第67話

「それじゃ、ダルマ君、ブィブちゃん今日もアケミを探そうか」

「はい!!」

「めんどい……」


 ヒューズ達は、本日も出会い系サイトのエブリデイでアケミを探そうとパソコンの前に座り込む。


「昨日は関東探したから、今日は東北を探そうか」

「なら俺は九州地方探しますね!」


 結局、ダルマ一人の登録ではアケミを探すのに効率が悪いという事になりパークの写真を撮って登録をした様だ。


「筋肉の人気はどう……?」

「うーん、パークの方のアカウントでは特にメッセージとか来て無いね」

「ふふ、やはり筋肉か……」


 フィブは一人で笑っている。


「お前、相当おかしい奴だな……」


 ダルマはフィブを見ながら呟く。


「私ってミステリアス……?」


 だが、フィブには嫌味が効かない様だ。

 それから三人はお昼までアケミを探したが見つける事が出来なかった。


「全然見つからない……」

「やっぱり、あれは嘘だったんですかね?」


 ヒューズは顎に手を置き考え込んでいる様だ。


「うーん、噂の可能性は高いけど、続けようか」

「「はーい」」


 三人はお昼を食べてからも引き続きアケミを探したが見つかる気配は無かった……


「どう、調査は進んでいる?」


 プルの声に三人が顔を上げる。


「いえ、アケミなんて全然いないですね」

「プルさん、私他の仕事したい……」

「お、おい。半人前の俺達に仕事なんて無いだろう!」


 どうやら、フィブはひたすら出会い系サイトを見るのに飽きた様だ。


「ふふ、丁度良いわ。ヒューズ班には仕事を頼もうと思ったのよ」

「なんですか?」

「実は、変死体で見つかった男の友人にコンタクトを取れてね、この後会う予約取り付けたから、話を聞いてきて欲しいのよ」

「なるほど。流石プルさんだ」


 一体どの様にして連絡先を知ったのか分からないが、三人は直ぐに準備をしてパラノーマルの事務所を出る。


(やっぱり、プルさんは凄いな。俺も負けてられないな)


 ヒューズは一人でもっと頑張ろうと決意した様だ。


「それじゃ、行こうか」 

「どこまで行くんですか?」

「帰りに美味しいものでも食べて帰ろう……」


 ファブは、中で仕事をするよりも外を歩き回っている方が好きなのか、先程よりテンションが上がっている。


 三人はプルに教えて貰った場所に向かうと、そこは雰囲気の良さそうな喫茶店があった。


「甘い物食べて良い……?」

「ダメだ、仕事中だぞ?」

「ダルマには聞いてない……ヒューズいい……?」

「はは、もちろんいいよ」


 三人は喫茶店に入ると、既に約束の人物は席に座っていた。


「あの、貴方がプルさんと約束された方ですか?」

「え、えぇ?」

「いきなり声を掛けてしまい申し訳ございません。私パラノーマルの者です」


 ヒューズが社名を名乗ると納得したのか、柔らかい笑みを浮かべた。

 飲み物などを頼み、最初はたわいない話をしてからほんだいに入った。

 

「それで、この前の事件で亡くなった方のご友人さんなんですか?」

「そうです」

「辛いとは思いますが色々お聞きなっても宜しいですか?」

「はい、大丈夫です」


(プルさんが、事前にアポを取ってくれたお陰で質問しやすいな)


「それでは、まず亡くなった友人は恨みとか買う人だったんですか?」

「い、いえ! アイツは皆んなから好かれていました。誰かに恨まれるなんて考えも尽きません」


(よっぽど大事な友人だったんだな……)


「それでは、亡くなる前に何か言っていた事とかありますか?」


 ヒューズの質問に男は一度深く考え込んだ。


「い、いや。特に変わった事とかは無かったし、聞いたりもしてないな」

「そうですか……」


 それから、最後に会ったのはいつで、死んだ者の友人関係など、事件に関係ありそうな事は全て聞いたが、何か手掛かりになりそうな事は聞けなかった様だ。


(特に目ぼしい情報は聞けなかったな)


 時間も結構経過した為、そろそろ解散しようとしたその時……男が思い出す様にヒューズ達に語り始めた。


「そうだ……そういえば死ぬ何日か前にスゲェーいい女とデートするとか言っていたな」


 その言葉を聞いた瞬間に三人の顔付きが変わる。


「それはどんな女でしょうか?!」 「い、いや。流石に写真とかは見せて貰わなかったな」

「他には何かその女の事で言ってませんでしたか?」

「うーん、なんか出会い系サイトで知り合ったとか言っていたな」

「そ、その相手の名前とか覚えてますか?」

「うーん、ダメだ! なんか言ってた様な気もするが思い出せねぇ」 


 男の言葉にダルマとフィブはガッカリしたのか、顔を下げる。


(名前を聞けなかったのは残念だったけど、一歩前進だな。これで都市伝説の可能性が高くなってきた)


「お話、ありがとうございました。もし思い出したら、こちらまでご連絡下さい」


 ヒューズは名刺を渡し、喫茶店を後にした。


「相手がアケミだったら大発見だったのに……」

「本当だよなー! なんか、惜しかった」

「はは、でもこれで都市伝説の可能性が少し高くなったね。やっぱり引き続きエブリデイでアケミを探してみよう」


 こうして、ヒューズ班はパラノーマルに戻った……

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