テスト勉強
「暇だ」
自室のベッドで良平はのんびりとしていた。
いつも隣にいる桃花が今日はいない。
理由といえば十月半ば……一週間後にテストがあるからだ。
テスト勉強ということで詩織によって桃花は良平から引き離され、今は寂しく勉強していることだろう。
良平は宿題以外は一切しなく、それでもある程度の点数は取れる。
テストなんて赤点さえ取らなければ大丈夫なのだが、桃花は勉強がそこまで得意ではないためにテスト勉強が必要だ。
離れる際に「うう〰️お兄さんといたいです」と言っていたが、詩織が「絶対に勉強しないでしょ」と二人を引き離す。
テストで赤点を取ると補習になってしまうため、流石に勉強しないでイチャイチャするわけにはいかない。
「アニメ観よう」
テレビをつけ、レコーダーに録画してあるアニメ観出す。
最近は桃花と一緒にいたからあまり観てなかったしちょうどいい。
「……つまらない」
今までアニメを面白いと感じていた良平であったが、何故か面白味がない。
桃花という彼女が出来た影響なのだろう。
ずっとアニメのヒロインのような美少女と触れ合っていたためなのか、触れない二次元では満足出来ない。
唯一の趣味であるアニメ観賞がつまらないと感じてしまうのだし、それほどまでに桃花は良平に影響を与えたということだ。
桃花とイチャツつきたい……綺麗な肌に噛みつきたいという欲求が出てきてしまい、良平は部屋から出ていく。
目的の場所は決まっている。
同棲が決まって掃除した部屋で、どこで桃花は詩織と一緒に勉強しているだろう。
「あれ? 開かない」
開けようとしたが、ドアノブが回らない。
つまりは鍵がかけられているということだ。
「お兄ちゃん、来ると思ってたよ。だから鍵をかけさせてもらったから」
「詩織ちゃん、何でそんな鬼畜なことをするの?」
「鬼畜って……」
ドア越しに二人の声が聞こえてくる。
詩織は予想していたらしく、鍵をかけられてはこれでは中に入ることが出来ない。
「俺が二人に勉強を教えるのはどうだ?」
何とかして中に入りたいため、良平は声をかける。
「お兄ちゃんに教えられるの?」
「教えたことなんて全くないぞ」
感情が希薄で友達がいないため、誰かと勉強なんてしたことがない。
そもそも良平は桃花や詩織以外の人とも遊んだことがないので、ラブコメアニメのようなイベントなんて起きようもないだろう。
「お兄さん、教えてください。詩織ちゃんでは役不足です」
「桃花も酷くない?」
おおだこうだと言い合っている声が聞こえる。
詩織も成績が良い方なのだが、良平ほどではない。
ただ、勉強が出来るイコール教えるのが上手いというわけでもなく、ちゃんと教えるならコミュニケーションに長けてる詩織の方が適任だろう。
「私、お兄さんに教えてもらえば、普段の何倍も頑張れると思うな」
でも、それは桃花以外の人に……だ。
良平と一緒にいることばっかり考えている桃花にとって、好きな人に教えてもらう方がよっぽど良い。
「絶対? 勉強の妨げになるイチャイチャはしない?」
「しないよ」
詩織は「はあ~……」とため息をつき、仕方ないといった感じでドアを開ける。
「お兄さん、寂しかったです」
すぐに桃花が良平の元にやってきて抱きつく。
一緒にいれなかったのは一時間ほどなのだが、桃花には気が遠くなるような時間だっただろう。
優しく頭を撫で、良平は自身の胸に桃花顔をうすめさす。
何故かわからないが、良平はこの行為が好きだ。
「詩織、桃花に噛みついていい?」
「ダメ。テストが終わるまでは勉強優先」
二人きりでは噛みつくのが当たり前になっているからか、良平は桃花に噛みつきたくで仕方ない。
「詩織ちゃんがドS」
「何で? 私は当たり前のことを言っただけだよね?」
「そうだな。でも、これが俺の当たり前だ」
良平は桃花の首に噛みつく。
自分のが変だと自覚があるものの、これだけは自重することが出来ない。
先日に初体験を済ましたが、それより噛みつく方が良平は好きだ。
いくら周りから軽蔑されようと、良平は桃花に噛みつく。
いっぱい噛みついて自分の欲求を満たす。
「お兄さん……やあん……」
快感に溺れていく桃花。
そんな二人を見て、詩織は盛大なため息をつくのだった。
もちろん噛みついた後はしっかりと勉強をし、怒った詩織の機嫌を取ることになったのは言うまでもない。
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