絶望は終わらない。
絶望は終わらない。
転生したセンは、当然のように、全世界の王となった。
流石に逃げられなかったから、王になるしかなかった。
現世を統べる完全なる王となり、
それから、平和は長く続いた。
いつも通り、なんだかんだ、任されたら、全力を尽くしてしまうセンは、
世界平和を維持する為に、身を粉にして働いた。
『セン様……この世界は美しいね……ミシャは……この世界を守りたい……壊してしまった世界の分も……この世界を守るって誓う。もうメソメソするのはやめる……私がやったこと、許されないのは分かっている……けど、もう振り向かない……これから、ミシャは……壊してしまった命のためだけじゃなく……助けられる命のためにも生きるの』
『ミシャ……もし、お前が、今の覚悟を忘れたら……己が背負っている業を忘れたその時は、俺が、お前を殺す』
『……はい』
『だが、俺の世界を守り続けるために闘い続けるのなら……そのために努力を積み続けると誓うなら……俺も共に、お前の業を背負おう』
『っっ……セン……様……』
『産まれた事が罪だなんて言わせねぇ……それを罪だというのなら、弱さだって罪になってしまう……けど、それじゃ、あんまりだろ……魂魄を焦がすような罪をなすりつけあったって、その先には焼け野原しかない』
『ぅ……ぅう……ひっ……うぁぁ……』
『忘れるな。見失いそうになったら、前を向け。そこには、きっと、俺がいるから。だから、ちゃんと今日を生きろ。いつか、「この世界を美しいと思える自分」が美しいんだって、せいいっぱい胸を張って言えるように』
80年ほどの完全な平和の中で、センはたくさんの責任を果たした(どうあがいても不死にはなれなかったが、いくつかの条件を満たす事で、限定的な不老にはなれた)。
王として、英雄として、
時には神以上の超越者として。
もちろん、演技だった。
称号こそ、「生まれながら完全なる王」だったが、
実際は、たんなる庶民の出。
無限転生と成長チートを持つだけの転生者。
それでも、出来る事は確かにあった。
センにしかできない事が、確かにあったのだ。
世界は、センという王のもとで、美しく調和しはじめた。
もちろん、たくさんの問題はあったが、
『ゼノリカ』と二人三脚でどうにか解決していった。
ゼノリカ内部の問題も、その頃はまだ多発していた。
平和に慣れて荒れてくるバカどもの討伐。
地位に溺れるカスどもの粛清。
どうにかこうにか、必死にかけずりまわって、なんとか平和を保った。
だが、そんな平和が、ある日、突然壊された。
『ふははははは! なぜだ! 信じられん! 数多の制限が解除されている! 神の力も、完璧ではないが、一部は使える! しかも、私以外の神は、この世界に干渉できないようになっているではないか! いったい、どういう事か、さっぱりわからんが、この僥倖、決して逃しはせんぞ!! 食らい尽してやる! 第2~第9アルファまでという制限はあるらしいが、問題ない! 複数の最上位アルファ、その全てを食らい尽くせば! そうすれば、私は……超神になれる!!!』
ある日、神の世界から、一柱の『神』が降りてきた。
神の中にも、『歪んだ者』は当然いる。
その神は、『いまだに理由は不明』だが、なぜか、現世で『神の力の一部』が使え、かつ、本来ならば、神には、『現世の生命や物質にはそうそう干渉できないという制限』がつくはずなのに、その神――『バーチャ・ルカーノ・ロッキィ』だけ、その制限が、完全ではないが、少しだけ緩かった。
『全ての生命よ! 光栄に思え! 貴様らは、私になる! 私が超神となるための生贄となれるのだ! その栄誉を胸に抱き――死ねぇ!!』
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