第七話 好きなノンケ



それからは約2年間も彼とのエピソードでいっぱい……。それを書き綴っていこうと思うよ。



和裁も着付けも、専門学校のおかげで習得出来たから、花火大会・ホームパーティー秋祭りでも、私の着付けとヘアメイクアップはお手の物だった。



彼に着付けは出来なかったけど、浴衣姿を褒めてくれた。




私は、もちろん女装で行った。みんな私の個性を受け入れてくれたからずっとずっと過ごしやすい。




蒼汰はふいに私に聞いた。



「俺に浴衣作ってくれない?」



と……



それから1カ月後、彼と浴衣探しの旅に出た。彼を巻き込んだりしちゃったけど、『デート』みたいで楽しかった。



彼は女装の姿で行った私を普通に受け入れてくれて、駅で電車を待っている時にパピコを半分こして食べたり、電車の中でも彼は周りの目を気にせずに話しかけてくれたり、電車乗る時必ず端っこを開けてくれたり、とても優しかった。



昼食はステーキ・ハンバーグ屋さんで、味は覚えてないけど、私は丁寧にガサツさを出さない様に食べた事だけは覚えてるww



しかも、割り勘じゃなくて、



「俺年上だから」



と言わんばかり、当たり前のように私の財布を押し返してくれた。その優しさに、私は……



『好き』



その想いでいっぱいで、5月末だったけど、気持ちは春色だった。



浴衣を洋服生地で作る事になり、彼なりの趣味か、抹茶色の矢絣の生地を買った。



それから約6時間ぐらいかな、一緒にいた。彼も疲れたのか帰りの電車で眠りこくってた。

肩が触れ合い、頭が肩に当たる前にすぐに体勢を整える……それの繰り返し。けど、乗っからなくてよかったの。当たるだけで幸せだったから……



帰ろうとした時、



「ごめん康ちゃん!スーパーによるわ!後で談話室で!」



と言った。採寸するために談話室で落ち合う事になった。一人帰る事になったけど、私は気持ちを落ち着かせるにはとても楽だった。




腰を採寸する時、彼の局部に手が当たった瞬間があった……。彼はビクついたり、驚きもせず、ただじっとしていた。気付かなかったのか……気にしていなかったのか……私は今でも謎だった。




採寸し終わると、彼からドリンク剤を差し入れしてくれた。偶然にも私が良く飲むやつだった。



「明日仕事頑張って!」



って笑顔で言ってくれた……



私は……彼と一緒になりたい……そう思ってしまった……無理なのに……。




浴衣を作り終えたのはそれから3週間後だった。彼の予定してたイベントには間に合わなかった……『嫌われる!!』そう思った……



けど彼は笑顔でそれを嬉しそうに試着してくれた。



「あーあのイベント、雨だったから結局着なかったと思うから大丈夫だよ!」


って言ってくれた。確かに雨だったけど、納期を遅れた事に自分が許せなかった。



「お礼にランチ作ります!!」


と胸を張って言う彼に私は『愛おしい』という言葉しか出なかった。



数日後、休みが合って、彼がステーキを作ってくれた。



コース料理よろしく、前菜・スープ・デザート・紅茶まで用意してくれた。



ごはんがちょっと水気が多かったけど、彼が作ったからと思ってとても嬉しく、おいしく食べた。


私がお礼にお皿洗おうとしたとき、


「いいよ!」


と言って、私に封筒を渡された。


「ちょっと少ないけど」


と言って5千円入ってた。



それが最初で最後の彼が作ったごはんだった……。

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