第80話 エルフの里

最後の目的地のエルフの森に向けて旅を再開する。

やっと解放されたポチが俺の膝の上で丸くなって眠っている。

俺はマップを確認しながら偵察を発動し、周囲を確認している。

リッカが軽快に街道を駆け抜けている。

偵察機が何か発見したので千里眼で確認すると煙が見えた。

ティアの力も借りて詳細を調査すると遠くに見える山に温泉が湧いているそうだ。

温泉好きの元日本人としては行かない選択肢は無い。

早速横道にそれ、温泉に向かった。


温泉は山の中腹ほどに湧いていた。

しかし、残念ながら入れるほどのスペースはなく、しかも高温すぎる。

鑑定すると炭酸水素塩泉で通称美人の湯と言われているものだった。

これは温泉玉を作って自宅で楽しもうということになり、温泉玉の大量生産が始まった。

我が家の女性陣は美人の湯と聞いて早く入りたいと騒いでいる。

王族や貴族たちへの手土産にも良いだろう。

インベントリに大量の温泉玉を収納し、旅に戻った。


これと言って何もなく数日が過ぎ、そろそろエルフの森が見えてきても良いところまできたがそれらしきものが見当たらない。

ティアに確認するとエルフの森は幻惑で外からは見えなくなっているらしい。

ここはハイエルフのミレーに任せることにした。

ミレーの指示でリッカを誘導していくと突然視界が変わり、天を貫くような巨大な木が現れた。

あれがエルフが守っている世界樹なのだろう。

世界樹の元にエルフの里がある。

門に着いたので交渉をミレーに任せた。

昔は相当厳しかったそうだが、今は交易も盛んにしているため身分証さえしっかりしていれば普通の町と同じ様に入れるそうだ。


里に入ると森人と呼ばれるだけあって、家は自然の木をそのまま利用したような建物になっていて幻想的である。

人々は先端の尖ったエルフ耳をしている。

露店にはさまざまな森から恵が並んでいた。

エルフ=ベジタリアンのイメージだったが肉の串焼きなども売っており、普通に肉も食べるそうだ。

そういえば、うちのエルフのミレーも普通にオークをうまそうに食っていたっけ。

すこし歩くと武器屋を見つけたのでちょっと覗いてみることにした。

武器はやはり弓がメインだった。

かなり良い弓があったのだが、うちのメンバーに弓使いが居ないので残念だ。

店主と話しをしてみると店主自身が作製しているそうだ。

店を出るときに握手を求めてきたので握手をした。

さすがティアである。その一瞬にちゃんとスキルをコピーしていた。

『弓加工』と『ナイフ加工』のスキルをもらった。

弓使いが新たなメンバーに加わったときに役立てようと思う。

向かいの店は魔道具屋だった。

店に入ると看板娘があいさつをしながら近寄ってきた。

商品の説明を受けているとだんだん仲良くなってきた。

エルフの里のことを聞いたり、世間話をした。

彼女も魔道具加工職人で、店の商品の一部は彼女が作製したものだそうだ。

一人前になったので本気で里を出ることを考えているらしい。

我が拠点の学校で講師をしつつ、店を開くというのはどうかと提案してみる。

魔石はダンジョンがあるのでいくらでも手に入るし、その他の材料や道具も提供できると話すと喜んで受け入れてくれた。

明日迎えにくるので引っ越しの準備をして待っていてくれと言って店を出た。

これで探し求めていた魔道具加工職人を雇うことができた。


*ステータス

 名前: トゥインクル(エルフ)

 性別: 女

 年齢: 20

 レベル: 20


 スキル

  弓術、全属性魔法、精霊魔法、スキル付与、魔道具加工


次の日の朝、約束通りトゥインクルを迎えに行き、転移で拠点に戻った。

すぐに社宅に案内し部屋を決めてから学校と専用の工房を案内した。

あまりの待遇の良さに驚き喜んでいた。

予定していた旅が終わったので拠点の整備と学校の整備を行おうと思う。

醤油や味噌を開発にも着手しようと思う。

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