百倍プッシュだ。フルバグチートで行こう

百倍プッシュだ。フルバグチートで行こう




 センの頭が、無数の未来を描く。

 効率を求めながら、どこかで『非効率と共にありたい』と願う、謎の自分が顔を見せる。


 流石に『無駄な時間がかかりすぎる』ので、スライムを延々に狩るようなバカなマネはしないが、少しばかりの『センにとっては楽しい遠回り』は受け入れるつもりでいた。


(単なる経験値の最効率回収を求めるなら、善属性の魔法を犠牲にする構えで、この世界にいる連中を全員殺し、アンデッド化させてから、俺と接続させて、延々に殺し合わせるのがベスト……だが、そういうのは、俺のポリシーに反するんでね。……効率は大事だが、それだけじゃダメ……かといって、ただの非効率は問題外……難しい……けど、このバランスを考えるのも……すげぇ楽しい)


 最初の村でスライムを2000万匹倒し続けたのは、『そういう性格だった』というのもあるが、『それ以外の方法を知らなかった』というのも理由の一つだった。


 今は違う。


 あらゆる方法を知っていて、かつすべて『実行可能』でもある。


(ただギチギチに最効率を求める必要はないにしても……スパっと強くもなりたい……さて、どうする……)



 センは、頭をフル回転させる。



(理論上の最効率手段から考えていって、そこから、好きなメソッドだけを並べていくのがベストか……理論上の最高値だと……GLは、『レベル(レベルとだけ表記した際はGLではない普通のレベルです)』がひくければ低いほど効率がよくなるから、レベルを下げた方がいい)


 GL経験値は、レベル1の時の方が、レベル1000の時よりも遥かに多く稼ぐ事ができる。

 ただ、レベル1000の時の方が、レベル1の時よりも出来る事が多いので、一概には言いきれないという点もある。


(レベルを下げた方がいいのはいいんだが……GLの振り直しと違って、『レベルのコントロール』って、根本をいじるから、色々、めんどうくせぇんだよなぁ……体をならすだけでもタルいし……外殻レベルは変更できても魂レベルは変わらねぇから、実際は、ブーストもほとんど乗らないし……うん、却下だな……)


 レベルを下げる方法はいくつかあるが、どう考えても、対価が見あっていない。


(実際、『もっとも効率がいい』のは、『本当にレベルが低かった時の俺で修行を積むこと』……なんだが……はっ、こんなもん、なんの意味もねぇ妄想だぜ。ガチ低レベルの時は、魂魄処理機構の質が低すぎて、GLのディスポなんかできねぇ)


 ゴミ以下の空論。

 けれど、楽しい妄想とはそういうもの。

 ゆえに続く、無駄思考の飛躍。


(……『今の俺を司っているシステム』と同期させた、転生直後の俺……が、理論上、最強に経験値を稼げる状態だな……くくっ……バカな妄想だ……そんなもん、無…………ぃやっっ!!!)


 ――その時、






 センに電流走る。






「そういえば、この時空って、中三の俺がいんじゃん」


 『違う世界線』の異次元同一体なら、この世界に留めていられるのは80秒が限界だが、この時空に存在している自分なら話は別。


 転移させてしまえば、制限はなくなる。


「く、くく……うぉおお! この案、おもしれぇえええ!」



 センは、天を仰いで叫んだ。



「中三の俺を、この世界に転移させて、経験値を積ませて、とことんまで強くなってもらってから融合する!! さいっこうのプラン! この計画でなら、これから先の経験値取得率は10倍……いや、かるく100倍くらいはあるか?!」


 同時進行で、もう一人の自分(ブーストつき)が経験値を稼いでくれれば、加速度的に強くなれる。



 極限を超えて、次元を超えて、もっと、もっと、もっと、果てへ!!



「……『これ』は、『このバグったような状態』じゃねぇとできねぇ究極のチート技! いいねえ! ただでさえチートな俺が、さらにバグチートを使って、掟破りの100倍強化だドン! はははははは! えっぐぅう!」


 思いつくとほぼ同時、センはさっそく、


「よーし。さっそく準備といこうか。くく……いやぁ、笑えるじゃねぇか。相当の勇気が求められる狂気の沙汰……しかし、だからこそ面白い!!」



 ニっと笑って、





「さあ、ここからは……中坊の自分を相手に、神様ごっこだ」





 ハッキリとそう口にしてから、







「……しかし、自分を相手に神様ごっこって……字面がヒデぇな」


 ボソっとそう言った。





 ――この物語は、神様になった主人公が、日本人を召喚してチートを与えるお話――



 補足します。


 この物語は、神様になった主人公が、日本人(中学三年時の自分)を転移させてフルバグチートを与えて超速で強化させてから合体することで、さらに果てなく強くなろうとする……そんなお話です。

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