第100話 激戦! 激闘! 海上決戦!(3)
「熱い戦いか……」
クーシャン・ベルニカの言葉に応じながらも冷静に心の中で打開策を練る。
時間は殆ど残っていない。
核爆弾を処理する時間もない。
スキル「大賢者」のサポートも得られないことから、魔法:草薙の剣を使う事も出来ない。
しかも、魔物まで現れていて、アクアラインは落とされ――、海底から川崎市に繋がるアクアラインは岩盤により通行できない。
――そして……、目の前に立っている男。
レムリア帝国の四聖魔刃の一人クーシャン・ベルニカは、完全に俺をターゲットとして見てきている。
完全に手詰まり状態。
「何だ? 何も言う事はないのか? それとも諦めるのか? 正義の味方」
俺は正義の味方なんかじゃない。
ただ――、目の前に居る誰かには死んでほしくないだけ。
それは、俺の確固たる意志であり信念。
しかし、打開策が浮かばない。
どうすればいい?
「やれやれ――、我が此処まで出張るとは思わなかったのじゃ」
唐突に声が聞こえてくる。
それと同時に、屋根の上に姿を現したのは――。
「マスターからの伝言じゃ。袖ケ浦に通じる道は魔法で簡易的な復旧をしているとのことなのじゃ! すぐに、袖ケ浦の方へ向けて避難するようにとのことじゃ」
階下から空中に飛び出して――、そう俺に告げてきたのは見た事がない等身20センチほどの魔物。
ただし、スキル「神眼」が、その魔物を【狂乱の神霊樹】だと看過する。
「狂乱の神霊樹か?」
「そうじゃ。マスターからの伝言はしかと伝えたのじゃ。信じるかどうかはお前次第じゃがな!」
マスターというのが、誰か知らないが――。
避難路が確保できたのなら、それだけで十分。
「(江原、藤堂、聞こえるか?)」
「(あ、はい!)」
「(はい! どうかしましたか?)」
「(俺の知り合いが東京湾アクアラインの――、袖ケ浦まで繋がる道路を魔法で簡易的に復旧させたようだ)」
「(復旧ですか? あれほどの爆発で落ちた橋を復旧できるほどの魔法を使える方が知り合いにいるのですか?)」
藤堂が疑問の声を上げてくる。
たしかに、アクアラインを復旧させた人物が気にならないと言えばウソになるが――。
いまは、それを問いただしている時間はない。
「ああ、知り合いにいる。とりあえず避難民を連れて袖ケ浦に繋がる道を通り【海ほたる】から脱出してくれ)」
「(――わかりました。それで山岸さんは?)」と、藤堂。
「(現在、クーシャン・ベルニカと交戦中だ。核爆弾のこともある。すぐには撤退は出来ない。まずは避難民の誘導を任せる。それと、これも命令だ!)」
一方的に、チャットログを切る。
「狂乱の神霊樹、お前のマスターが誰か知らないが……、いまだけは感謝しておく」
「感謝などしなくていいのじゃ、これはマスターの意志。それと、ピーナッツマンとやら、その爆弾の位置とやらを教えてやるのじゃ。アクアラインのトンネル内部に1個。あとは、この建物の下層領域に1個、そして、その目の前に転がっている爆弾の計3個あるのじゃ」
「きさまら……、戦いの最中に……、どこを見て――、俺を差し置いて会話している!」
「くるぞ、ピーナッツマン!」
「分かっている!」
肩の上に、【狂乱の神霊樹】が乗ってくると同時に振り下ろされたイガリマを避ける。
「ピーナッツマン、お主の力なら――、太平洋上空まで爆弾を投げられるじゃろう? 成層圏を超えたところまで飛ばせば、この手の爆弾は殺傷力を抑えられるのじゃ!」
「そうか――」
解除ではなく、その手が――。
クーシャン・ベルニカの攻撃を避けたまま床の上を転がつつも、タワーの上に置かれている核爆弾を手に取る。
核爆弾の大きさは直径2メートルほど。
いくら身体能力がステータスで底上げされているとしても――、投げたところで10キロメートルも飛ばすことが無理なのが直感で理解出来てしまう。
「駄目だ。力が足りない」
「身体強化魔法を使えばいいのじゃ」
そんな――、都合のいい魔法なんて覚えてな――。
…………そういえば……。
視界内からステータスの項目を選び開く。
スキル
▽「ロリ王LV1」(+)(ON/●OFF)
▽「JK交際LV1」(+)(ON/●OFF)
▽「隠蔽LV10」(●ON/OFF)
▽「ポーカーフェイスLV1」(+)(ON/●OFF)
▽「#JWOR」
▽「ZH)N」
▽「大賢者」(●ON/OFF)【頑張った自分へのご褒美のため長期休暇中】
▽「アルコール耐性LV10」(●ON/OFF)
▽「救急救命LV10」(●ON/OFF)
▽「限界突破LV10」(ON/●OFF)
▽「バーサクモードLV10」(ON/●OFF)
▽「威圧LV10」(ON/●OFF)
▽「MAP作成LV10」(+)(●ON/OFF)
▽「暗視LV10」(+)(●ON/OFF)
▽所有ポイント 5
スキルの一覧が、視界内に半透明のプレートに表示される。
俺の記憶が正しければ……。
▼「限界突破LV10」(ON/●OFF)
一時的に、全ステータスの上限を引き上げることができる。
接続時間 LV1 X5分
上限引き上げ LV1 X20%
今まで使ってこなかった。
だが、このスキルを使えば――。
迷わずスキル「限界突破LV10」をアクティブへと変更する。
それと同時にステータスが引きあがると同時に、黄色のプレートが開く。
――レベルが1000を超えた時点での「限界突破LV10」の使用は、現し世に顕現していられる時間を減らすことになりますが使用しますか(y/n)?
現し世に顕現? どういう意味だ?
どうして、そんなことを俺に聞いてくる?
とりあえず時間がない! 考えている時間が惜しい。
俺は迷わず(y)を押す。
それと同時に、体中から金色の炎が舞い上がると同時に、視界内のステータスが更新される。
ステータス
名前 山岸(やまぎし) 直人(なおと)
年齢 41歳
身長 162センチ
体重 66キログラム
レベル1(レベル1100)
HP 10/10(11000/11000)
HP 10/10(11000/11000)
体力217+〔4774〕(+) →4991+1098020
敏捷215+〔4730〕(+) →4945+1087900
腕力216+〔4752〕(+) →4968+1092960
魔力100+〔2200〕(+) →2300+506000
幸運100+〔2200〕(+) →2300+506000
魅力103+〔2200〕(+) →2303+506660
▽所有ポイント 5
「どこを見ている!」
ステータスの確認と認証に意識が集中していた。
その隙をついて背後からクーシャン・ベルニカが人造兵器イガリマを振り下ろしてくる。
俺は、その様子を一瞥しながら左手でイガリマを粉砕する。
「――ば、ばかな……、破山剣とも言われた俺の剣を……、おのれ! きさま!」
さらに横薙ぎしてくるシュルシャガナすら、俺は左手の手刀で打ち砕く。
2本の大剣の破片が空中に舞い上がるのを片目で見ながら右手に持っていた核爆弾を太平洋に向けて全力で投げた。
第一宇宙速度に近い速度で投げた核爆弾は、そのまま宇宙空間の彼方へとその姿を消す。
おそらく引力に再度引かれて落ちてくるだろうが、人体に被害が出る前には爆発するだろう。
残りの核爆弾は2個!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます