第八話 好きなノンケ ②


蒼汰は、無類の女好き。



英語を学びたいと願い、シェアハウスで行われるイングリッシュ・アクティビティに参加するのは、外国人をナンパしたいからという理由だった。



私は女好きという所を見せつけられる事に、とても耐えられなかった。


蒼汰はそんなつもりなかったと思うけど、私は嫌だった。



それでも、廊下をすれ違う度に挨拶してくれる彼が好きだった……。





みなさんは、好きな人と一緒にいる時、ドキドキしますか?


苦しい程に胸が脈打ちますか?




私は、蒼汰の事を考えている時や楽しそうに仲間とリビングで過ごしているのを見てる時はドキドキするのだけれど……



一緒にいると、ドキドキしなくなるんだ……。まるでもう一人のお兄ちゃんと一緒にいるような感覚。そして、ふと思う時があるの……例え、私と蒼汰が付き合えたとして、避けられないのが性行為……けれど、男性同士はアソコを用いる……。


私は彼がそういう行為すると考えると身震いがしてくる。


数多くの男性を好きになったけれど、身震いなんてせずに、顔を赤らめていたけれど、蒼汰だけは特別だった……。彼を汚したくない……彼にはちゃんと女性としてほしいって……。


だからこそ、とても苦しかった。



好きなのに……告白したいのに……女好きのノンケ……。


専門学校時代の最悪の思い出がよぎる……。



告白すれば、流している今の涙より辛い涙を流す事になるって考えると、気後れしてしまう……。


そして、彼がシェアハウスから出る日まで、私は告白しなかった……。



気付かれてるかもしれない。おしゃべりな女達に話してしまってるからね……。



それだとしても、変わらず接してくれる彼が好きだった。



LINEで彼から連絡があった。ちょうどその日残業してて、居ない時間だった。


「もう気が付いてるとは思うけど家出ちゃった。何回か扉コンコンしたんだけど、居なくて報告が遅くなってしまった。7/10は行こうね!」



わざわざ5日後に連絡してくれる彼に愛おしさを感じた。



7月、『ナンパ船』と呼ばれる納涼船に乗る約束をしていた。同じ屋根の下じゃなくても会ってくれるのがすごく嬉しかった。



4回ぐらいかな……会ったの……。少ないけど……ちょうどよかったのかもしれない。


彼は家に着て、浴衣に着替えてから一緒に向かった。汗かいたとシャンプーと石鹸とドライヤーを貸し、彼に着付けした。


私の帯を褒めてくれたり、一瞬だけまた訪れた恋人気分だった。



他の女子2人と合流して、納涼船は動き出した。


2人はナンパされて、私は彼と一緒に過ごした……。


ナンパ……しに行かないのかな……?


女好きのはず……と思ったと同時、ケバイ女が私より先に聞いた。彼が言うには、「納涼船を楽しむために来たからさ」と爽やかに言った。



私は嬉しかった……。


彼は私と一緒にいてくれた。食べ物を食べたり、ビール飲んだり。


肉巻きおにぎり一つを二人で分け合ったり、残ってたビールを二人で飲み合ったり……。



彼はきっと、間接キスとか気にしてない人なんだと思う。



でも私にとっては幸せな瞬間だった。ちょうど塗ってた口紅も消えかかってたから着く心配は無かった。


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