第9話 俺に快適なスクールライフを
全裸のバットマン、次の日から俺は家でそう言われるようになった。
理由は、全裸で飛びおりる姿がバットマンのようだったから。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい、バットマン」
血も涙もないわ、うちの家族。
仲は悪くないんだけどな。
「ユウキ、おはよう」
「ぎっ!」
めちゃめちゃ普通に挨拶してくる美月に、変な声が出た。
そういえばこいつは一日寝たら、大抵の事を忘れる奴だった。
「一緒にいこ!」
「うん、良いよ」
俺たちは美月の部活がない日は一緒に学校に言っている。
ちなみにバトミントン部だ。
俺は帰宅部。
「今日は部活あるのか?」
「うん。今日はあるよ」
うちの学校の部活動は緩い。
気が向いた時にしか練習をしない。
「何時ぶりだっけ」
「んー、前にあったのがクリスマスだから·····」
「約4ヶ月も空いてんじゃねぇか」
恐らく、クリスマスパーティーだろ。
そん時の部活は。
「だから今日は帰れないよ」
「おっけー」
そんなこんなでもう学校だ。
地獄が始まる。
俺が気をつけることは2つ、小倉風夏に近づかない事、クラスで浮かないことだ。
なんとかして今日中にはクラスLINEに入りたい。
「おっはよー」
「おはよー!」
先頭を切って美月が元気よく挨拶をする。
クラスの殆どはそれに返す。
次は俺の番だ。
「お、おはよー」
「·····」
だーれも返してくれない。
挨拶とはこんなにも虚しいものなのか。
「よぉ!」
「おっはー」
遅れてきた凌太の方に注目がいった。
羨ましい。
「ユウキじゃん、なんで昨日来なかったの?」
「え、いや·····」
クラス会の事だ。
まず誘われてないなんて口が裂けても言えない。
「ちょっと予定があって·····」
「そうか、じゃあ仕方ないな」
眩しい、今はこいつの笑顔が眩しい。
「凌太? なんでそんな奴と喋ってるの?」
来たよ、ギャルが。
髪の毛くるくるで化粧厚すぎの典型的なギャルだ。
同時に数人の取り巻きを引き連れている。
「こんなキモイ奴はほっといた方が良いって」
「「まじそれー」」
ギャルとその他がまじでウザイ。
しかもこいつらいちいち声でかいから、クラス中が注目してくる。
「で、でもユウキは俺の友達だし·····」
「えー、凌太こんなのと友達なの?」
「「幻滅ー!!」」
どうすりゃいいんだ? 逆らったらクラスでの人権がなくなってしまう。
「や、やぁ! 僕は御影ユウキ、あなたは?」
「話しかけないでくれる? ストーカーにセクハラ野郎」
爽やかに挨拶をする作戦、失敗。
「あん? てめぇ舐めた態度とってると大変な目に合わすぞ?」
「上等だよ、返り討ちに合わせてやるよ」
本当はヤンキー作戦も失敗。
本物の前には偽物は勝てない。
「あんたはうちらの風夏に手を出したから許さないの」
小倉と目が合う。
直ぐにお互い逸らしたのだが。
こいつわずか一日でクラスの奴らを手玉にとりやがって。
「べ、別に小倉さんとは何も無かったけどな」
「聞いたけどね、色々と」
ギャルは小倉から聞いたことを全て言い出した。
ストーカー、セクハラと姉を使って手を出そうとしたとかなんとか。
「ユウキ、あんま小倉さんに逆らわない方が良いぞ」
凌太を初めとした男子連中は、全員顔を真っ青にしていた。
心中お察しします。
きっとクラス会で何かあったんだろう。
あいつ絡みで。
「てことで凌太はこいつと喋んないでね」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ」
凌太の意見はガン無視で決まったらしい。
こいつが裁判官とかだったら末恐ろしいわ。
「ユウキごめんな、少し待っててくれ」
「平気だよ、俺にはまだ美月が·····」
「美月ちゃんもダメだよ」
「──っ!」
神様、これはいじめでは無かろうか。
元々は冤罪でした。
あいつの被害妄想のせいで俺の新学期は、わずか二日にして終焉を迎えた。
俺は小倉風夏に復讐を誓った。
「ぜってぇ許さん、あんの野郎」
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