第11話
──転生法。
それは、今や混沌極まる異世界に秩序をもたらす、『福音』なのか?
それとも、更なる混乱をもたらす、『邪法』なのか?
全異世界統一暦、『
無数に存在している、いわゆる『異世界』においては、度重なる現代日本からの異世界転生や異世界転移によって、文字通り規格外のチート能力を持った、『勇者』や『大賢者』や『魔道士』や『魔王』や『悪役令嬢』や『おっさん』その他の、『カクヨム』や『小説家になろう』等の小説創作サイトでお馴染みの、『主人公』キャラが数え切れないほど大勢、転生あるいは転移してきたために、社会秩序は乱れに乱れ、特に魔物等における生態系は破壊され、大都市や場合によっては国家そのものが滅亡するなどといった、深刻な状況に追い込まれていた。
……そりゃそうだ。各Web小説のチート主人公どもときたら、どいつもこいつもやり過ぎだろうが?
そこですべての異世界から代表者が集って、『第1回全異世界協議会』が開かれ、いろいろな大人の事情で、異世界転生や異世界転移そのものを禁止できないのならば、せめて一定の秩序の下に行われるように、今回新たに『転生法』と名付けられた、統一ルールを取り決めることと相成ったのである。
これで万事丸く収まったかというと、さにあらず。
──むしろ、更なる動乱を呼ぶこととなり、全異世界は未曾有の危機に立たされたのだ。
それというのも何と、転生法を設定した為政者側ときたら、現代日本からの転生者や転移者を規制もしくは抑制するどころか、むしろ転生や転移を促進する方向でとりまとめて、多くの異世界市民の反対の声を押し切って強行採決するとともに、即行で公布してしまったのである。
そこには、魔族や魔物等の為政者にとっての敵対勢力の討伐の戦力を始め、低賃金労働者の確保や、全然必要の無い全異世界の統一首都である『
そりゃあ、やる必要も無いオリンピックを開催すれば、特に
しかし言うまでもなく、『異世界人にとっては異世界人である』現代日本人を、無分別に受け入れれば、それだけ公共の秩序が乱れ、犯罪の多発化を招き、しかも転生者ならではの『チート能力』を行使しての破壊活動や、『NAISEI』による政治社会システムの混乱等、異世界転生ならではの深刻な問題も起きかねないのだ。
よって当然のごとく市民活動家等を中心として、『転生法並びにオリンピック開催絶対反対』の声が上がったものの、為政者側は企業体の後押しにより強硬な手段に出て、軍隊やそれこそ転生者である勇者等のチートな暴力装置まで出動させて、徹底的に弾圧してしまったのである。
しかし各異世界においては『転生法』に対する反対の声は根強く、中には国家並みの権力や財力や軍事力を持った組織体も存在し、為政者側と激しく争っていき、今やすべての異世界はこれらの二大勢力による、対立構造が浮き彫りとなってしまっていた。
──そうこれは、『転生法』を巡る、異世界における、現代日本からの転生者をも含めた、各種勢力間の、己の正義をかけた闘争の物語なのである。
☀ ◑ ☀ ◑ ☀ ◑
──現代日本の推定三千万人の、異世界転生希望の、ヒキオタニートのお兄ちゃん&お姉ちゃん、こんにちは☆
実は『ツンデレ気味の妹(しかも幼女)』という、あざといキャラ付けでお馴染みの、『転生法ちゃん』だよ♡
さて、いつもなら本作は毎度のようにして、ここ最近の間でネット上で話題になっている、『異世界転生(や転移)』系の話題があったら、それをテーマにして語っていくって方針なんだけど、今回は【カクヨムコン5特別編】ということで、少々趣向を変えて、異世界転生にかかわらずネット等世間一般において、大注目を集めている話題を取り上げようと思うの!
──それもズバリ、『軍艦擬人化美少女』についてよ!
