屈辱的
射撃の際の反動で、私の体はしこたまあちこちにぶつかりながらトレーラーの床に転がった。
それはまあいいんだけど、そのショックで……
「漏れちゃった……」
そう、私は、おしっこを漏らしてしまったのだ。下着もスカートも生暖かい液体でびしょびしょだ。それが何とも言えない気分にさせる。人間はこういうのを『恥ずかしい』と言うんだろうか。それとも『屈辱的』かな。
それがどちらでも私にとってはどうでもいいけど、これで余計にお風呂に入らない訳にはいかなくなった。
けど、さっきの射撃の瞬間に銃身が大きく逸れたらしくて、外にいた三頭のCLSバッファローはまったく平然と虫を食べてた。
…ちくしょう…こんな事ならリリアテレサを待てばよかった。
今さら後悔しても始まらない。そんな私の思考に気付いたのか、リリアテレサがこちらに近付いてるのが分かった。外のCLSバッファローが一斉にモーテルの敷地の出入り口の方を見る。リリアテレサの姿に気付いたんだ。
でもそいつらがのろのろと動き出した時には、トレーラーのドアが開けられてリリアテレサが乗り込んできた。
「やっぱりその体じゃ無理があったね…」
「面目ない…」
そんなやり取りをしつつ、私は手にしたショットガンを彼女に投げて渡した。それを受け取ると、リリアテレサは窓から射撃を開始した。
体の大きさは私と変わらないけど、メイトギアとして機械の体を持つ彼女は、平均的な成人男性の倍以上のパワーを秘めている。介護とかで、体重百キロ以上の人を軽々と抱き上げる為だ。
だから、軍用の大口径ショットガンの反動にも余裕で耐えられる。そしてすぐ外にいた三頭を処置し、予備弾倉を手にして外に出ると、さらに彼女を追ってモーテルの敷地内へと戻ってきたCLSバッファロー五頭を淡々と処置した。
「もう大丈夫だ…」
彼女に言われて、私もトレーラーから出る。そして彼女はすぐ近くの部屋のドアを次々と触れて、鍵のかかってない部屋を見付けてくれた。
中にはなにもいなくて綺麗だった。埃は積もってたけど。以前見たモーテルみたいに掃除用のロボットは置いてなかったんだね。だけどまず、私はお風呂に入らせてもらった。おしっこでびしょ濡れの服も下着も部屋の外で脱いで、裸になってから部屋にあがってお風呂に入った。
シャワーはお湯も出た。せっかくだから湯船にお湯を溜めながらシャワーを浴びて汚れた体を綺麗にする。人間が清潔に拘る理由が分かる気がする。だって気持ちいいし。
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