5章 最近、強くなった太陽風のせいかも知れない。

1話 機械たちは視線を交わす。

『西都・サマルカンド』


正午過ぎ、戒厳令の解かれたサマルカンドは、再びデモ隊が蜂起し始めた。


内務省サマルカンド支局公安局の大型モニターには、サマルカンド州全域の民衆蜂起状況が、映し出された。


デモ隊は表面上『人類に似た生命体の追放反対』を訴えてはいるが、本質的には評議会に押し付けられた、『5000年に及ぶ停滞』に対する反感がある事は、誰の目にも明らかだった。


5000年前、人類は進化を急いだ挙句、滅亡に至った。


人類滅亡後、政権を握ったアンドロイド評議会は、滅亡を防ぐべく停滞政策を推し進めた。

サマルカンド各所で起こった民衆蜂起は、鎮圧に当たった装甲騎兵に押され、

ハミルの目論見通り、鉱物資源企業団公社ビルへと向かっていた。


「所詮、烏合の衆か・・・」


昼下がりの静まり返った自身の内務省の執務室で、ハミルは失笑した。


ハミルの副官のリカは、失笑するハミルを無表情のまま見つめた。


直通回線から、

「鉱物資源企業団公社ビルに、アレム神父か匿われている可能性があります」

と連絡が入った。


「了解した」


ハミルは、自らの手柄の予感に、身震いがした。

機械でも身震いはするらしい。ハミルは自嘲した。

リカは、自嘲するハミルを無表情のまま見つめた。


「α部隊で、直接鉱物資源企業団公社ビルを押さえる。

リカは、ここで指揮を頼む。私はα部隊を直接指揮を取る。」


「了解しました」


ハミルはリカの返事を確認すると、静かな足取りで精鋭α部隊が待つ警備局へと向かった。リカは、ハミルの後姿を、無表情のまま見送った。




『首都郊外・地下鉄遺跡』


ソフィーは参謀の青いレンズが、知的に見えた。


参謀を見つめるソフィーを、デュ―カは見つめ、その様子を銀髪のアンドロイドは見つめた。


そんな中、参謀は説明を続けた。


「偵察の結果、この地下鉄坑道は、サマルカンド郊外まで3線、繋がっている事が、確認されました。我々はアローン兵を3隊に分け、この地下鉄坑道3線を使いサマルカンドへ接近します。」


ソフィーは、デューカとチラッと視線を合わせた後、参謀に質問した。


「現在のサマルカンドの状況は?」

「昼過ぎから、民衆蜂起が再発している模様です。サマルカンド防衛の主力の装甲騎兵は鎮圧に追われ、我々は空軍の警戒さえ抜ければ、鉱物資源企業団公社ビルには、難なく辿り着けるでしょう。」


「何か言いたい事は?」


ソフィーは、銀髪を見て言った。


「別に・・・無い」


デューカは、無表情のまま銀髪を見た。

銀髪のアンドロイドも、無表情のままデューカを見た。


そんな中、参謀の青い視野レンズは、何故だが解らないが笑っていた。



つづく



いつも読んで頂き、ありがとうございます。

毎週、土曜日更新です O(≧∇≦)O イエイ!!

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