第71話 二日目の始まり
「·····俺は最低だ」
強い雨がユウキの体を打ちつける。
ユウキは、一人打ちひしがれていた。
「なんで気づいてやれなかったんだよ!」
心からの叫びは、誰にも届くこと無く消えた。
「どこ行く、水族館? 海?」
2日目は、沖縄散策。
と言いつつもただの自由行動。
俺たちの班は、凌太、小倉、美月、小森、俺だ。
まぁ、いつものメンバーだな。
「結局、水族館行かなきゃだろ」
俺のゴリ押しにより、水族館に決定。
有名なので名前は知っているが、初めてだ。
「タコ居るかな?」
「だいぶコアだな、タコ狙いなんて」
美月の好みは、相変わらず変わっている。
タコ狙いなんてそうそういるもんじゃない。
「だいぶ微妙だけどな、タコって」
「そ、そんなことないよ! 可愛いし」
「可愛いか?」
水族館まで道中で、そんなタコ談議を繰り返した。
「うわぁー、すっげぇぞ」
「本当ね」
ユウキ達が目にしているのは、巨大水槽。
イワシの群れや、ジンベイザメなどが泳いでいる。
「私は、鮪が1番好きかな」
「なんで?」
「美味しいから」
水族館で、1番言ってはいけない思っては行けない事を、小森は平気で言う。
心無しか、魚が少し離れた気がする。
「怯えてるぞ、魚たちが」
「脂乗ってそうね」
「やめてやれ」
お次は、ふれあいコーナー。
小さいサメや、ヒトデが居た。
「き、気持ち悪いわね·····」
「なんか遠くね?」
小倉は、だいぶ後ろから眺めているだけだった。
「ほら触ってみろよ」
「次会うときは最高裁ね」
少しヒトデを持っていっただけで、こんなことを言う。
過激派だ。
「イルカショーだぞ! みんな」
「お前すごいな、もう疲れたよ」
ユウキ以外の4人は、人混みに揉まれて疲労困憊。
テンションが明らかに、下がっていた。
それでもイルカは凄かった。
「飛んだぞ! 高っけぇ」
「すっごい」
始まるとみんな元気を取り戻した。
「あのイルカ絶対に許さないわ·····」
「いつか食ってやる」
小森と小倉は、最前列で見ていたために、水しぶきの餌食となった。
海に入って来たのかと思うほど、ビショビショだった。
「やっぱ魚って良いわねー」
お昼ご飯は、魚料理を食べた。
魚を見た後だったので、心が痛む。
「お前よくそんな食えるな·····」
「え? 魚嫌い?」
「好きだけどさ、情が湧いちゃったんだよ」
小森は神経が腐っている。
俺たちは命を頂いて生きている訳だが、多少はあるだろう。
こいつにはそんなもん無い!
「お前、いつか魚に復讐されろよ」
そうなったら絶対に味方してやるよ。
ユウキは誓った。
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