15話 人類の少女

ソフィーは工兵に、アローン兵がかぶっている兜の様なセラミック製のヘルメットを進められた。


それは、一般のアンドロイドたちが恐れるアローン兵の象徴的な黒い兜だった。

ソフィーは少しの躊躇した。

この惑星のアンドロイドたちに、恐れられる存在になりつつあることへの躊躇だ。


「アンドロイドたちに取って命綱の発電所を爆破し、英雄カーンを倒したテロリストの頭目」


ちょっと前まで、一般アンドロイドだった身としては、悲しい響きだ。


しかし記憶装置が露出しているのは、やはり心もとなかった。


ソフィーは仕方なく黒い兜を受け取ると、自ら装着した。

黒い兜は、新品の電化製品の匂いがした。


少しだけ参謀が、嬉しそうにしたような気がした。




『首都・評議会議長室』



議長は自らの執務室で、巨大なモニターを眺めていた。

そこには、人類に似た生命体を乗せた宇宙船内の、一般公開されていない映像部分が流されていた。


映像には交渉に当たった内務省担当官と宇宙港の公安職員、そして宇宙船側の代表らしき、まだあどけない少女が、映し出された。


彼女は内務省担当官相手に、礼儀正しく受け答えをしていた。

その姿は、文化の違いがあるにしても、到底野蛮には見えなかった。


野蛮であるべき存在が、清らかな品性を備えている。


「忌まわしい連中め。

議会や教会の圧力が無ければ、公の場で瞬く間にこの惑星から消してやるものを」


秘書に促されて、内務省特殊部隊隊長ハミルが議長室に入ってきた。


「ハミル、私が何を望んでいるか、解るな?」

「はい」

「では、以上だ」



つづく



いつも読んで頂き、ありがとうございます。O(≧∇≦)O イエイ!!

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