数億光年先の遠い星の話 人類文明は滅亡してしまったぜ、でもさ・・・

１４話 入れ物が変われば、中身も変わるよ

『サマルカンドへ至る道』

内務省の車両に乗り込んだソフィー達は、順調にサマルカンドへ向かっていた。

「さすが内務省の車、誰もが道を開けるぜ」

運転席のデューカはご満悦だ！

前方にちょっと厄介な軍の検問所が見えてきた。

２機のやたら重装甲な兵士が見えた。

こんな内務省の車では、簡単に制圧されそうなくらいの重武装重装甲型アンドロイド兵だ。

「どうする？ソフィー」

「どうするの？コーヒー博士」

コーリー博士は、微笑み、

「コーヒー！？懐かしいね、あれは良い飲み物だった。

また一度飲んでみたいもんだな」

ソフィーとデュ―カの思考回路に、コーヒーの味覚が浮かんだ。

ソフィーは微笑み、その微笑にデューカは微笑んだ。

「で、どうするの？」

コーリーはコーヒーを飲む仕草をし堪能した表情をしながら、

「そのまま進むべし」

「大丈夫なのか？」

「軍は内務省の様な特務機関には頭が上がらん。

いつの間にか存在が消えていた。なんて誰だって嫌だろ。

だから、逆に弱気に出たら怪しまれる。

とりあえず最低限の礼儀として『内務省だ開けろ！ポンコツども！』とでも叫んでおけ」

「マジで？」

デューカは「大丈夫なのか？」とソフィーに意見を求めた。

「もしかしてデューカくん、ビビってる？

君は陸軍が恐いのかな？無難なデューカくん」

ソフィーがにやけた。

「まさか・・・」

マシンガンとか持ってると、自分が強くなった気がして、強気になれるが、基本ビビりなのだろう。

「デューカくんって、反乱軍なんてやっているから、粋がってはいるけど、人類だった時は、今以上に弱々しくて相当真面目な少年だったよね」

「そんな事ねーよ！しかし、ソフィー、お前は変わったな。

人だったころは静かで清楚な美少女だったのに・・・」

「入れ物が変われば、中身も変わるよ」

「入れ物・・・」

「まあ、正確には着ている物って言った方がいいかも。

着ている物に合わせて中身も変える。

変える可能性があるなら、私は変わっていきたい。

人から機械に変わったのに、何も変わらないデューカの生き方は、尊敬するけどね」

コーヒー博士は、口を挟んだ。

「変わらないと変えられないは違うが」

そう言っているうちに、検問所は近づいてきた。

検問所のアンドロイドの２機は、思ってた以上に重装甲重武装だった。

ソフィーとコーリーはにやけながら「さあ言え」と視線を送った。

「やばい連中め！」

デュ―カは、ソフィーとコーヒー博士に言うと、気合を入れた。

検問所の重装甲重武装の兵士の姿と視線が合った。

弱気なデューカが少しだけ意識に出てきたが、

「おいコラ！内務省だ！さっさち道を開けろ！ポンコツども！

お前らの過去も未来も消されたいのか！」

兵士は、慌てて検問のゲートを開けた。

思いのほか上手く行ってデューカはにやけた、だから調子に乗って、

「ご苦労、兵士諸君！」

と兵士をねぎらった。

重武装重装甲の２機のアンドロイド兵は、デューカに対して美しい敬礼をした。

デューカの表情に安堵が零れた。

検問所を抜けると、サマルカンド市の明かりが見えてきた。

つづく