第22話 私の可愛い妹

「美味しかったな……パフェ」

 ツミキ達と別れてすぐに帰ってきたシキ。窓辺に座って、外を見てボーッとしている

「シキ。ここにいたの?」

 しばらくするとシキのもとに、シンクがやって来た

「シンクお姉さま。お帰りなさい」

 振り返り返事をしていると、シンクがシキの隣に座りそっと頭を撫ではじめた

「シキ、今日は何をしていたの?」

「街に出て散歩をしていました。シンクお姉さまは?」

「私も森の方へ行ってお散歩。街は私には、あまり合わないようね」

 すると今度は腕を伸ばすと、その腕はシキを包むように抱きしめた

「シキ。私の可愛い愛しい妹。あなたがいれば私は頑張れるわ」

 と、優しい声でシキの体を更に引き寄せて、強くぎゅっと抱きしめる

「シンクお姉さま。私もです」

 そのまま体をシンクに寄せて、二人のんびりと過ごしていく。会話が少し途切れ静かになると、愛しそうな声でシンクがシキの名前を呼ぶ

「シキ。あなたの願いは私の願い。あなたの悩みも私の悩み。二人共に生きてきた。そして、これからも……」

「ですが、お父様が……」

「そうね。でも、お父様も分かってくださるわ」


 その後もシキを抱きしめたまま、外を見続けていくシンク。夕刻の時も終わりそうになった頃、シキのお腹が小さく、ぐぅ。と鳴った。それに気づいたシンクが微笑むと、シキが恥ずかしくて照れ笑いをしていると、シキを抱きしめていたシンクが手を離し窓辺からも離れ、建物の奥にある螺旋階段の方へと歩いていく

「そろそろ、行きましょうか。お腹も空いてきた頃だし」

 背を向けてシキに話しかけていると、シキが後を追いかけてく。螺旋階段の途中で二人並ぶと、また楽しそうに会話が弾む

「今日の夕御飯は、シキの好きなご飯にしましょうか。なにが良い?」

「シンクお姉さまの好きなものが食べたいです」

 微笑み返事をするシキに、シンクも微笑むと、またシキを抱きしめた

「優しい子……。一緒に、ご飯を作りましょう。お手伝いしてね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る