第25話

 ハヤテ、刹那の両名を含めた幹部たちが会議をしている頃。魅夜は飲み物を購入する為に自動販売機のある場所へと目指していた。

 学校の広さは校舎が東と西にあり、南にある体育館へは渡り廊下が存在している。北には校庭が存在し、陸上競技に必要なトラックを中央に周囲にテニスコートが存在している。広大に拡大された訳では無いが、狭くも無い事を考えると広い方だと言えるだろう。


 「……」

 

 そんな校舎内で、渡り廊下の途中にある自動販売機に辿り着いた魅夜。彼女は目を細めながら、やや見上げる目線でボタンへと手を伸ばした。


 「ん……んっ!」


 ――ピ……ガタン。


 微かに背伸びをしても届かなかった彼女は、少しジャンプをしてボタンを押した。ガラガラと音を立てながら落ちてきた飲み物は、紙パックのジュースだった。

 そのジュースを取り出し口から取った瞬間、飲もうとした時に彼女は知っている者と目が合った。


 「「……あ」」


 目が合った人物は、朝まで匿う為に寝泊りをさせていた由良茜だった。彼女は茜の姿を見た瞬間、警戒心を露にしながら口を開いて言った。


 「何か用?」

 「あぁ、えっと……私も飲み物を買おうかなぁって思ったんですけど……」

 「そう。じゃあ突っ立ってないで買ったら?」

 「そ、そうですね?そうしますね、あはは~……えっと、どれにしようかなぁ」


 苦笑気味となりつつ、自動販売機を指差して購入する飲み物を選ぶ茜。そんな茜のから離れようとして、彼女はその場から飲み物を片手に離れようとしたのだが……


 「何処に行くんですか?」

 「ボクが何処に行こうがボクの勝手。気安く話し掛けないで」


 行動を遮られた為、敵意を剥き出しにして彼女は茜を睨み付けた。その視線にビクッとしながらも、茜は彼女に近寄って笑みを浮かべるのであった。


 「あの、私とお話をしませんか?」

 「別にボクはお前と話したい事なんてない」

 「私はありますよ。好きな食べ物は何かな?とか嫌いな食べ物は何かな?とか、色々と聞きたい事が山ほどありますよ?」

 「それを教えて、お前に何の得があるの?何が目的?」


 さらに敵意を向ける為に睨みを強くした彼女だったが、次の茜の言葉に気が抜ける事になる。


 「私はただ――貴女と仲良くなりたいだけです♪」

 「…………は?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る