第243話 【5人揃っての休日2】
<<イリヤ視点>>
お兄ちゃんに誘われてピクニックに行くことになりました。
セラフちゃんが家に来たのでお兄ちゃん嬉しそうです。
逆にセイルちゃんとハリー君はちょっとご機嫌斜めかな。
セラフちゃんは相変わらず表情が乏しいのでよくわからないけど、嫌がってはいなさそう。
メアリさんが作ってくれたお弁当を持って、さあ出発です。
5人で歩き出したらメインストリートを通りかかりました。
セラフちゃんは、あまり地上に降りてくることが無いようで、立ち並ぶ店先の商品に興味津々みたい。
お兄ちゃんは早くピクニックに行きたいのか、セラフちゃんに舞い上がっているのか分からないけど、先を急いでいる。
「セラフちゃん、あの服可愛くない?この店に入ってみましょう。」
わたしはセラフちゃんを誘って服屋に入っていきました。
店に入る前にお兄ちゃんをちらっと見ると、ため息をついているみたい。
お店に入ると、色とりどりのきれいな服が並んでいます。
さすがハローマ王国でも指折りの有名店、いつ来てもワクワクします。
セラフちゃんも興味深そうに店内に飾っている服を見ています。
「セラフちゃん、この服なんかすごく似合いそう。試着してみない?」
セラフちゃんの赤髪によく似合う薄いピンクのワンピース。
今着ている服が似合わないわけじゃないのよ。
店員さんがすぐに近寄ってきて、セラフちゃんを試着室へ案内してくれました。
セラフちゃんは戸惑いながらも店員さんについていき、試着室に入っていった。
2分後、試着室から出てきたセラフちゃんは、そのまま店の外に走りだしたから、ちょっとびっくり。
わたしと店員さんは少し慌てて後を追ったんだけど、わたし達の杞憂だったみたい。
店の外でやけに顔をにやけさせたお兄ちゃんの前にセラフちゃんがいたから。
お兄ちゃんに見せたくて店の外に飛び出したみたい。
わたしは店員さんにお金を渡してその服を買い取った。
後でお兄ちゃんに請求しなきゃね。
メインストリートを抜けて山側に入っていくと、お兄ちゃん達が切り開いている新しい街が見えてくる。
既に家も建ち出してメインストリート側から人が住みだしているみたい。
その住宅地の真ん中を通る道を上っていくと『ロープウエイ』の乗り場を作っていた。
ここから山頂まで『ロープウエイ』で10分くらいで移動できるようになるらしいの。
途中に何個か乗り場を作るみたいだから、ここから上に住む人達も便利そうね。
工事現場の横を抜けて、上に進むと広い更地に出た。
「ここは大きな公園になる予定だよ。
この先のわき道を入って行ったところで、ダンジョンをみつけたんだよ。」
お兄ちゃんが自慢気に話し出した。
「今は入り口付近が観光ルートになっていて、奥の方はダンジョンとして、多くの冒険者達が入っているんだ。
でもね、観光客や冒険者を目当てに屋台がたくさん増えてきて問題になりそうだったから、ここに公園を作ることになったんだ。
この公園には、登録制で屋台がでるし、ベンチやトイレなんかもたくさん作る予定だよ。
そうそう、桜の木もね。」
桜の咲く季節には、すごく賑わいそうね。
来年の春は楽しみだわ。
公園の建設予定地を越えて先に進むと、道の工事現場に着いた。
「今はここで作業しているんだ。
未だ頂上まではしばらくあるけどね。
目的地はこの先だよ。」
道から少し離れたところを入って行くと、辺りいちめんお花畑が広がっていた。
「ふわあー」
思わず声が出ちゃう。
そのくらい綺麗。まるでこの世じゃ無いみたい。
セラフちゃん達も驚いている。
「お父様やスポックさんも案内したんだ。
ふたり共驚いていて、ここは国有地にして、この光景を守ることにしたんだ。
だからね、ここでピクニックできるのは今だけなんだよ。」
わたし達は、お花畑の中を気を付けながら進み、少し開けた場所に敷物を敷き腰を下ろした。
セイルちゃんやハリー君も花の近くに行って匂いを嗅いだり、眺めたりしている。
お兄ちゃんが亜空間ポーチから大きな包みを取り出して、敷物の上に置いた。
わたしはそこからお弁当を取り出して並べていく。
「美味そうなのじゃ。」
セイルちゃんが早速近づいて来る。
「我も食べるぞ。」
ハリー君も後を追って来て、セイルちゃんの横に座る。
何やかんや言っても仲が良いんだから。
セラフちゃんは、いつの間にかお兄ちゃんの横に座っていた。
わたしは皆んなの前に飲み物とお皿とフォークを置く。
「さあ、お弁当を頂きましょう。」
「「「いただきます!」」」
相変わらずメアリさんのお弁当は美味しいね。
あんなにたくさんあったのに、1時間ほどで全て無くなっちゃった。
お弁当の後は各自お花畑を楽しむ。
わたしとセラフちゃん、セイルちゃんはお花を摘んで、首飾りや髪飾りを作ってお互いに交換したりした。
お兄ちゃんとハリー君は虫を捕まえるのに必死みたい。
少し影が伸びてきたので、そろそろ帰ろうと、お兄ちゃんに声をかけようとしたら、お兄ちゃんとセラフちゃんが並んで花を見ていた。
もう少しここに居ても大丈夫だよね。
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