第267話 鳩羽村ダンジョン攻略(5)

 階下へ降りる階段は、鳩羽村の日本ダンジョン探索者協会が情報を提供しているアプリを参考に歩けばすぐに見つかった。

 すぐに階段を降りる。

 降りていく度に、辺りにはコツコツと言う音が鳴り響く。

 

「2階層ですね」


 階段を降り切った場所――、通路で相沢が辺りを注意深く見渡しながら話しかけてくる。

 降りた場所が通路だったので、前後を注視すればいいだけだ。

 そこまで気にしなくていいと思うんだが――。


「とりあえず8階層まで急ぎましょう」

「はい」


 スマートフォンのアプリを起動したまま、3階層へ降りる階段へと小走りで向かう。


「山岸さん。知っていると思いますけど……。一応ですけど、ここのダンジョンは難易度が中くらいですので2階から罠とかありますけど」

「ああ、大丈夫です」


 そう答えながらスキル「神眼」でダンジョン内を見る。

 



 ――罠を感知しました。

 ――120メートル先の床を踏んだ際に500グラムの石が落下してくる罠です。




 たいした罠ではない。

 まぁ、後ろから付いてきている相沢に何かあると面倒な事になりそうだ、

 先に罠を潰しておくのもいいか。


 小走りで走りながら、親指を人差し指で押さえたあと弾く。

 所謂、空気の指弾――、空気砲と呼べる物。

 空気砲で、ダンジョン内の天井に配置されている罠を次々と破壊していく。

 距離は100メートルほどあるだろうから、相沢が気が付くことはない。

 2階層までは3分も掛からずに踏破。

 3階層に降りたあとは、4階層まで向かう間に魔物が一匹でるが、もちろんレベル上げを兼ねて相沢に倒させる。

 もちろん指弾で四肢を破壊するというサポートはしたが――。

 

 ……そして、8階層に到着。

 3階層から8階層に降りる階段までは適度に戦闘をこなした事もあり相沢のレベルは順調に上がっている。


「あの、山岸さん……」

「何でしょうか?」


 彼女が、難しそうな表情で俺を見てくる。


「ステータスオープン! やっぱり……私のレベル、すごいことになっているんですけど……」

「レベル171ですね」

「はい」


 彼女の頭上には、ステータスレベルとHPとMPが表示されている。

 そこには、

 



 LV171

 HP1710/HP1710

 MP1710/MP1710




 ――と、表示されている。

 まぁ、俺のスキル「神眼」で確認すると、




 ステータス 


 名前 相沢(あいざわ) 凛(りん)

 職業 自営業 ※小料理屋店主

 年齢 23歳

 身長 155センチ

 体重 46キログラム

 

 レベル18→171


 HP1710/HP1710

 MP1710/MP1710


 体力17(+)

 敏捷23(+)

 腕力14(+)

 魔力 0(+)

 幸運 6(+)

 魅力21(+) 


 所有ポイント4→157




 もっと多くの情報が表示されている訳だが――。

 とりあえず、日本刀を持っている相沢は、まだ重量を感じるのか重そうな素振りを見せているので――、


「相沢さん。身体強化の魔法を掛けます」

「――え? あ、はい? えっと……、魔法ですか? 魔法って、スクロールなどで覚えるアレですよね?」

「そうですね」


 まぁ、俺の魔法は魔法じゃないんだけどな。

 何故ならステータスを上げるだけの方便に過ぎないのだから。




 ステータス 


 名前 相沢(あいざわ) 凛(りん)

 職業 自営業 ※小料理屋店主

 年齢 23歳

 身長 155センチ

 体重 46キログラム

 

 レベル171


 HP1710/HP1710

 MP1710/MP1710


 体力17(+)→57(+)

 敏捷23(+)→63(+)

 腕力14(+)→54(+)

 魔力 0(+)→37(+)

 幸運 6(+)

 魅力21(+) 


 所有ポイント157→0




「どうですか?」

「――え? 魔法発動したんですか?」


 まぁ、佐々木の魔法を見ていれば分かるが魔法を発動する前には、魔法名を言わないといけないらしいからな。

 ただ、今回はステータスを弄っただけで魔法ではない。


「Sランク冒険者なので」

「なるほど……」


 高位の冒険者と一緒に探索をした事がない相沢は、魔法の言葉「Sランク冒険者なので」という言葉に頷く。


「それにしても身体強化の魔法ってすごいですね。さっきまで重かった日本刀が羽でも生えているかのように軽いです!」

「それは良かった。それでは相沢さんのレベルも上がったことですし43階層まで急ぎましょう」

「そうですね。――でも山岸さんはすごいですよね? たくさんアイテムボックス持ってますし」

「まぁ……、Sランク冒険者なので」


 4階層からは牛系の魔物が出てきた。

 そして牛は、牛丼の素材になる。

 つまり、俺がそれを見逃す訳がない。

 魔法「アイテムボックス」を常に発動させ倒した牛を丸ごとアイテムボックスの中に突っ込んでいる。

 もちろん、アイテムとしてのアイテムボックスで収納しているように相沢には見せかけて――。

 すでに俺の魔法「アイテムボックス」の中には牛が53頭入っている。


 相沢からの質問を適当に誤魔化しながら歩き――、9階層に降りる階段を降りていく。






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