10話 思考処理速度の快楽
『サマルカンド郊外・峡谷』
霧は更に濃くなり、アンドロイドたちの視界を奪った。
装甲騎兵を従えたハミルは、アローン兵たちが放置されている場所へと、足を進めた。
雲行きが怪しくなった空には、稲光が輝き、装甲騎兵たちは空を見上げた。
装甲騎兵とは言え、頭上に雷が落ちれば、頭脳の電子機械が一瞬で焼け焦げてしまう。
アローン兵1000機は、うっそうと茂った草地にスクラップの様に放置されていた。
「一機、いくらすると思ってんだ。誰だか知らんが、栄光あるアローン兵をこんな目に合わせやがって」
装甲騎兵の一機が呟いた。
その周辺では参謀兵に率いられた、その栄光あるアローン兵5000機が、ハミルと装甲騎兵2000機を静かに包囲した。
>内務省部隊の通信遮断、完了
>空軍の通信遮断、完了
>了解♪
身を潜めたソフィーのすぐ目の前には、装甲騎兵たちをサマルカンドから搭載して来た車両と、それを警護する僅かな装甲騎兵が見えた。
深い霧に遮られた空軍のサーチライトが、ソフィーの周辺を薄っすらと照らした。
>作戦開始♪
ソフィーの命令と同時に、ソフィーの思考回路の中に、一斉に動き出したアローン兵12000機の、視覚、聴覚、触覚情報が流れ込んだ。
ソフィーの思考処理速度は、通常の1000倍に達した。
その処理速度は、もちろん違法だ。
思ったことが、想像を超えるスピードで動く快感。
12000機を同時に動かす快感は、今まで感じた事がなかった。
ソフィーは、心が震えた♪
つづく
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
毎週、土曜日更新です O(≧∇≦)O イエイ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます