第460話【正義とは?4】

<<マサル視点>>


『国際連合支援室』


新たに俺に与えられた部署の名前だ。局長と室長と間で前もって話し合いが行われていたようで、調査室に戻ってからの動きは早かった。


まず、局長に呼び出されてふたりで局長室へ。


そこで改めて『国際連合支援室 室長』の辞令を交付される。


そして、この人事が異世界管理局内に齎す影響とその中で出てくる様々な膿を調査するようにとの指示も出た。


局長室から出た俺は調査室の自席に着く。


ユウコさん達の席島から少し離れて、間仕切りで囲われた区画。


実は国際連合支援室の事務所は調査室を間仕切りして作ることになったのだ。


これは新たに発生するであろう火種を想定しての局長とジーク室長の判断からである。


異世界人、こちらの世界でいうモルモットのような俺が異世界管理局内で局長直下の新部署の室長になったわけだから、妬みや誹りが当然起こるであろう。


それは裏を返せば異世界管理局内に燻る火種であり膿でもあるはずだった。


そういった意味でもこの部署の新設となったわけだ。


まあ俺としては迷惑な話なのであるのだが。


「「「マサルさーーん、これからよろしくお願しますねーーー」」」


やっぱりそうか。深いため息と共に早速運営課から移動してきた3人を迎え入れる。


マリスさん、シールさん、ポーラさんのおなじみの3人組だった。


「まっさか、マサルさんが上司になるなんてね。


ビックリしたわ。」


「あらっ、わたしは予想してたわよ。」


「そりゃそうでしょう。

だってマサルさんって、上司にしたい男性ナンバーワンなんだから。」


「ほらね、わたしのくじ運は大したものでしょ。」


「マリスさん、シールさん、ポーラさん、本当に俺が上司で良いんですか?」


「何言ってるのよ。全く問題無いわ。


マリスなんて真っ先に手を挙げたんだからね。」


「そうよ、マサルさん。


女子職員がほとんど手を挙げたから、勝ち抜きバトルが大変だったんだから。」


「大した人気者だな、マサル君。


ほら、工作課からも来たみたいだよ。」


調査室の扉から顔を覗かせているのは工作課から選抜された3名の男性だった。


「マサル室長、はじめまして。


工作課から来ましたアルトとスイムとヤルタです。


今日からよろしくおねがいします。」


「あら、工作課からは去年の新人君達じゃない。」


「マリス先輩、シール先輩、ポーラ先輩、ご指導のほどよろしくおねがいします。


僕達、室長を始めお三方に憧れて、この部署に立候補したんです。」


「まぁ、かわいいことを言ってくれるわね。


シール、ポーラは工作課の先輩でもあるんだから、しっかり面倒を見てあげないとね。」


「マリス、あんたはマサルさんに迷惑をかけないようにしっかりしなさいよ。」


「もおーー。そんなこと今言うことないでしょ。」


「ほら、マリスさんもボーラさんも、3人が困ってますよ。

アルト君、スイム君、ヤルタ君だったね。


今日から君達の上司になるマサルです。

よろしくね。」


「「「はいっ!よろしくおねがいします!!」」」


「さあ、メンツも揃ったことだし、今日はわたし達の歓迎会だよね。


ねぇマサルさん。」


「良いも悪いも、もう予約してあるんでしょ。」


「さっすがー、わたし達のことは良く分かってくれてるわ。」


「と、言うことらしいです。


ジーク室長達もご一緒に如何ですか?」


「そうだな、たまには若い子と呑むのも良いな。


なあ、ジオン、ユウコ君。」


「わたしは誘ってくれないのかい?」


「「「局長!!!!」」」


「もちろんお誘いさせて頂きます。」


「じゃあ、マサル君、ジーク、早速今から行こうか。


マリス君、予約してあるのかね。」


「……はっ、はいっ。ご案内させて頂きます。」


マリスさんいつもの癖で局長の姿を見て隠れようとしたところを見つかったな。


工作課からの3人は、青い顔をして固まってるし。


苦笑いのジオンさんとユウコさんに連れられてなんとか動けるようになったみたいだな。


マリスさん達はといえば、局長に首根っこ持たれて借りてきた猫みたいに大人しくしてるよ。


最後に部屋の戸締りをして、皆んなの後を追いかける。


なんか前途多難な予感がするよ。



正義とは?編 完

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