第497話【マサル異世界を創る11】
<<アルト視点>>
「だいぶ発展してきたわね。この調子なら、あと少しでダンジョンを繋いでみても良いかもしれないわね。」
10個目の星を創って、そこに人類のカプセルを投入。今度はきちんと氷河期を終えて、ようやく人間を投入出来ました。
そしてそれから人類が住む星「セカンズ」での経過年数で3000年あまり。
自然発生した文明が国際連合に参加できるくらいに発展してきました。
国の数も10ほどになり、他の異世界のように戦争したり、なんやかやで人口も上手くバランスが取れています。
この星の文明は室長達が言うには室長が転移したばかりの頃のラスク星くらいだそうです。
そうそう、『プロジェクト〇特別編 人類誕生』も黎明編に引き続き大好評だったようです。
先日アイエヌエイチの会長が直々に差し入れを持って来て下さいました。
ジェイドさんも役職が上がったみたいで、今では部下を3人引き連れてこのプロジェクトに参加されています。
「本来ならこの辺りで異世界人召喚なんだろうけど、今回は国際連合に加盟することで文明を発展させようかな」
「そうね、今までは異世界人の召喚でしか他の異世界からの文明流入しか考えてこなかったけど、今は国際連合があるものね。
ランス君を通してこちらへの介入も可能だし、自然に様々な異世界の文化を吸収できるかもね」
「じゃあ、その前にマリスさんの言ってたようにダンジョンを繋ぐことにしよう。
それで他の異世界に食料を輸出出来るくらいになったら、ランスに言って国際連合からの使者を派遣してもらおう。
じゃあ、マリスさんお告げをお願いします。」
「オーケー!
『我が親愛なるセカンズの民達よ!
新たな恵みとしてダンジョンの扉を開くことにするわ~。
力あるものはダンジョンに潜り新たなる糧を手にし、この地を潤すのよ〜。』
どう、こんなもんかな?」
「ありがとうマリスさん。お告げを聞いている神官達も含めて、すっかり板についてきたって感じかな。
じゃあダンジョンの繋ぐよ。それと冒険者ギルドにさりげなくメモを置いてっと。」
あっ、冒険者ギルドの職員が、室長がさりげなく置いたメモを見て大騒ぎしています。
早速ダンジョン調査隊が結成され、最初のダンジョンを見つけたようです。
500年ほど前に小さなダンジョンを創っておいたんで、一応、セカンズの歴史の中でダンジョンは過去に存在した謎の遺物として認知されています。
冒険者ギルドから選抜された強者達がダンジョンに入り、その数日後、大量の成果をセカンズに齎しました。
セカンズではこれまで見たことも無いような良質の食材が山のように供給され、高級食材として、高値で取引されるように市場が形成されたようです。
これなら国際連合に加盟しても、他の異世界と交易を通じて対等な付き合いをしていくことが可能になるでしょう。
僕は本来の国際連合常駐班としての任務で、国際連合加盟各国とセカンズのマッチングをしていくことになりました。
「ランス様、ご無沙汰しております。」
「やあアルトさん、久しぶりですね。どうです?新しい星は?」
「順調です。それで今回は新しい星「セカンズ」への国際連合からのアプローチをお願いに来ました。」
「なるほど、じゃあ詳細を聞かせて下さい。」
「はいっ!」
ダンジョン産の高級食材や、温暖な気候で採れる様々な野菜や果物等、食料生産星としてのセカンズをアピールします。
その他にも、9つの星がまるごとダンジョンであり、優秀な冒険者の受け入れに積極的なことも当然アピールポイントです。
他星からの大量の冒険者流入は魔物資源の増産にもなりますし、彼等の落してくれる金銭的な収入も見込めます。
そして、彼等を目当てとした他星の商会が参入してくることで、税収の大幅な増加も見込めます。
もちろん、冒険者の中には荒くれ者達も多いので、治安維持に関する体制についても説明は忘れません。
「お父様の仕事だからね。その辺は抜かり無いと思っていますよ。
それよりも、僕が優遇しているって思う星が出てくる可能性は考えられるかな。」
「……その辺りは室長と相談させて下さい。」
「そうだね。僕が贔屓することは無いだろうけど、お父様はやり過ぎちゃうことがあるから、あんまり他の星との優劣が付いちゃうと、贔屓してるって僻む星もあるだろうからね。」
正直、そこまでは考えて無かったな。
確かに様々な星と交易していくんだから、一人勝ちなんかになったら不味いよな。
「それではランス様、先程の件は、また改めて回答に来ます。」
「うん、お父様や皆さんによろしくね。」
「はいっ。」
これまでは国際連合を支援するってことで、直接的に星同士の問題に関与することは無かったけど、今回はそうもいかないし、折角の機会なんだから、しっかりと対応していこう。
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