第468話【国際連合支援室8】
<<ランス視点>>
「シールさんの言うとおりだ。
ランス、全ては日々の積み上げだ。
日々、最良と思われる行動を採るしか無いんだ。
だけど、足元ばかり見ていたら、アースのようになってしまう。
だから長期に渡って俯瞰出来る国際連合支援室があるんだ。」
お父様の国際連合支援室に対する想いは十分に受け取った。
野良星になりそうなラスク星をアースと並ぶ、いやもう越えているかもしれないところまで高め、国際連合という異世界を纏めるための神にも匹敵するような組織を作り上げたお父様。
そして今は神として僕達異世界人を正しい道へと導こうとされている。
そのお父様の想いは、自身の故郷であるアースの現状を鑑みてより強くなったのだろう。
そして、僕達が出来ることは………
「お父様、皆様、国際連合支援室の熱い想いは、確かに受け取りました。
必ず国際連合が、異世界を纏め上げて、誰もが安心出来る平和な世界にすることにすることを宣言します。
そのためのご協力をどうぞ宜しくお願いします。」
勢いでかなり大きなことを言ってしまったが、後悔はない。
俺の心は晴れ晴れとしていた。
<<ヤルタ視点>>
マリス先輩に連れられて、このラスク星まで来たんだけど、俺は猛烈に感動している。
室長やマリス先輩の熱い想いに触れたことももちろんだが、それよりも室長のご子息であり、国際連合の事務総長の肩書を持つランス様の言葉にも大いに感動したんだ。
そして、少し前までの自分を殴りたい。
局長までもが重要視される国際連合と言う組織。
でも、たかが異世界人の作った組織だから、実際には俺達が面倒を見てやらねばと、タカを括っていた。
でも、室長が作り、ランス様が育てたこの組織は、俺の予想をはるかに凌駕していた。
見学させて頂いた軍隊や市井の技術力、民度は、俺達の世界に勝るとも劣らないだろう。
そしてランス様の熱い想いを感じ取った今は、異世界人に対する侮りなどどこにも無かったんだ。
<<国際連合事務長ヤンガ視点>>
またまた、新しいことが始まるみたいですね。
マサル様、いえもうマサル神ですよね。
マサル神様が部下となる神々を率いて降臨なされたそうです。
その中にはこの世界の創造神である女神マリス様とそれを支える2柱ポーラ様とシール様も交じっておられたそうです。
ランス様も半分呆れておられましたが、かつて我々と同じ世界で生きておられ、今なお神として我々を導き下さるマサル様であれば、御3柱を配下に置かれてもさもありなんでしょう。
あ、そうそう、国際連合の組織変更についての話しでしたね。
これまで国際連合には3つの大きな組織体がございました。
1つ目は理事星会議。
これは国際連合加盟国から選出された理事星による会議体で、国際連合の基本的な方向性や指針を議論しまとめる組織体です。
2つ目は国際裁判所。
加盟各星間の揉め事を調定する機関です。ここでは特許等の管理も行われています。
3つ目は異世界防衛連合軍。
これは昨今の一連の騒動で皆様よくご承知だとは思います。
現在は常備軍2万、各星の防衛軍を合わせると20万の兵力を持つ一大組織です。
そしてこの度、マサル神様、ランス様の肝いりで4つ目の組織体が誕生します。
『開発復興支援隊』
発展途上にある加盟各星の開発支援はもちろん、野良星と呼ばれる非加盟星でもその星の住民が希望される場合は国際連合への参加支援や開発支援を行うための組織体です。
そしてこの栄えある新組織の隊長として、わたくしヤンガが拝命頂きました。
思えば故郷シンゲン星を離れこの国際連合に職を頂きましてから早30年。現在の事務長の地位ですら身に余る光栄でございましたのに、新部署のリーダーとして拝命を受けたことは、わたくしにとって天にも昇る気持ちであります。
そして、マサル神様やランス様肝いりのこの組織を預からせて頂くことに一層身の引き締まる思いでございます。
拝命頂いたからには、この身が尽きるまで粉骨砕身働かせて頂く所存であります。
<<リザベート視点>>
マサルさんの想いが詰まった開発復興支援隊。
長年事務長として縁の下の力持ちとして頑張って下さっているヤンガさんが隊長に選出されたようですね。
温厚ながら、何にも屈せず職務に実直なその姿は、創業当時のカトウ運輸を支えてくれたヤングさんを思い出させます。
別に名前が似ているからではありませんよ。
マサルさんの桁外れの行動力を陰で支え、カトウ運輸をあれだけの大商会にまで育て上げたヤングさんを彷彿させるほどの活躍をヤンガさんはされておられるのですよ。
ちなみにヤングさんなのですが、亡くなられた後、商売の神様として各所にお堂が建っています。
もしかしたらヤングさんがヤンガさんをサポートしてくれているのかもしれませんね。
国際連合支援室編 完
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