10000を超える実験台

10000を超える実験台


 10000を超えるモンスターの群れ。

 そのどれもが最高位モンスターで、

 平均存在値は当然のように200オーバー。

 なかには、先ほどのアビス・リザードマンのような、存在値300オーバーという天才型も、まあまあ混じっている。

 そして、その10000体の中には、10体ほど、『神級』のモンスターも混じっていた。

 存在値370~390という、信じられないほどのオーラを発している強大な化け物10体が率いるモンスター軍団。


 おぞましい光景。

 その気になれば、世界を焼き尽くすのに一時間かからない巨大な魔の群れ。


 そんな、悪夢のような魔の群れを、UV1は、


(はいはい、こわいこわい)


 と、もはや無視していて、


 ゴートも、焦った様子は特になく、



「……おお、壮観だねぇ」



 ボソっと、そう言いながら、しかし、ペロっと上唇をなめて、



「けど、ぜんぜん、恐くねぇ。むしろ、ありがたい」


 歓喜に震えていた。

 当然。

 山ほどのカモがネギを背負ってきてくれた。

 こんなに嬉しい事はない。


「ぶっちゃけ、解析してしまえばすぐなんだが……ちょうど、どのくらい強くなったのか確かめたかったところ。お前らの命で実験させてもらう」


 一斉に襲いかかってくるモンスターの群れに向かって、そうつぶやくと、


「狂気のマッドサイエンティスト、ゴート・ラムド・セノワールの生体実験に志願してくれて、心から感謝する。せいぜい、必死にあがけ。無駄だけど」


 ゴートは、



「……『サモンソード・X』……」


 巨大な剣を十本召喚した。


 ゴートの周囲を浮遊する十本の剣。


「んー……念力、ムズいなぁ……勇者みたいに鋭くは動かせねぇ……」


 集中することで、剣を飛ばす事はできた。

 しかし、勇者のようにヒュンヒュンと『意志をもっているかのように動かす』のは難しかった。



「まあ、でも……」



 ザクッ、ザシュッ、スパァ――



 凶悪な魔力を込めている剣なので、適当に振り回すだけでも巨大なダメージにはなった。

 もっと言えば、放り投げるように、上へと飛ばしてから落とすだけでも、当たれば敵は死んだ。



 テキトーに十本の剣をふりまわしているだけでも、サクサクと死んでいく王級モンスターの群れ。


 そんな事をしている内に、


「ん……少しずつ分かってきたぞ。念力だけじゃ無理だが、魔力をブチこんで、自律行動を取るようにプログラミングしてやれば……」


 先ほどの1000体の中に、その手の技能や魔法が得意なモンスターもいたようで、特に訓練した訳でもないのに、ちょっとした思いつきのアイディアがすぐに形となる。


 気付けば、十本の剣は、ゴートの想いのままに動くようになっていた。


「ははは、改めて、勇者がどれだけ凄かったか分かるな。これだけ無数の技能を併用して実現させたチートコントロールによる動きよりも、実際のところ、勇者の『サテライト・エクスカリバー二式』の方が華麗だってんだから。まあ、威力の方は当然、俺の『サモンソード・X』の方が上だけど。てか、レベル差的に、そうじゃないと、逆にやべぇ」


 豪速で空間を駆けまわり、モンスター相手に無双している十本の剣。

 相手からすれば、この上ない地獄。


「ちょっと改良して、剣先に魔力を集積させ、撃ちだせるようにすれば……はは……こうすりゃ、完全にファ○ネルだな。行けぇええ、フィン・フ○ンネルッッ!!」


 ヒュンヒュンと飛びまわり、狙いを定め、剣先から熱エネルギーや雷撃等を発射するようになった十本の剣。



 王級・超王級モンスターはもちろん、

 神級のモンスターでも、まともに抗えてはいない。


 圧倒的な神々しいオーラを放つ強大な『神級モンスター』であっても、ゴートの前では、踏みつぶされる虫のように、一瞬でサクっと殺される。

 ゴートの力は異常すぎる。

 もはや、次元が違う。



 結果、

 ほんの数分で、


「うっわぁ……俺TUEEE」


 10000体のモンスターは全滅していた。

 そして、

 ゴートは、その全てを吸収する。



 ゴートの成長はとまらない。

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