『P型センエース1号』VS『インフラレッド003』

『P型センエース1号』VS『インフラレッド003』



「……危険度修正……D-と判定。装備を変更する」



 言ってから、IR3は、銃器を捨てて、アイテムボックスから長い刀を取りだした。

 三メートルほどある、凄まじくかなり長い刀。


 IR3は言う。


「標的の自動蘇生スキルは、発動する際に、大量の魔力とオーラを必要すると推定。戦闘プランを確定。――枯渇するまで殺し切る――」


 そんなIR3の目算に対し、P型センエース1号は、小馬鹿にするような顔でニタっと笑い、


「常識でセンエースを測るのはナンセンスの極み。恥ずべき愚行。センエースを相手にする時に限り、常に最悪のケースを想定しろ。センエースは必ず、そのかなり斜め上をいく」


 P1の話などシカトして、最速で距離をつめる。

 本気を出したIR3の速度に、P1の目はおいついていない。

 あっさりとつめられて、するどい銀がきらめく。


「――ごほっ――っ――」


 P型センエース1号の心臓は、IR3の刺突によって、またも機能停止に追い込まれた。



 血を吹いて倒れるP型センエース1号。


 完全に死んだ。

 完全に、IR3の勝利。


 だが!


 またもや、P型センエース1号は、

 先ほどと同じように、光に包まれて、その場で復活する。


「っ、く、ふぅ……死ぬってのはしんどいねぇ……ここに関しては、感覚を切断して欲しいところだが……まあ、でも、それじゃあダメですよっと……わかっているさ、そのぐらい……俺は賢くないが、バカじゃない」


 なじませるように、体を動かしながら、


「死ぬのはしんどい。けどまぁ……身を持って知ったことで、銃と刀の使い方が、少し理解できてきた……さあ、ここからだぜ、IR3」


 言いながら、P型センエース1号は、

 IR3と同じタイプの刀を召喚して構える。


「戦闘力チートオバケの、異次元的なヤバさ……その身に教えてやるよ」


 ――一連の様子を見たIR3は、


(……あと二・三回ほど殺せば、流石に枯渇するはず……)


 冷静に、P1の排除に腐心する。

 迷わずに、

 ただひたすらに、

 全力で、

 P型センエース1号の抹殺に集中する。


 殺せる。

 全然殺せる!

 余裕で、殺せる!


 ゼノリカで必死に武を磨いてきたIR3の力は伊達じゃない!

 圧倒的な戦力差!

 間違いなく殺し切れる!


 そう思った!


 だが!

 次第に!



(し、信じられない……どんどん強く……っ……)



 最初は一撃で簡単に殺せたが、だんだん、殺すのが難しくなっていく。

 殺せば殺すほど強くなっていき、かつ、終わりが見えてこない。


(何度殺せば……もう5回は殺しているのに……いったい、何度蘇れば気がすむ……まさか、本当に無限……そ、そんなワケないっ)



 終わりの見えない不条理な無慈悲を前にして、焦りが産まれてくる。

 焦りは、集中力を削いでいく。

 殺せる速度も比例して落ちていく。


 ――ついに、P型センエース1号が言う。




「もう、お前の武はだいたい学習できた。そろそろお前は用済みだな……」




 言うと、P1は、踏み込み速度を加速させて、


 ――スパァ!!


 と、IR3の腕を切り飛ばした。

 血が噴出!

 反射的にオーラで止血!


「っ!!」


「腕を飛ばされたくらいじゃ悲鳴をあげないって? 流石、ゼノリカの闇……だが、お前の心はもう死んだ。もう二度と、俺に勝てるビジョンは描けない」


「ふざけるな……クソが……」


「やっと、俺の言葉に反応したな。俺が見えてきた証拠……けど、それは、つまり、お前の心に俺が潜んだってこと。お前は、P型センエース1号という絶望に染まった。……もう、お前は終わりだよ」


「ナメるなぁああああああああああ!」



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