凄いよ、出来るんじゃん

 なんだ出来るんじゃん

 やってみたら出来たよ


 なんだ凄いじゃん

 いいとこ一つも無いかと

 思ってた


 パパとママの機嫌が悪いのも

 妹が悲しそうなのも

 兄ちゃんが怒っているのも

 クラスメートが意地悪なのも

 僕のせいかと思ってた


 他人の気持ちが過敏に受け取れて

 他人の感情が自分に入り込んでしまう


 僕はこもりがちになって

 学校にも行かなくなった

 ううん、行けなくなっていた


 良いことが起きるのは

 誰かのおかげで

 悪いことが起きるのは

 僕のせいかと思ってた


 流れ込む人の感情の波を

 僕はもう防ぎ続けることは

 出来なかった



 そんな時に

 君に

 出会った!


 君は前向きで

 社交家で頑張り屋さん


 君が僕を外に連れ出す

 明るいお日様の下で


 君とかけっこして

 得意じゃない鉄棒もした


「なんだ出来るんじゃん

 凄い! 凄いよ!」


 君が大袈裟なぐらい

 褒めてくれた


 僕なんて

 いいとこ一つも無いかと

 思ってた


 君のおかげだよ


「また遊ぼ」

「うん」


 無理しなくて良いって

 君が言う


 また遊ぼって

 君が言う


 僕はほんの少し

 勇気を出して


 前へ行こうと思った


 何が待つかは

 分からないけど


 外の世界へ


 足を

 ようやく一歩

 また一歩ずつ

 踏み出して行くんだ




  

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