班決め
中間テストが終われば二年生は自然と修学旅行の話題になる。
十月の下旬に二泊三日の沖縄ということで、皆楽しみにしているからだ。
ただ、良平にとってはあまり良いことでなく、三日間も桃花と離れなければならない。
全くもって面倒で、今やっている班決めもサボりたい気分だ。
「良平くん、十月ならまだ海水浴出来るんだって」
「そうか」
恵里菜が楽しそうにしており、班決めが開始されるとすぐ良平の元までやってきた。
十月は本島であれば少し厳しいが、さらに南にある石垣島に行くからそこで海水浴を楽しめる。
沖縄と言ったら綺麗な海ということもあり楽しみなのだろう。
「俺たちの残りの班員はいつ決まるんだろうな?」
「そうだね……」
「あはは」と苦笑いする恵里菜。
自由行動で一緒に行動する四人組の班を決めている最中なのだが、まだ決まっていない。
原因は恵里菜と一緒の班になりたい人が多すぎるからだろう。
元・学校一の美少女である恵里菜と仲良くなるチャンスでもあるし、必死になるかもしれない。
誰も譲る気がないようで、このままでは班決めだけでホームルームが終わってしまう。
ちなみに良平は恵里菜が一緒の班が良いと言ったため、強制的に決まってしまった。
「もう面倒だし、残りは恵里菜の友達でいいんじゃないか?」
「そうだね。男女二人ずつって決まりもないし」
いつまでたっても終わる気配がないし、恵里菜は二人組の女子に声をかける。
このクラスは女子の数が男子より一人だけ多いため、どうしても一組だけ男子が一人という班が出来てしまう。
良平一人と女子三人班が出来たので、男子が叫んだのは言うまでもない。
☆ ☆ ☆
「じゃあどこ行くか決めよ」
余った時間は自由行動でどこに行くか決めることになっている。
恵里菜が主体となり、良平と残りの女子二人が彼女の方を向く。
相当楽しみしていたらしく、恵里菜は行きたいとこと書かれた紙を机に広げた。
城や水族館などのメジャーなとこから、聞いたとこもないマニアックな場所まで紙に書かれている。
「俺は恵里菜以外の人の名前を知らないんだが」
クラスメイトに一切興味がないいため、良平は未だに名前を覚えていない。
良平の言葉を聞いた女子二人は唖然としていた。
もう一緒のクラスになって半年ほどたつので、普通は覚えているだろう。
だから女子二人の反応は普通だ。
「仕方ないわね。私は
長い黒髪をポニーテール調に纏めており、見た目から大和撫子をイメージさせる。
夢乃は学級委員長をしており、真面目な生徒だろう。
「私はサラ・ステイサムです」
もう一人の女子は外国人で、留学のために日本に来ている。
腰まであるサラサラなプラチナブロンドの髪、藍色の瞳は異国情緒溢れる容姿だ。
日本語がとても上手く、産まれた時から日本にいたと言われても納得してしまう。
「俺は佐藤良平だ」
「知ってるわよ。というか名前を覚えてないのはあなただけだと思うわ」
クラスメイトの名前を覚えない人は中々いない。
「それにあなたは有名よ。悪い意味でだけれど」
「そうなのか?」
良平の言葉に夢乃が「ええ」と頷く。
学校一の美少女である桃花と付き合っているし、良平は彼女を手錠で繋げて登校してきた。
学校で知らない人などいなどいだろう。
「手錠で彼女を繋げるなんてどうかしてるわ」
手錠で繋がれている二人と想像したようで、夢乃は「はあ~」とため息をつく。
ただ、良平にとっては当たり前になっているので、夢乃の言葉に疑問を抱いてしまう。
別に嫌がってないのだからいいじゃないかと思っており、誰に何を言われても良平は止めることはない。
「まあ、今は修学旅行の話をしようよ」
「そうね。せっかくの沖縄だし楽しみたいものね」
学級委員長でも楽しみなのは変わりないようだ。
良平はどこでもいいため、あまり会話に参加せずにいたのだった。
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