恋が始まる修学旅行編

第66話 悪夢の始まり

文化祭が終わっても、2年生はゆっくりしていられない。

次の行事が迫って来ているからだ。


「修学旅行だー!」


高校の最大の行事だ。

修学旅行の場所で、高校を選ぶ者も居るらしい。


「我が高校は沖縄か·····」


沖縄と言ったら海。

海と言ったら水着だ。


「ぐへへへ」

「ユウキ、引かれてるぞ·····」


凌太が浮かれる俺に、声をかける。

クラスの視線がこっちに集まっているのに、気づく。


「だって楽しみだろ?」


修学旅行は3日間で、一日目はホテル、二日目以降は民泊だ。

しかも民泊では、泊まるメンバーは完全くじ引き。

己の運が試される。


「俺の今までの悪運はこの為だろ? 頼むぞ」


ユウキの災難は全ては今日のため。

理想は女子。


「これだっ!」


ユウキが引いたのは8番。


「頼んだぞ、俺の運」


一つの家に2人が泊まる。

基本的には、同性同士らしいが、人数の関係上完璧にそうは行かないらしい。


「どんなに望みが薄くても、掴み取ってみせる!」


カッコつけているが、彼を動かす動機は煩悩である。


「誰だー! 俺と泊まるのは」


番号を引いた女子の中で一人、分かりやすく表情を歪ませた者が居る。


「み、御影君·····、何番?」

「まさかお前が·····」


このまで来ると何かの力が働いているのではないか。

そう思ってしまうほどの偶然。


「どうして8番を引いてしまったの·····」


小倉は地面に膝をつき、絶望していた。


「ひとまずはラッキー!」


波乱の修学旅行がスタートする。













  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る