第504話【キャム、冒険者になる3】
<<キャム視点>>
マリス様のお告げに従い、冒険者の冒険者ギルドへの登録と中級ランク以上にならないとダンジョンへ入れないルールが出来ました。
お父さんやこのダンジョンの初期から冒険者をやっているベテランのヤストさん達が中心となって運用ルールを作っていきました。
僕も学校で習った様々な知識を披露しながら、ランク毎に必要な知識や技能の水準作りに参加させてもらいました。
同時に、学校を卒業したばかりの僕も今年からF級冒険者としてギルドに登録しました。
ヤストさん達は僕の実力をよく知っているので、D級からでも良いんじゃないかって言ってくれますが、あえてF級からスタートです。
実際に出稼ぎに来てF級に登録されている人達と一緒に行動してみると、全然未熟なことがよく分かりました。
何を教えないといけないのか、どんな知識が必要か等、僕が感じたことをお父さん達に説明し、昇級基準とかに反映してもらいます。
僕がF級からB級に上がるまでの3年間で、おおよそのランク基準が確立できたんじゃないかと思います。
ただ、時々例外となる人もいました。
強力な攻撃魔法を使えたり、希少な回復魔法が使えたりする人達です。
彼らはその魔法を使って、Aランク以上の基準となることがありました。
また、信じられないほどの規模の討伐を成し遂げたり、ギルドに多大な貢献をした者も、Aランク以上と評価する必要が出てきたので、彼らにはSランク冒険者として特別な権限を与えることになったのです。
そして最初のSランク冒険者には満場一致でお父さんが選ばれました。
こうして誕生した『冒険者ギルド』は国から正式な国家的組織として認められ、他のダンジョンでもこのランク制は取り入れられるようになり、お父さんのところには、各地のダンジョンを運営している人達がやって来て指導を受けています。
そして、ギルドのシステムを学んだ人達が、それぞれのダンジョンに戻って、冒険者ギルドの支店を立ち上げました。
こうして、冒険者ギルドというキチンとした運営組織と個々の実力によりランク管理された冒険者という職業が確立されたのです。
冒険者登録をしてからおよそ10年の時が流れ、Bランク冒険者となった僕は、初期から苦楽を共にした冒険者メンバー達と共に今日もダンジョンに入っています。
ダンジョンは入口近くは比較的弱い魔物が多く、奥に行くほど強い魔物が現れます。
何故そうなっているのかは不明ですが、マリス様の思召なのでしょう。
ダンジョン内は、各ランクごとに行ける範囲が決められており、その境界に設置された検問所で、ギルドメンバーカードを見せると更に奥に行くことが出来ます。
そして、それとは別に居酒屋『冒険者ギルド』内に設置されている転移門にギルドメンバーカードを当てると、自分のランクに合わせた、お目当ての場所に転移させてくれる方法もあります。
ランクは基本的に個人として与えるのですが、数人でグループ登録している場合、そのグループに対してランクが付きます。
その場合、グループでAランクの実力を認められれば、グループメンバー全員が参加する場合に限って、Aランクの狩り場に行くことが出来るのです。
僕達のグループはAランク指定を貰っている4人組です。
「よし、今日も深部の開拓に行こうか。」
僕達Aランクグループ『竜の咆哮』は、基本的にギルドからの直接依頼で活動します。
そしてダンジョン最深部の調査がメインの仕事です。
冒険者グループ「竜の咆哮」で活動をはじめてから早いもので10年の時が流れた。
「キャムリーダー、新しい盾を手に入れたんですよ。
試してみていいですか?」
「ヤン、どんな機能が付いてるんだい?」
「シールドバッシュって言うらしいんですけど、最近他の星から来たって言う異世界人が売出しているやつなんです。
この間、護衛で王都に行った時に偶然見つけたんです。」
「そういえば、他の星からやって来た人達が居るってお父さんが言ってたな。
うわさじゃ、この星よりもかなり進んでいるって話しを聞いたことがあるな。」
「この盾を見てくださいよ。金属製ですよ。
木に革を張ったやつじゃないですからね。」
「そんな珍しい物、高かったんじゃないのか?
よく買えたな。」
「ええ、それが何とかウンユとかって商会の人で、偶々王都までの道中で、知り合いましてね。
この村の事とか話していたら、興味をそそられたようで。
王都に入る所で別れる時にくれたんです。
タダですよ。タ・ダ・」
「そりゃ良かったな。
ところでシールドバッシュって言ったっけか。
どんな機能なんだ?」
「えーと、確か魔力を流してから、敵の攻撃を受けると跳ね返すとか」
「……お前魔力を制御出来たっけ」
「……………
キャムリーダー、出来ません……………」
ヤンの奴は宝の持ち腐れになりそうだけど。
子供の頃に崖から落ちるところをマリス様に助けられて、お告げを聞いたよな。
まだ先の事だと思うけど、早いうちにもっと経験を積んで、他の星の奴らとも対等に話し出来るようにならなきゃな。
俺はそう遠くは無いであろう未来に向かってそう誓うのだった。
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