第20話 最弱でコミ障です。

「ミズ!ミズ!お願い……起きて……」


ゼフィンが敵と戦っている間に隠れ家からかなり移動しどこか分からない場所まで走り続けた。そして必死にミズを起こしてなんとか脱出しようと考えるがミズは少しも動かず気絶したままだった。ミクは敵が来ないか周囲を先程みわたし安全だと確認していたのでミズをひたすら起こしていた、だが敵はいつ現れるか分からないという言葉は既にミクの頭から消え去っており先程ゼフィンと戦っていたレベル600の敵が少しずつ姿を見せる。

敵は静かにミクの後ろまで移動し、斧を振り上げ攻撃を仕掛ける。もちろんミクは気付いておらずミズを起こすのに必死になっている。


「うっ……」


その声はミズの声でありミクが必死に起こしたためなんとか気絶状態から戻ったのである。だがミズが少し目を開けミクの方を見て状況を察知しようとするとミクの後ろに敵がいる事が分かりすぐにミクに知らせようとするが敵は既に斧を振り下ろす途中であり回避ができる状態ではなかった。


「あぁ!!!嘘でしょ……」


敵が斧を振り下ろしミクの背中に直撃し攻撃範囲は圧倒的に広いためかなりのダメージが喰らっている。だがミズはまだうまく体や口が動かず何もできない状態になっている。

ミクは攻撃を喰らうとすぐに体勢を立て直すと敵の方向に向き剣を構える。


「かかってこい、お前はここで倒す」


その言葉と同時に戦闘が開始するがその戦闘はあまりにも残酷であり力の差があまりにもあった。ゲームのはずなのにゲームではないようなリアルの感じがミズにはした。その感じとは実際に味わったものしか分からない、見たり読んだりするだけではどれだけ理解しようと理解できない。

現実世界でもそうだ。

例えば学校で1人の女の子が虐められているとしよう、主犯格の女の子以外は基本黙って無視して誰かに責められた時は「声をかけれなかった」や「勇気がでなかった」など他に言う。ならば先生、「虐められている人の事を考えろ!」などと虐めた人を責める。

本当にその判断であっているのか?やられた側の気持ちを理解しようとしても無理でありどれだけ共感したり似たような事があったとしても人はそれぞれであり人は不完全な者だ。そしてその女の子が仮に反省したとしてもいじめられた女の子はそれだけで本当に許すのか?ただ謝る、ただ反省する、それだけでは不平等ではないか?虐められた側は何も得ていないではないか?

だがそれも1つの意見だけで虐められた人の気持ちは分からない。

少し暗い話になったがそういう事である、実際に味わったものしか分からない辛さ。

それを味わってしまえば怒りなど抑えようにも抑えれない。

いや怒りを超えれば殺意となる、それは誰にも抑えられない。


「お前……何してんだよ……」


そしてさっきまで話させなかったミズが急に敵に話し出す。これを見ただけで分かるだろう、人は限界を超えればほとんどの事ができない状態から出来るようになる。



私は目の前の光景を見た瞬間に怒りではなく殺意が芽生えた。

それはそれで仕方ない、

だって……

だが殺意が芽生えてしまう自分が嫌いだ。

少し調子に乗っていたのかもしれない私は最弱ではないコミ障でもないと、だがこのゲームは私が最弱でコミ障と決めつけたいらしい。

このゲームが嫌うなら嫌えばいい、私は無敵の力で押し潰してやる。

もうどうなってもいい、

力を貸せミズ……いや私


そう思った瞬間ミズの体は一瞬揺れ倒れそうになる。だが意識を取り戻したかのようにミズは体勢を立て直し敵に話しかける。


「君さ、喋れるユーザーか喋れないユーザーか知らないけど本当の私を怒らせた罪は大きいよ?ミズはさ、正義感強い子で本当は誰よりも優しくて誰よりも面白い子なのにそれを壊した君は処刑だ」


敵はミズの中身が3人いるということを知らないのでそのまま頷きもせずにまだ終わらないのかという感じでミズを見ている、だがミズは自分が喋り終わったと同時かそれより前に圧倒的スピードで敵の体を剣で貫く。


「ガァァァ……」


そのスピードに追いついていけずに敵はまんまお刺され、かなり深く刺さっているため永続ダメージが入る。敵は焦ったのかすぐに目の前にいるミズを倒そうと斧をミズめがけてふりかざそうとするがミズはそれを知ったように斧を素手で破壊する。

その圧倒的強さに敵は驚いたのか敵は少し後ろに下がってしまう、だがまたまたそれも見過ごしたのかミズは目にも見えぬ速さで敵の後ろに周り、突き刺して後ろに貫いている剣を後ろから引っ張り腹に穴を空ける。

その光景はあまりにも痛ましく人が見ていいものかと言われるとその光景はだめである。


「あのさ、さっきも言ったけど君は金目当ての為だけに人を殺したんだよ?君さ、ゲームだからって仮想世界だからって簡単に人を殺したらいけないんだよ?」

「あ、あぁ……ご、ごめんな……さい」

「何今更喋ってんの?もう遅いよ」


ミズは敵との会話をすぐ終わらせると圧倒的剣技で敵を圧倒し敵が倒れるまでミズは100連撃という異常な程の連撃を敵に浴びせた、死なないと思われる箇所を全て攻撃して。

そして敵が倒れるとミズはもうこの世にはいないはずの敵のキャラに話しかけた。


「君のユーザーは悪い子だったね、でもあのユーザーを君の体に入れた君も悪いよ。君のキャラが一生作られないようにしてあげるよ」


と少し意味がわからない言葉を発しミズは魔法で敵のキャラを抹消する。


「後はこのゲームにいる勇者とその他の奴らを殺そうかな」


そう一言呟くと遠くから1本の矢が飛んでくる、その矢は非常に早くミズでも回避する事は簡単ではなかった。

その矢を避けると更に大量の矢が上から震ってくる、ミズは確実にこのダンジョンの者ではないと思うがそもそもこの近くに敵がいない事がミズのスキルによって分かっているためどこに敵がいるのかも分からない。

そして矢は尽きず永遠と空から震ってくる次第にその矢は早くなっていきミズでも何本かダメージを喰らってしまう。

その矢の攻撃は1ダメージと異常に低いダメージで何万本当たっても大丈夫な為、防御するのをやめて敵がどこにいるかを探る事にする。だが敵を見つけよう探るも敵は自ら現れたのである。

その敵とは誰なのか、本当に敵なのか、それは……








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私は攻略ゲーマーだけど最弱でコミ障です。そんな攻略ゲーマーは嫌いですか? るしるし @rurusiera

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