……『趣向を変えて』も何も、一見『異世界転生』とは、まったく関係ないように思えるでしょうけど、なぜにあえてこれをテーマに取り上げたのかについては、後で改めて詳しくご説明するとして、まずは最初に、原作ゲームはもとより、コミカライズや、ノベライズや、アニメ版といったふうに、現在様々な分野においてもてはやされている、『軍艦擬人化美少女』という作品カテゴリィにおける、『真の魅力』というものを、それらすべてのジャンルにおいて、
──まったく活かしきっていない、ということについて、述べていこうと思うの。
○軍艦擬人化美少女の『真の魅力』とは。
……いやね、別に『軍艦擬人化美少女』作品に関わっておられる、原作ゲームの運営さんとか、アニメ版をディスるつもりはないのよ。
それこそ最近アニメ化された某ゲーム作品なんて、特にバトルシーンが非常に独特で、手放しで素晴らしいと思っているくらいなんだから。
もし仮に、「『真の魅力』というものを、オリジナルよりも活かしてみせる!」としても、あくまでも『見方を変えるだけ』の話なのであって、オリジナルに対して何か思うところがあるわけでは無いの。
そもそも『軍艦擬人化美少女』の代表的作品である『某これ』においては、ベースはれっきとした艦隊シミュレーションゲームでありながら、それよりも増してヒロインたちが、軍艦を擬人化した『美少女』であることをウリにしているために、ヒロイン育成というギャルゲ要素もあって、一見『いいとこ取りのハイブリッド萌えゲーム』のようにも思われているけど、実はこのハイブリッド路線こそが、むしろ大きな『
もちろん、現在の『某これ』において、別に過不足があるわけでは無く、むしろその『ギャップ萌え』こそが最大の魅力となっていて、ゲームシステムはもちろん、何よりも各軍艦擬人化美少女の、キャラ
ただし、いっそのこと、その十分に魅力なる『某これ』というゲームシステムを度外視したほうが、更に軍艦擬人化美少女たちを活かすことができるのも、これまた事実であるわけなのよ。
何せ、
──なぜなら、
そもそも『艦隊これ○しょん』と言うくらいだから、軍艦擬人化美少女は集団で行動することこそが、大前提だけど、そんな『固定観念』を打破してこそ、真に魅力的な軍艦擬人化美少女の活用法が見いだせるのよ。
ほんの少しばかり、想像してみてご覧なさいな、学園を舞台にしたラノベに、一人だけ軍艦擬人化美少女が紛れ込んでいるという、これまでの艦隊ゲームにはけしてあり得ないシチュエーションを。
たとえそれがミリタリィ物だろうが、異能バトル物だろうが、魔法少女物だろうが、軍艦擬人化美少女に敵うキャラなんて、存在し得ないと思わない?
何せ、少々腕の立つケンカ自慢のDQN風情はもとより、元傭兵の学生ソルジャーだろうが、超能力者だろうが、魔法少女だろうが、艦砲射撃を一発でも食らえば、おしまいだしね。
一見、学園異能バトル等でお馴染みの、超能力者や魔法少女による、特大の異能攻撃だったら、さすがの軍艦擬人化美少女にも、それなりに
大和と言えばもはや説明不要の、第二次世界大戦当時最大規模の主砲を誇っていた超弩級戦艦なのであって、それを多数の超能力者や魔法少女が攻撃しているところをイメージしてみると、巨大な象に蠅や蚊がまとわりついている絵面くらいしか、思い浮かばないんじゃないかしら?
事実、太平洋戦争末期に、アメリカ軍が大和を撃沈するのに、およそ400機もの航空機を要し、それらの無数の機関砲や爆弾やロケット弾の集中砲火の他、五百ポンドから千ポンドの大型爆弾と11発の魚雷を費やす必要があったほどだし、ラノベあたりに登場するようなチンケな魔法攻撃程度じゃ、屁のつっぱりにもならないでしょうねw
もちろんこれは、戦時中の大和のような本物の軍艦の話だけではなく、基本的に人間大の大きさしかない軍艦擬人化美少女も同様で、二次創作はもちろん、原作ゲームの公式設定においても、たとえヒロインたちが人間サイズであろうが、オリジナルの軍艦同等の攻撃力と防御力とを、そのまま備えていることになっているの。
ちっぽけな人間サイズでありながら、軍艦同等の力があるなんて、たとえ学園異能バトル物だろうが、魔法少女物だろうが、完全に『反則』だと思うでしょうけど、実はまさにその、反則であること──すなわち『チート』であることこそが、軍艦擬人化美少女にとっての、『本来の持ち味』なの!
実際、軍艦擬人化美少女ほどの、
そもそも、いくら艦隊ゲームだからといって、集団戦であることに拘泥していたら、「──だったらどうして、絶大なる力を秘めた軍艦が、わざわざ女の子の姿なんかをしているわけ?」てなふうに、関係者の皆様にとっては、『痛いところ』を突かれることになっちゃうわよねえw
もちろん、ギャルゲ的な萌え要素も、『某これ』にとっては重要なセールスポイントだということも、理解できるわ。
だからと言って、わざわざ軍艦を擬人化した意味を損なわせることになるのなら、本末転倒であり、やろうと思えばたとえこの作品の作者のような素人作家であろうとも、軍艦擬人化美少女たちをもっともっと有効的に活躍させることだって、十分可能なのよ。
ほんのちょっとでも構わないから、想像してご覧なさいな。見かけ上は普通の女の子の姿をしているヒロインが、学園異能バトルなんかに巻き込まれて、あわや大ピンチといったところで、隠し持っていた旧帝国海軍の戦艦や駆逐艦の攻撃力を発揮して、それまで我が物顔だった、『イキリ異能ラノベ太郎や花子』どもを、虫けらのようにひねり潰すといった、ネット民大喝采必至のシチュエーションを!
