たまには異世界転生・転移モノの魅力を。
2022年11月14日
どうも、あじさいです。
たまには異世界転生・転移モノの魅力を語ってみましょうか。
昨日の記事「好きになりすぎてはいけない」が、ある意味で前書きにあたるので、まだ読んでいない方はそちらから先にご覧いただけますと幸いです。
インターナショナルで、ワールドワイドで、グローバルな視野に立ったとき、元祖・異世界転移モノと呼びうるのは、『ナルニア国物語』(1950~1956年出版)だと思います。
聞きかじった話では、マーク・トウェインの『アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー』(1889年出版)の方が早いのですが、あまり有名ではないと思います。
いや、筆者が見識不足だから読んだことがないだけで、世間的にはクイズ番組のネタにされるような一般常識で、めちゃくちゃ人気を博していて、1ヶ月に1度はインスタでバズっているのかもしれません。
なお、夢オチを含めていいなら『不思議の国のアリス』(1865年出版)もありますね。
また、古代ギリシャの叙事詩『オデュッセイア』は、トロイア戦争の英雄が異世界並みにファンタジックな海や島を旅する物語ですし、中世イタリアの『神曲』(ダンテ)も一般人の青年が死後の世界を歩く話ですから、細かい制限を無視して大きく
とにもかくにも、筆者が言いたいのは、異世界転生・転移の物語は日本の専売特許ではないし、この「テンプレ」が読まれるのも日本だけではないということです。
これは筆者個人の直感ですが、異世界転生、とは言いませんが異世界転移に関しては、皆さん一度は
魅力的な物語を読んだり見たりして、「自分もこんな世界に行ってみたい」、「自分がこの世界に行ったらこんなことがしたい」と思ったことが一度もない、そんな人間、いるでしょうか。
『ハリポタ』を読んだら魔法の杖を振りたくなるし、『エラゴン』を読んだらドラゴンに乗って空を飛びたくなる。
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を見ればデロリアン型のタイムマシンが欲しくなるし、『メン・イン・ブラック』を見ればニューラライザーを使ってみたくなるんです。
サイコキネシスの1つも使えず、TVのリモコンを取るためにわざわざ
それらに支配された世界がある日、突然、消え去って、物語のような不思議な刺激に満ちた世界に否応なく放り込まれる。
そんな「展開」を期待しない人間なんて、いないんです。
異世界転生・転移の魅力って、あえて一言で言うなら、ここにあるんだと思います。
Web小説の流行に文句をつける人、テンプレと言われる要素を批判する人も、ここにだけは文句を付けられない。
そこに文句をつけるくらい欲がなく、夢がなく、ユーモアもない人間は、そもそも物語を読もうなんて考えないはずです。
あえて言いましょう。
異世界転生・転移という形式は、まさに私たちの読書体験そのものなのです。
本を読むということは、本の世界にダイブするということです。
私たちは実は、本を読むたびに、
異世界転生・転移という形式は、私たちの読書体験をより充実させる上で、極めて有効な仕掛けです。
現在のWeb小説界隈では、ナーロッパと
もちろん、異世界の事情が現代日本とあまりにも
特定の世界観がテンプレとして借用され続けるのは、理由あってのことです。
しかし、テンプレは(当然ながら)絶対的なものではありません。
有名どころだと、『この素晴らしい世界に祝福を!』(このすば)や『Re: ゼロから始める異世界生活』(リゼロ)なども、当時のテンプレ――異世界に転生したからにはチート能力で俺TUEEEEするという前提――を外そうという意図が見える作品です。
(ハーレム要素だけは外せなかった、いや、最初から外すという発想がなかったようですが……。)
異世界転生・転移モノは、現実逃避だと
いつの時代も、読書という行為自体がそもそも現実逃避であるという言い方は可能なわけですが、実際には我々は読書から多くのものを得ます。
それによって現実世界についての考え方を改めたり、現実世界の人々との関わり方をより充実したものに変えたりします。
読書体験にはそういう力がありますし、それは異世界転生・転移モノについても言えます。
実際には見たことのない海外ドラマから台詞だけ引っ張ってきて紹介するのは恐縮ですが、皆さんにもぜひ知っていただきたい言葉があります。
――――
お
(『クリミナル・マインド』)
――――
強いドラゴンがいて、さらに強い主人公がそいつを倒すさまを描くだけなら、異世界転生・転移モノはただの現実逃避です。
しかし、自分より強いドラゴン(=困難)であっても殺すことができるということを描けるなら、それは実りある物語になるはずです。
ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。
『リゼロ』ってちゃんと完結するんですかね? 何がどうなれば話が決着するのか見えなさすぎて、筆者はマンガ版の最初の4巻で
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