第五話 新たなる旅立ち


2014年春。



私は日本へ渡り、豊塚和裁専門学校に通った。洋裁・製菓・調理・栄養も兼ね揃える学園で。そこに3年間通い続けた。



初めは友達が出来たけど、裏切られたり、同級生のほぼ嫌いだった。



私を人間不信に陥れさせた3年間だったが、トランスジェンダーの私を受け入れてくれた周りの人々のおかげで成長できた。人間不信は卒業した今でも起こっている。




兄が日本での社会人生活を先にしていた為、様々な事を教えてくれた。



人に感謝する事

人として恥じない人生を迎える事

考え方・見方を変える事

目標を高く持つ事




等々、高校を卒業したての私には苦しかったけれど、2年間を経て、私を変えてくれた。



日本に来ても相変わらず恋はし続けた。



洋裁部門に通うジョンというハーフの同級生との恋に走ったり

事務のイケメン若造の事を好きになったり

出会い系アプリでおよそ5人のゲイの人に会ったり



日本に来てから、私は楽しく過ごした。




ジョンは今思うと最悪の記憶だったけど、初めて告白した相手だった。



日本のテレビドラマとかアニメ、小説でよくある、




『手紙で告白』




を実行した。専門学生にもなって、サント・ベローチェ島で経験出来なかった青春だった。



今思うと恥ずかしいけど、勇気を持って伝えた。結局は付き合えず、友達になってくれた。それもそのはず、彼には可愛い彼女がいたんだから。



断られても好きで、彼は優しかったから、会うたび、挨拶してくれたりしてくれた。そうされると照れてしまい、目を見られなかった。純粋な女の子だったと今では懐かしく思うわ。




2年目の5月ごろ、彼を食事に誘った。彼はあからさまに私に興味ない素振りを見せ続けた。一方的に私だけしか話さなかった。全部質問ばかりでそりゃ楽しくないよなと思うよ。



帰りにどこか寄る訳でも無く、駅まで歩いた。



彼の最寄り駅の東皇線の改札へ向かう道中、私は勇気を振り絞って聞いた、あわよくばと思っての発言だった。




「好きでいて良いですか?」



と言ったら、彼からの反応は……



「別にいいけど好きになる事は無いから」



と言われた。



決して振り返らない彼を見送り、帰りの電車で泣いた。




そこからは彼の事は綺麗サッパリ忘れようとした。

彼を見かけても無視する様になり、話しかけない様に忙しい振りをした。



会わない様にしたかったけど、和裁部と洋裁部でファッションショーをやったり、イベントを一緒にやったりするので会わない瞬間は無かった。




今思うと、子供だったなぁと反省する。



そもそも、なぜ「好きでいていい?」などくだらない質問したのかとバカだった自分を殴りたい。



それからはノンケの事を好きになるのは良しとしても、告白しないように努力した。

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