世話焼き兄貴とマドンナと愉快な親友による賑やか青春譚
HIRO
Prologue 告白
冬彦という少年 (冬彦パート)
「はあ、はぁ、おはよ……ござっ……ます!」
「く~ろ~だぁ~、お前はまた遅刻か? 何度言えば治る?」
「す、すんません、妹が中々起きてくれなくて」
「まったくこれで中間テスト6位なのはある意味感心するよ、とっとと席につけ」
「はいっ、すんません」
息を切らし、今日も今日とて1限目の始まった頃に到着し教室のドアを俺は開く
また遅刻だ、クラスメイトが俺に目線を向けてくる、それもそうだろう、全員座って勉強に集中してたのにいきなり乱入してきたのだから。
先生に嫌味たらしい目線と皮肉をぶつけ言われながら静かに窓際一番端の席に座る。
ここが俺の席、隣には俺の事を見て同情の目線を送るイケメン君が座っていた。
「今日も妹ちゃんがお寝坊さんかい? 冬彦君」
「おはよう利康、そうなんだよおかげで朝飯が片付かなくて」
「いつも妹のお世話お疲れ様」
「黒田! 遅刻してきたのに私語とは生意気だな!」
「はい! すんません!」
「ごめん、冬彦君」
俺はそのイケメン君に労いの言葉を言われる。こいつは俺が高校で出来た初めての友人、名前を
そんな事を話してるとまたしても怒鳴られる、怒鳴らなくても聞こえますって。
「起立―――礼」
『ありがとうございましたー』
「来週からはテスト期間に入る、各々自習を忘れないように、以上」
あれから遅刻した事以外は特に何にもなく放課後を迎える事が出来た。
来週からはとうとうテスト期間、自習も復習もまぁ大丈夫だろう。
さてと、今日の夕飯はどうするかね冷蔵庫何残ってたか、あ、豚肉あったけな?
「冬彦君、なんか皆で期末試験前の気分転換にカラオケ行くっていってるけど、冬彦君はどうする?」
「すまん、妹の夕飯作らなきゃならんから先帰る、いつも誘ってくれるのに悪いな」
利康の声がする周りをクラスメイトに囲まれその中から俺に呼びかけてくれたようだが、俺は既に下校を始めているであろう妹の為に家に帰るべくその誘いを断る。
利康もそれが解ってる上で俺に声をかけて自分も俺がいかないならいいやとその誘いを断っていた。
「悪いな、断る口実に冬彦君をだしにして」
「構わないさ、それじゃ俺は妹の為に帰るんで、そんじゃ」
「おう、またそのうち遊びに行くね」
利康が自転車置き場で自転車を出している俺に声をかけさっきの事を謝る。
別に謝る事でもないだろう、俺は気分悪くもしてないしな、さてと今日は豚汁にでもするか妹は豚肉というか肉好きだしな、無かったら野菜炒めだ。
「ただいまー」
「あ、お兄ちゃんおかえりー!」
「おう、いい子にしてたか? 手は洗ったか? 何か学校のおたよりは?」
「うん、あきちゃんいい子にしてたよ、手も洗った、学校からおたよりは無いよ!」
「そうかそうか、すぐに夕飯にするからもう少し待ってろよ」
「今日のお夕飯なにー?」
「今日は豚肉が残ってたと思うから豚汁な」
「やったー! あきちゃん豚汁大好き」
「ならよかった」
自転車を思い切り漕いで自宅へと帰ってくれば一人の少女が思い切り飛びついてくる、アメリカ人の血が混じっているが為、茶色の髪色に茶色の瞳をした俺の最愛の妹、
「今日はね、学校でね―――」
「うん、そうか」
「それでね、それでね」
「そうかそうか」
「ご馳走様でした! お風呂入ろ、お兄ちゃん」
「丁度沸いたみたいだしそうするか」
夕飯を食べながら秋穂の一日の話を聞きその後はお風呂に入れてやり、一緒に寝るこれが俺の日常、高校生として勉学に励みながら、仕事に忙しい母の代わりに妹の面倒と家の事すべてをやりくりする、黒田冬彦、高校一年生の日常だ。
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