第259話 鳩羽村ダンジョン(4)
小料理屋を出たあとは商店街を歩く。
「まだ朝8時だと言うのに殆どの店が開いているのか。普通は、朝9時から11時の開店が多いはずだが……」
時間帯的に、人通りも少ないと思っていたが思ったよりも人通りが多い。
ざっと見渡しただけでも200人近くは商店街の通りを歩いている。
「冒険者の朝は早いですから」
「そうなんですか?」
「はい。朝、早い方が多くの時間、迷宮に潜れますから。あとは他の冒険者との狩場での鉢合わせも減りますから」
「鉢合わせが減る?」
「深い階層に潜れるからというのが一番大きいです」
「なるほど……」
相沢の言葉に頷きながら後ろを付いていくこと5分程。
常人なら3分ほどで抜けることが出来る商店街を抜けたところで5階建てのコンクリート製の建物が見えてくる。
「日本ダンジョン探索者協会津市鳩羽村支部か」
建物に掲げられている看板を見ながら口ずさむ。
それにしても山間部にあるとは思えないほど立派な建物だな。
松阪支部よりも立派だぞ。
「山岸さんは、此処の探索支部に来られるのは初めてですか?」
「そうですね」
頷きつつ、日本ダンジョン探索者協会支部には一度しか言ったことがないがな! と、心の中で突っ込みをいれておく。
「それにしても、前から気になっていたんですが――」
「はい?」
「俺達は、探索者のことを冒険者と呼んでいますが、どうしてなのかなと――」
「行政関係者は、ダンジョンを探索する人達を探索者と呼んでいますよね。でも、冒険者というのは、一般人がカッコいいからという理由でつけたのが始めらしいですよ、ほら! ゲームとかでも、迷宮攻略をするのは冒険者って相場が決まっているらしいじゃないですか!」
「なるほど……、かなり単純な理屈だったんですね」
まぁ、そういうカッコいいからという理由だけで決めるのは悪くはない。
「はい。あと、行政関係者はダンジョンで手に入る鉱石をモンスターから取れるからモンスターコアと呼んでいますけど、一般人はダンジョンコアっていっているみたいな感じですね」
「それも……」
「カッコいいからって理由みたいですよ」
「何という適当な理由なんだ……」
まぁ、分れば問題ないけどな。
「あ! 山岸さん、見えてきました!」
日本ダンジョン探索者協会津市鳩羽村支店の入り口が見えてきた所で、様々なゴルフバックのような物を背負った人だかりが見えてくる。
中にはキャンピング背負った者の姿もある。
「鎧を着ているのも居るぞ」
「あー、時たまいますよね。でも、鎧を着ているのは手荷物を増やしたくないって考えからみたいですけど……」
「そうなんですか」
それにしても日本甲冑を着ている集団とか、どう見てもどう考えてもコスプレにしか見えない。
まぁ、一応――、スキル「神眼」で確認しておくか。
【アイテム名】
日本甲冑
【効果】
オリハルコンとニッケルクロム鋼を合成した金属繊維を編み込んだ鎧。
重力軽減を発生させるオリハルコンにより鎧の重さが軽減。
多重構造により防御力が非常に高く、対戦車ライフルを無効化する事も可能。
「すごいな」
「山岸さん?」
「いや、何でもない」
それにしても、日本甲冑がすごいというか、あの鎧の性能ハンパないな。
「やっぱり山岸さんも、あの人を知っているんですか?」
相沢が指差したのは、やはりというか日本甲冑を男たちで――、「あれは、ギルド【戦国無双】のSランクのパーティですよ。オフィシャルサイトもあって100人近くの冒険者が在籍している国内でも有数のギルドなんですよ」
「へー」
まったく知らん!
とりあえずトップランカーというかSランク冒険者のレベルというのを後学の為に見ておくとするか。
名前 織田(おだ) 信伯(のぶはく)
年齢 41歳
身長 188センチ
体重 91キログラム
レベル1187
HP11870/HP11870
MP11870/MP11870
体力51(+)
敏捷43(+)
腕力49(+)
魔力 0(+)
幸運 6(+)
魅力11(+)
所有ポイント1186
「なるほど……」
「山岸さん、どうかしましたか?」
「いえ、なんでも――」
それにしても、思ったよりレベルは高くないんだな。
「何でもないのでしたら、私達も並びましょう!」
手を引かれて冒険者たちの列の後ろに並ぶ。
それにしても、一番レベルが低いのでレベルが4か……、かなり差があるな。
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