……はあ? 「要らねえよ、そんな拗らせ系のネット民の喝采なんて! それにいくら何でも、対人戦に軍艦そのものの攻撃力や防御力を持ち込むなんて、違和感バリバリのオーバーキルで、
──おお、いいとこ突くじゃないの! 確かに軍艦擬人化美少女は、単独行動での対人戦にこそ、その真価が発揮できるけど、その一方で、それこそ普通の人間サイズの質量しかないのに、どうして軍艦並みの攻撃力や防御力を発揮できるのか? たとえそれが可能だとしても、その原動力は一体何なのか? 艤装や弾薬はどこから供給されるのか? 燃料は人間用の食物でいいのか? 何か特殊な食べ物が必要なのか? 軍艦として行動するためには、どれだけの量の燃料を補給しなければならないのか? ──等々の、問題が山積みであり、しかも何とそれらの問題は、物理法則上、現代日本のような現実世界においては、けして解決できないものと思われるの。
……そうなると、「──だったら、駄目じゃん⁉」とでも突っ込みたくなると思うけど、そうなの、駄目なの、そもそも現実世界において、『軍艦擬人化美少女』なんかを活躍させようと考えること自体が、どだい無理な話ってわけなのよ。
だったらこれまでの話は、全部無駄だったかと言うと、さに非ず!
忘れてもらっちゃ困るけど、そもそも本作『転生法』は、基本的に「何でもアリ」な、剣と魔法のファンタジーワールドを、メインの舞台にしているんですからねえ♫
○
──と言うわけで、ここでタイトル回収! 「軍艦擬人化美少女こそを、異世界に転生させないで、どうする!」と言うことなのよ!
何せ異世界だったら、当然のごとく魔法やモンスターなんかが存在しているゆえに、基本的に『何でもアリ』だから、一見普通の女の子のようでいて、軍艦同等の力を有していようが、そのための弾薬や燃料が御都合主義的にいつでも十分に供給できようが、別に構わないわよね!
更にはファンタジーワールドと言うことで、ドラゴンとかの巨大なモンスターがうようよしているんだから、軍艦並みの力を有していようが、それほど場違いというわけでも無いしね!
しかも軍艦擬人化美少女自身が、ある意味ファンタジー的存在でもあるから、何かと現実的制約が多い自衛隊なんかよりも、異世界において文字通りの『何でもアリ』の大活躍が期待できるから、単独行動でも集団戦でもケースバイケースで投入することによって、これまでに無い異世界ファンタジーの開拓だって、大いに実現可能と思われるところなの♡
それに何と言っても、もはやWeb界隈においては食傷気味な自衛隊よりも、軍艦擬人化美少女を二、三人異世界召喚したほうが、『軍事力』としては、より絶大なものがあるでしょうしね。
おそらくは『自衛隊異世界転移』作品って、異世界における『リアルな戦争』を実現したいんだと思うけど、異世界といえばむしろ、ファンタジーであることこそがウリなのだから、軍艦擬人化美少女のほうがよほどふさわしいわけなのよ。
……しかし、よその世界から召喚された勇者が、軍艦擬人化美少女だったりしたら、魔王なんかのラスボスも、びっくり仰天でしょうねえw
それに対して召喚する側にとっては、新たにチートスキルを与えないで済むから、安上がりなんだけどね。
……実は本作の作者の別作品である、『わたくし、悪役令嬢ですの!』の第325話までの【ハロウィン特別編】こそは、今回テーマに取り上げた『軍艦擬人化美少女の異世界無双』案の、テストケースだったりするの。
よって、このアイディアの著作権はすでに確保済みとなっておりますので、無断使用は厳に慎まれるよう、よろしくお願いいたしますね。
──えっ、「これ自体が、『某これ』の二次創作みたいなものじゃないの?」ですって?
いやだ、読者の皆様ったら、いわゆる『各種兵器擬人化ヒロイン』については、『某これ』以前にも、多種多様な作品がすでに発表されていたことだし、確たる著作権は存在しないんだから、別に問題は無いじゃないのお!(開き直り)
それに、例えば一等駆逐艦夕雲型の19番艦『
──と言うわけで、現在『彼女』が大活躍中の『わたくし、悪役令嬢ですの!』に引き続いて、『小説家になろう』様オンリーで連載中の『なろうの女神が支配する』という短編連作シリーズにおいても、『清霜』が異世界転生して幼い少女の姿となりながらも、その文字通りの
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