じりりりー。……目覚まし時計の音がする。


 司はその音を聞いて、目をさますと、目覚まし時計を止めて、「……うーん」と言いながら、ベット上で大きくその背筋を伸ばした。


 少しゆっくりしてから、司がベットを抜け出して、自分の部屋のカーテンと窓を開けて空を見ると、早朝の空は真っ青に晴れ渡っていた。

 昨日の曇り空や雨が嘘のような雲ひとつない晴天だった。


 司がそんな空をぼんやりとした表情で眺めていると、気持ちのいい風が司の部屋の中に吹き込んできた。

「よし」

 司はそう言って、朝の準備を始めた。


「……はぁ〜。(眠い)」

 その日の朝、司が久しぶりに制服を着て、まだ眠たい目をこすりながら、自転車に乗って中学校に向かって登校すると、その道の途中にある青空橋のところには、また明日ね、の言葉通りに唯の姿があった。

 唯と唯の友達と、それから司の親友の三人の姿があった。


 三人は自転車に乗ってやってきた制服姿の司を見て笑顔になると、司に向かって大きく手を振った。

 青空橋のところまでたどり着いた司は、そこにいる司の親友と唯の友達におはようの挨拶を笑顔でする。(二人も司におはようの挨拶を笑顔でしてくれた)

 

「おはよう。司。久しぶり」

 それから、最後に自分のところにやってきた司のことを見て、にっこりと笑って、ちょっとだけ照れた表情をしながら、中学校の制服姿の唯は言った。

「うん。おはよう。……久しぶり、唯」

 司は唯に向かって、なるべくいつも通りの表情をして、そう言った。


 すると唯は司に向かってなぜか変な顔をした。


 それから司と唯は、司の親友と唯の友達と四人で一緒に中学校まで、夏休みになにをしていたのか、とか、お祭りの日は誰と一緒にいたのか、とか、そんな話をしながら、ゆっくりと歩いて、青空橋を渡って、仲良くみんなで登校した。


 司も唯も、唯の友達も司の親友もみんな楽しそうに笑っていた。


 ……小川の中でぽちゃんと魚が跳ねる音がした。


 その音を聞いて、司は小川の流れる風景を見た。


 今日、夏が終わり、秋が始まる。


 青空橋の上を自転車を押して歩いているとき、小川の水の流れる風景を見ながら、そんなことを司は思った。


 青空橋 終わり

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青空橋 雨世界 @amesekai

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