吉屋信子の戦前長編小説について(21)昭和5年から支那事変までの作品(19)~鳩笛を吹く女

 さてこの作品は文章の書き換え問題でも出しましたが、「拓殖大」の学生が出てくる話ですね。

 これが最後になっているのは、時期はともかく、掲載されている場所がさっぱり判らないからなんですね。

 量的には「新潮版全集」の一冊の半分程度なので、だいたい1年弱。

 モダンガールが最終的に改心する、という流れである以上、何かしらの婦人雑誌じゃないかとは思うんですが……


https://plaza.rakuten.co.jp/edogawab/diary/201806240008/


 この話は何と言っても「拓殖大生」と「モボ・モガ」の生活ですな。

 駆け落ちした二人が海辺でだらだらと暮らすあたり、時代を感じさせるということか。

 でも結局遊び暮らす二人にはろくなことが起きず、当初は楽しみで覚えたダンスを生活のために使わなくちゃならなくなるという皮肉。

 そんで見下していた男が偉くなってくるという……

 この話、うまくできてると思うし、新潮版全集に入っているにも関わらず、ともかく出所がわからない。

 ひじょーーっに、もやもやするのであった。


で、とりゃずこれでこの支那事変までの長編は出尽くしたざんす。

次はこれらに共通する事項を考えたあたりのことをまた修論から出してみる。

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