242.無雲41歳は毎日母と一緒に風呂に入る。

 無雲は現在四十一歳。今年の九月には四十二歳になります。そりゃもう、良い大人。中年でそろそろ更年期も見えてくるお年頃です。


 が、無雲のメンタルは子供の頃から大して成長していない。何故こんなに子供っぽいのか自分でも悩んでいるほど子供っぽい。


 それが現れている行動があります。


 おいたんが去年十月に障害者施設で問題を起こした辺りから、無雲は毎日母と一緒にお風呂に入っているのです。


 昔、多剤大量処方でボーっとしていた頃も、毎日母とお風呂に入っていました。


 頭がクリアになってから、数年間は一人でお風呂に入る事が出来ていました。所が、ここに来て、一人でお風呂が無理になってきました。


 たまに、毛を処理するとかいう時だけは一人でお風呂に入るのですが、それって月に一、二回程度。


 それ以外は、毎日母とお風呂に入る。とにかく、毎日。


 母とお風呂で特別な事をする訳ではありません。ただ、一緒に入っているだけです。でも、何だかそれだけで無雲のメンタルはホッコリするのです。


 母は、「それで無雲が落ち着くんだったらそれでいい」と言って一緒にお風呂に入る事を容認してくれています。父やおいたんがどう思って見ているのかは気にしないです。


 無雲は四十一歳だけど、まだ母への依存心が強いです。母にベッタリです。心が不安定になると、居間でゴロゴロして母の手をずっと握っていたりします。


 よくこんなんで母から離れて三年間おいたんと二人暮らし出来てたな、って思うんですが、アパートと実家は自転車で二十分の距離だったので、何かあると母はすぐ駆けつけてくれていました。何せ、母の職場から無雲が住んでいたアパートは自転車で三分の距離でしたので。


 おいたんが失業中、職業訓練が終わるタイミングで実家に入りました。おいたんはそれからも失業を繰り返したので、実家に入っていて本当に良かったと思います。


 無雲の幼稚なメンタルでは、一人でおいたんを支えきれません。


 昔、M先生に「もっと大人っぽくなりたい」と相談した事があります。そうしたら、ADHDだと診断されて薬が出されました。今はADHDの薬は何も飲んでいませんが、無雲はそんな診断が欲しかったのではなく、ただ、大人になるアドバイスが欲しかった。


 実は、無雲は両親の前では一人称が名前です。結婚したタイミングで、一人称を『私』にしたのですが、母がからかってきたので嫌になって名前に戻しました。


 おいたんの前では『〇〇名前ちゃん』だったり『私』だったりします。


 四十一歳でこれはヤバかろう。と自分では分かっているのですが、もう今更なかなか直らない。直すタイミングを失った……。


 お風呂にも一人で入れない、一人称は名前呼び、こんな四十一歳で大丈夫なのか。


 だったらお風呂に一人で入って一人称も『私』にすればいいだけなのですが、なかなかそれが出来ない。無雲にはとても難しいのです。


 M先生から、一度私は死んでから生き返ったようなものだから、まだメンタルが幼児なんだと言われた事があります。その理論で行くと、無雲は今六歳くらいのはず。


 うーん。でもそれってどうなんだろう。二十歳までは普通に生きてたしなぁ。


 自分が若い頃は、四十代って凄い大人に見えていた。働き盛りで、子育てして、家事して、社会のど真ん中にいる感じ。


 なのに自分はどうでしょう。振る舞いがまるで子供なのです。


 ちなみに、おいたんも年齢は五十四歳ですが子供みたいな人です。


 そんなおいたんに父は苛立ちを隠せないのですが、母が「病人だから。障害者が二人居ると思って諦めなさい」と諭したそうです。


 おいたんは、見た目的には老けて見えるらしく、よく私の父親に間違えられています。でも、振る舞いや行動がやはり子供みたいです。これってADHDの特徴なのでしょうかねぇ。無雲って、そういう本読まないからあんま分からない。そういう本を読むと当てはまりすぎて苦しくなってくるから読まない。


 年相応な振る舞いがしたいだけっていうのが無雲の悩みなのですが、開き直ってしまえばこれも個性です。私ら夫婦に子供が居るわけでもなく、大人の振る舞いを求められる事も滅多にありません。ごく稀にビジネスのやり取りをする時はそれなりの対応は出来ています。なら、いいじゃねぇか! って開き直っている面があるのです。


 人生、開き直りが肝心だよね。って最近思います。おいたんの事も、開き直りが重要です。なので、今日のオチとしては、無雲は開き直ってこのままの路線で行こうかと思っている事を宣言します(笑)。


 母にベッタリ・一人称は名前・風呂は母と入る。


 上等じゃねぇか。いいんだこれで。それが無雲クウォリティー!!!

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