援護している。

 高火力の弾幕を前に、ジリジリと押されるP1。


 バロールとカティではタイプが真逆。

 高火力という点では一緒だが、その出力方法がまるで違う。

 慣れていないバロールの攻撃に、P1は翻弄される。


 結果、

 あっさりと押しこまれて、


「がはっ!」


 ついには、一刀のもとに切り伏せられた。

 完全に死亡したP1。


 ――だが、また、同じように、P1は蘇生して、




「OK。だいたい分かった……もう、お前らには殺されない……」




 ボソっとそう呟きながら、自身の状態を確認するように、ぐるぐると腕をまわすP1。


 ――実際に、P型センエース1号のイカれチートスキル『無限転生・改』を見て、


「……っ……」


 バロールは目を丸くする。

 こめかみ部分を流れていく冷や汗。

 口の中が渇く。


(ぉ、おいおい……本当に、死んで蘇ったら圧力が増えたぞ……なんだ、このガキ……)



 かるくおののいていると、

 そこで、

 バロールは、背後に、救援の気配を感じた。

 それは、とてつもなく頼もしい圧力だった。


「はっはー、驚いたねぇ。蘇生するたび強くなるスキルとは。ハンパじゃない」

「……死んでも死んでも生きかえるとか……気持ちわる」

「なんだか、ジャミのチートに少しだけ似ているわね」


 パメラノに命じられて参上したサトロワス・マリス・テリーヌがそう言った。


 バロールは、救援にきた姉――ロックロック・テリーヌにチラっと視線を向けると、

 思わずホっとした顔になって、


「いやいや、テリーヌ。ジャミの『アンリミテッド・ヴェホマ・ワークス』は、無限に回復できるイカれた反則技だぜ。もし、アレの蘇生版としたら、あのガキ、ただの無敵ってことになっちまうだろうが」


 そう言ったバロールの発言に対し、

 P1が、


「やっと気付いたか? 俺の『無限転生・改』は、死んでも無限にその場で転生し続ける事ができるチート中のチート。お前らがいくら、なにを、どうしようと関係ねぇ。俺は永遠に蘇り続け、そのたびに強くなる」


 その発言に対し、大量の救援を前にしてガッツリと気が大きくなったバロールが言う。


「ふざけんな、ボケ。そんなスキルがあってたまるか、カスが」



「あるんだよ。センエースは、このチートを持っているから、最強の神になった」



 などとのたまうP1。

 この瞬間、この場にいる全員の心に、表現できない『不快感』が産まれた。

 なんというか、『お前の母ちゃんデベソ』と言われた時に近い不快感。


 自分たちの神を――つまりは、『抱いてきた信念そのもの』を穢されたような気がした。


 ――と、そこで、

 サトロワスたちに続いて現れたパメラノが、


「――確かに主は、無限転生という呪いにかかっておった」



 P1を睨みながら、ハッキリと言う。



「しかし、それが理由で神になったワケではない。むしろ、無限転生など、主の足かせでしかなかった。……我らの主をナメるなよ、クソガキ」




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