第574話【フィフスの加盟5】
<<ランス視点>>
ヤハス様とマオー様のツーショット写真を持ってきたマリス様。
とりあえず受け取ったけど、それは小さなプリクラ写真だった。
「.....ちょっとこれじゃあ....」
「えへっ、ちょっと小さかったかなあ。ふたり共休日だったから街の中で集合にしたんだよね。
そしたら待ち合わせ場所にちょうどプリクラがあったから、これでいいかって、ねっ。」
ねっ。じゃねえよ。こんな写真じゃ威厳も何もあったもんじゃないよ。
「ちょっとこれじゃ説得力が無いというか....」
「うーーーん、そうねヤハス君の笑顔がぎこちないか..あっ、マオーさんの口元にソフトクリームがついてるじゃん。確かにこれじゃあ威厳ないわね。」
うーーーん、そこじゃないと思うんだけど。
「マリス様、やっぱり神様なんですから、いつもマリス様がやっているようにちょっと派手めな降臨はいかがですか?」
「そうねえ、あれはわたしみたいに美女がやると映えるんだけどねえ、ヤハス君ってちょっと貧素じゃない、貧乏神みたいに見えちゃうのよねえ。
それにヤハス君ってちょっとシャイだから、声だけのお告げしかしてなくて姿を現したことが無いんじゃないかしら。」
「わかりました。ヤハス様の映像はCGで作成しましょう。それはわたしの方で作らせて頂きます。
それと実際のマオー様の映像を合成してプロモーションビデオを作っちゃいましょう。」
「いいわねえ、それ!それなら大丈夫よ。
じゃあ、マオーさんの方はこちらから打診しておくわね。撮影はいつでもいい?」
「はい、事前に連絡頂ければ。」
「面倒だから、今すぐ連れてくるわね。」
そう言うとマリス様はあっという間に消えて、またすぐに戻ってきた。
「お待たせ!」
「マオー様、御足労頂きましてありがとうございます。本日は無理なお願いをしまして、申し訳ありません。」
「いやあ、ランス君かい。頑張っているんだってねえ!
久しぶりだね。会うのはマサルさんが管理局に入った歓迎バーベキューの時以来かな。」
「ええ、ご無沙汰しております。」
「マオー様、ご無沙汰しております。」
「おやおやリザベートさんとイリヤちゃん。お久しぶりですね。」
「あーーー、もう、ちょっと挨拶はそれくらいにして、早く撮影しましょ。
ちょっとこの後会議が入ってるのよね。マオーさんもでしょ!」
「ああマリス君、そうだったね。じゃあ早速始めよう。」
「それじゃあ、マオー様、まずは降臨シーンから、そして静止したところで、隣にヤハス様がいる体でそちらに向いてニコッとお願いします。
えーとヤハス様の身長が少し低いからちょっと俯き加減でお願いします。
じゃあテイク1から、よーい、アクション!」
魔法でバックに宇宙の映像を作って、ワイヤーアクションを駆使してマオー様の降臨シーンを撮影、着地と同時にニコッ。
「オーケー!マオー様、完璧です。次テイク2.......」
こんな感じで無事マオー様の撮影は終了。後はヤハス様のCGを作成してマオー様の映像と合成。
出来た映像をふたりに見てもらい、問題なければ音入れを行う予定だ。
そして3日後、無事ヤハス神とマオー神が手を携えての降臨シーンをクランプアップ出来た。
<<マクリス星 星王マークス視点>>
それは突然の出来事だった。
「星王様、大変です!ヤハス様からお告げを賜りました!」
「神官長、そんなに慌ててどうしたのだ?」
いつも冷静な神官長が血相を変えて王城にやって来たのだ。
「ヤハス様が、ヤハス様が重大なお告げをするから、3日後の正午に全国民が空を見上げるようにと....」
「重大なお告げ....もしかしてこの星の存続に係わるようなことでは...」
「か、可能性はございます。ヤハス神がお告げを出されるのはめったにございません。
確か前回は隕石の接近だったかと。ただあの時も巫女に告げられただけでしたので。」
「そうだったな、あの時は異世界連合防衛軍よりお借りした『対隕石迎撃ミサイル』のお陰で難を逃れることが出来たが...」
「それと、...申し上げにくいのですが、その時間に星王様に魔族領との領界までお越し頂きたいとのことでございました。」
「わしに魔族領の領界までと。ふむ、もしやランス様...」
「何か仰いましたか?」
「いや何でもない。3日後の正午であったな。よし、向かおう。
宰相!早速3日後の正午に全国民が空を見上げるように手配しよう。いいな!」
「はっ、承知いたしました。」
どうやら宰相も感づいたらしいな。
そして3日後、わたしは魔族領との領界である峻険な岩山の頂上にいた。
少し早い時間に到着してみると、魔族領から一筋の光が飛んでくる。
光はわしの前で急に減速し、やがてそれは人型と変わった。
「久しぶりだなマークス王よ。」
「そうだな、マリョウス王。」
若き頃には剣も交えたことがあるわし達にはこれ以上の言葉は必要なかった。
そして正午。快晴であった空の一点に突如穴を開けたように巨大な黒い空間が現れると、そこには2柱の神がお互いの手を取り、双方の信者に向けて仲良くするようにお告げを出しておられた。
わし達はその光景を見ながらお互いに固い握手を交わしたのだ。
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