第36話
情け無用に飛び交うロケット弾とロケット魚雷(?)によって、今や原形を留めぬまでに瓦礫の山となり果てた、聖レーン転生教団シブヤ・ゲットー地区教会堂前の広場にて対峙している、軍艦擬人化ヒロインのコスプレをした『悪役令嬢』一味と、某『ソフト百合女学生』コスプレをした、ジパング王国女王親衛隊の面々。
一触即発のピリピリとした状況下において、人数を始め武器のほうも質量共にほぼ互角であることから、かなりの激戦が予想されるところであったが、なぜか悪役令嬢側は、突然メイド隊が現れた当初こそ混乱を
──それも、当然であろう。
彼女たちは悪役令嬢と言っても、その本性が『
よって、現在のように物理的にはほぼ互角の状況にある場合は、むしろ絶対的に優位であると言っても過言では無かった。
「……まったく、私たち『
そのように、自信満々の表情で嫌みったらしく言い放つ、純白のセーラー服軍団側のリーダー格の、アルテミス=ツクヨミ=セレルーナ嬢であったが、
それに対する、漆黒のセーラー服軍団側のリーダー格の少女のお言葉は、まさしくそんな彼女の慢心を突くものであった。
「──あら、ご心配なく、ちゃんと『策』は、弄しておりますので」
「「「は?」」」
思わぬ台詞を返されて、文字通り虚を突かれた表情となる、
「ふふふ、まさか
「な、何ですって⁉ それは一体、どういう意味よ!」
「あらあら、
「へ………………って、ちょ、ちょっと、みんな、どうしたの⁉」
何といつの間にか、リーダーのアルテミス嬢以外の
「これって、一体………ううっ、そういえば私も何だか、めまいがするような」
「……めまいだけで済むとは、噂通り、アルテミス、恐ろしい子……ッ」
「──そう言う、『
必死の形相でまくし立てる悪役令嬢のリーダーに対して、あっけなく驚愕の真相を明かす、メイド集団のリーダー格の少女。
「あら、先ほども申したではないですか?
最初、何を言われたのか、なかなか理解できず、呆けた顔でたたずむばかりのアルテミス嬢。
なぜなら、今目の前にいる、ソフト百合系JKのコスプレをしたメイドさんの言葉は、あまりに予想外だったのだから。
「──ちょっ、何が『薔薇の使徒』で『浄化』に『神聖結界』よ⁉ あなたたちは確かに物理的戦闘能力では、この王国最強クラスの女王メイド隊かも知れないけれど、聖レーン転生教団直営カサブランカ女学園『ハマグリ会』所属の女学生であるのは、あくまでもコスプレに過ぎず、教団員ならではの聖なる異能の力なんて、持っていないはずでしょうが⁉」
「おやおや、
「大切なこと、って……」
「ここが、『
「──‼」
思わず言葉に詰まってしまう、他称『
そして、ようやく『何か』に気づいたようにして、顔を驚愕に歪める。
「……あ、あなた、あなた
それに対して、リーダー格の少女を始めとして、漆黒のセーラー服の集団の中から、特に小柄な少女たちが、六名だけ前へと進み出た。
「例えば、我らが女王陛下『
「そのような偉大なるお方の護衛を任された、我ら『女王親衛隊』が、何の異能を持たないとでも、思っておられたわけ?」
「あなたは知らないの? 実の母親から毒殺されそうになった白雪姫が、隣国の王子を頼って国を出奔した際に引き連れていた、七人の凄腕の幼女傭兵団の伝承を」
「──俗に言う、『七人の小人』。物理的戦闘能力だけではなく、魔法にも長けた、ハイブリッド『
「ロリコン王子様をたった七歳にして篭絡した白雪姫が、大国である隣国の軍勢を率いて、自分の生国に攻め込んだ際に、先頭に立って獅子奮迅の大活躍をした、伝説の『切り込み部隊』」
「その『
「「「「「「──それこそが我ら、
まさにその瞬間、落雷を受けたかのように、大ショックを受けるアルテミス嬢。
「──ど、どうして? 『七人の〜』とか『セブン〜』とか言っている割には、六人しかいないじゃないの⁉」
「「「「「「ショックを受けたのは、そこかよ⁉」」」」」」
確かにかつて、「四天王なのに、五人いる……だと⁉」とかいったネタが、ラノベ界隈あたりで流行ったが、少々古すぎるのではなかろうか?
「……セブンリトルズ、そうか、あの伝説のハイブリッド傭兵団なら、このくらいの神聖結界を張り巡らせることも、十分可能か」
「「「「「「そうそう、その反応で、いいんだよ!」」」」」」
「──
「その他、規模があまりにも大きく危険度も高くて、特別かつ火急な対応が求められる、悪質な反政府組織等に対する、極秘の『潜入捜査』等においても、他人になりすますことが多々あります」
「その際は、単に対象の『外見を装う』だけでは、意味がありません」
「中身を伴ってこそ、真の『なりすまし』です」
「そうでなくては、王国に反旗を翻すほどの曲者揃いの対象組織の渦中にあって、すぐさまその正体を見抜かれてしまうでしょう」
「すなわち、たとえ相手がどのような異能の力を有していようと──それこそ、
「「「「「「──だからこそ我々、真のメイドであるセブンリトルズは、どのような異能でも
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