第270話 鳩羽村ダンジョン攻略(8)
3時間ほど休憩を取ったところで、11階層へと降りてスマートフォンのアプリを見ながら移動をする。
「ふむ……」
「山岸さん、どうかしましたか?」
「いや――、別に……」
一応、俺はSランク冒険者という事になっている。
そして、相沢にはそのように説明している。
なので――、スマートフォンのアプリに表示されている休憩所と書かれている場所に首を傾げてしまう。
少なくとも貝塚ダンジョンを攻略した時には休憩所なんて見たことがない。
まぁ、目的地まで一直線で進んだという事もあり見落としていた可能性が無いわけでもないが――。
「そろそろ休憩所が見えますね」
どうやら、アプリを見ながらダンジョン内を歩いていたのは俺だけではないようだ。
5分ほど歩くと、大きな空間に出る。
空間の広さは、東京ドームのグランドほどの広さだろうか?
高さは100メートル前後、円上に広がっている空間の直径は100メートルほど。
「やっと着きましたね」
「……」
ダンジョン11階層の――、広大な空間には幾つもの建物が建っている。
主に存在しているのはプレハブ小屋だが、色は黒と落ち着いた雰囲気を醸し出している。
「ホテルか……」
まぁ、ホテルと言うと語弊があるが鳩羽村ホテルと書かれているから、ホテルでいいだろう。
それよりも従業員は、全員が日本ダンジョン探索者協会の連中が着ていた学ランやセーラー服などを着ていることからホテルの業務にはどうやら日本ダンジョン探索者協会が絡んでいるようだな。
「山ぎ……、ピーナッツマンさんは休憩とかはどうしますか?」
「そうですね。とりあえず、このまま進むというのはどうですか?」
ミドルポーションを飲ませたのだ。
このまま強行軍でダンジョン内を探索させても大丈夫だろう。
むしろ、すでに12時間近くダンジョン内に潜っている。
そんなにダンジョンに潜っておくのはおかざりの会社の社長をしている身として不味い。
「もう無理です。休んでいきたいです……」
「…………分かりました」
「――! そ、それではホテルの宿泊をお願いしてきます!」
俺から離れて鳩羽村ホテルの従業員に話しかけている相沢を他所に俺はスマートフォンで検索をかける。
もちろん検索項目は、ダンジョン内の休憩所というキーワードだ。
「なるほど……」
どうやら、Dランク以上のダンジョンに限って10階層ごとの節目の次の階層には必ずモンスターが出ない休憩できる階層があるらしい。
ただし、Aランク以上のダンジョンには存在していない。
そしてEランク以下のダンジョンにも休憩できる階層は存在していないことが分かる。
そうなると攻略をするのが前提の場合には、B・C・Dランクのダンジョンで狙った方が良いのかも知れないな。
休憩所があるかないかはダンジョン攻略には大きな影響がありそうだし。
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