19話 花売りアンドロイド

早朝、花売りアンドロイドのサクラが花屋に出勤してくると、店の前に大柄なアンドロイドが一機で立っていた。


一目見ただけで、一般アンドロイドでは無いことが解った。

目つきが違っていた。


人の顔の筋肉を模して造られたアンドロイドの表情も、生活環境や感情によって、その癖はやはり表情に現れた。


「朝早くから、申し訳ないが花を届けて貰えないだろうか?」


「どちらへ配達ですか?」


「宇宙港のある部署の者なのだが、今すぐにでも、構わないかな?」


サクラは「宇宙港は今閉鎖中のはず」と疑問に思いながらも

「まだ、昨日の売れ残りしかございませんが」

と。


「ああ、構わないよ。ありがとう。」

「どの花になされます?」


大柄なアンドロイドは周囲をやたら警戒していた。


「あ・・・花の種類ね。専門家に任せるよ。」

「それでは、どのような方に送られます?」

「全てお任せします。」


と言ったきり話す意思がないかのように、サクラと視線を外した。


サクラがスミレを中心に花束を作ろうとしたら、大柄なアンドロイドが慌てて、


「鉢植えに鉢植えにしてくれないか。鉢植えを5つぐらい。」


検疫やセキュリティーの関係から、鉢植えの土などを、一般の業者が納入することはまずなかった。


サクラは疑問に思いながら、パンジーの鉢植えを選んで、花屋の運送用の車に乗せた。


そして、大柄のアンドロイドと伴に、宇宙港へ車を走らせた。



つづく  

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