実行準備
1:00 p.m. 自宅にて
「リズ...」
「ニャーオ。」
「なぁ、リズ。」
「......」
この問いかけを何度繰り返したのだろうか。
「そろそろどいてくれないか?コーヒーを継ぎ足しに行きたいのだが。」
この体勢になってもう二時間は経つのだが、リズは一向に私の膝の上から動こうとしない。
やれやれ、無理やりでなければならぬのか。
リズ、すまない。
「リズ、直ぐ戻ってくるから、待っていてくれ。」
豆を挽き、先ほどまで使用していたコップにドリッパーを乗せる。
紙フィルターを乗せ、コーヒー豆を入れる。
少量のお湯で豆を蒸らし、残りのお湯を注いでいく。
「ニャー。」
いつの間にかリズが足元にいて、座って毛づくろいをしていた。
少し心が和らぐ。小さい世界で泣いていた子供のころと今じゃ、大違いだな。
「リズ。コーヒーができた。私は戻るよ。」
先ほどと同じソファーに戻り腰かける。
昨日エドガーにもらった書類に目を通す。
リズも私の膝の上に来てうずくまる。
最近、より寒くなってきているからだろうか。
さて、今回はより念入りに準備しておこう。
物資の調達だが、そろそろ弾薬が切れるからそれと替えの服と、あと...新人だけには任せられん、情報の方も手をまわしておくか。
それにしても、首脳がこんな時期にパーティーとは、うつつを抜かしているな。
「ニャーン。」
「ふふ、リズ、わかってるじゃないか。」
ごろごろ、と喉を鳴らして甘えてくるリズ。
そうだ、自動餌やり機の餌と水を追加しよう。
もうじき切れるはずだ。
「リズ、ご飯はちゃんと食べているか?」
「......」
そっぽを向かれてしまった。
これは食べていないな。
「リズ、また食べてないのか?」
リズからの返答はなく、別の部屋に行ってしまった。
あまりよろしくはないのだが。
仕方ない、出かけるとするか。
それと、今日はマフィアの頭か。また新人のミスが私に...
やれやれ、さくっと終わらせてしまおう。
「リズ、行ってくるよ。」
そして、私はリズを残し、家を出た。
闇夜の雨桜、美しき傷 りると @MikaNovelist
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