第401話【プロフェッサーゼロス6】
<<マイク視点>>
俺は第2実働班を率いるマイクだ。
マサル様から亜空間の魔道具を貰った俺達第2班は、同じくはハリウス星に向かうムラマサ率いる第4班と一緒に急いでハリウス星に向かった。
ハリウス星では王都を囲う巨大な城壁に立てこもった王国軍と正体不明の襲撃軍が対峙を続けていた。
俺達は上空から遠眼魔法を使って様子見だ。
襲撃軍の後ろにはそれまで襲撃軍と戦っていただろう無数の王国軍の兵士達が斃れている。
その兵士の数に比べて斃れている襲撃兵の数があまりにも少ないのが襲撃軍の圧倒的な攻撃力を物語っていた。
「くそーー、ムラマサ!俺達もすぐに攻撃に加わるぞ!」
「待てマイク! 少し考えるんだ。あの城壁外の圧倒的な戦力差をよく見てみろ。
それに王国兵は簡易ながらも防壁を築いて応戦していたにも関わらず、圧倒的に破壊されているじゃないか。
あの粉砕された瓦礫の量を見る限り、襲撃犯には何らかの攻城兵器を持っていると考えられるんだ。そうなのに何時間も城壁を攻めあぐねているのはおかしくないか。
その攻城兵器も見当たらないし。」
たしかに、ムラマサの言う通りだ。俺も自分の星で何度も大規模な戦闘を経験しているが、攻城兵器も持たずに城攻めをするなんて無謀以外のなにものでもないし、最近は城壁に辿り着かれる前に頑丈な防護壁を張る魔道具も広く普及している。
恐らく城外の瓦礫もその類だろう。とすれば、今の襲撃軍はあまりにもおかしい。
攻城兵器をも上回る魔法を持っているのであればそれを城壁に使わないのはおかしいじゃないか。
どうしてだ.....
「もしかすると、攻めあぐねているのではなく、時間稼ぎか..... まさか陽動?」
「だが、司令班から何も連絡はないぞ。」
「いったいどういうことだ?」
「分からん。とりあえず下に降りてみよう。」
俺達は城壁と反対側、戦闘後の残っていない城外の右側に広がる草原に降り立った。
その直後、俺達は集中砲火を受ける。
城壁に向かっていたはずの襲撃軍が一斉にこちらを向いて攻撃してきたのだ。
「伏せろ。魔法障壁を張るんだ!」
俺はメンバーにそう叫んで魔法障壁を張らせた。
メンバーのほとんどは魔法を使えるし、防御に特化したものも少なからずいるのだ。
魔法障壁により敵の砲撃が収まると、こちらも攻撃態勢に移る。
「遠距離攻撃班前へ。」
遠距離の攻撃を得意とする者達5名が前に出る。
距離約200メートル。
「撃てーー!」
炎や水、氷や雷など、様々な魔法砲撃が虹色に輝きながら敵に向かっていく。
しかし、敵にも魔法障壁はあり、その半数以上は霧散してしまった。
だが、それは同時に相手の攻撃を止めることにもなる。
「よし、突撃班、前に!」
筋力強化が得意だったり、近距離攻撃特化の能力を持つ者達が自らの得意な得物を持って前に出てくる。
「遠距離攻撃班は味方に当てないように注意して相手の魔法障壁を突き崩せ。
突撃班、俺に続けーーー!!」
俺は突撃班のメンバー30人と敵の陣地に向かって走り出したのだ。
<<ムラマサ視点>>
マイクの奴、やっぱり血の気が多いな。まだ敵の能力も未知数なのに突っ込んで行きやがった。
近接戦闘型のマイクに比べ、俺はどちらかというと中距離攻撃を得意とする。
ある程度至近距離まで行って強力な魔法弾を浴びせるのだ。
「よし、中距離攻撃班、突撃した第2班のフォローに入るぞ。」
「「おーーー!」」
俺の班には中距離攻撃に長けた者が多い。だから、他の班をフォローするパターンが多いのだ。
自分達の役割を知っている俺の班のメンバーは、すぐに体制を整えて俺の後に続く。
マイクの所の遠距離攻撃班が上手く敵に弾幕を張ってくれているおかげで、中距離攻撃できる距離まではすぐに近づけた。
人数は互角だが、あちらは城壁に割く兵も必要だろう。
うまく、立ち回れば案外早く決着をつけられるかもしれない。
そう思ったのもつかの間、俺は敵の姿を見て驚く。
彼らはこちらからの激しい魔法攻撃をもろともせずにマイク達に突っ込んで行った。
それもほぼ全員で。
「まずい!!このままじゃマイク達がヤバい。全員突っ込むぞ。」
第2班の英距離攻撃で敵陣に向かって張られている魔法弾幕をかいくぐった敵は、マイク達に肉薄する。100:30ではマイク達に分が悪い。
しかも、肉弾戦になってしまった場合、味方にも損害を出す遠距離攻撃はなんの役にも立たないのだ。
俺は40名のメンバーを引き連れてマイクの近くまで走り出した。
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