12話 停滞を余儀なくされた時代に・・・

テントの中でサムエルが、陸軍の動静を説明した。


「陸軍が投入してくる数は、カーン少佐率いる推定1個師団約1万2千」


「200に1万2千もか!」


デューカは言った。サムエルは


「あちらはこちらの正確な数を掴んでない以上、現在投入できる限りの兵を、投入してくるはずだ」


人類愛好会の面々の顔は戦慄した。

ソフィーは無表情のまま、机に広げられた作戦地図を見ていた。


サムエルは続けた。


「陸軍は我々を包囲して、仕掛けられたトリップを解除しつつ、その包囲を少しずつ縮めて行く作戦をすると思われる。我々は塹壕に立てこもりこれを迎え撃つ。」


デューカはサムエルと視線が遇うと、


「勝算は?」


と。サムエルは静かに首を振った。

ニナは、付け替えた腕を弄りながら聞いた。


「ねえ、何で陸軍はこちらの正確な情報を掴んでないの?

陸軍ってプロじゃん、プロが素人集団の人数も掴んでないって、不思議じゃない?

何か私たちの知らない要因があるんじゃない?」



      ☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡



【保守派】人類社会で使われた意味とは、かけ離れている。

【メンテナンス最重要派】と、表現した方が解り安いかも知れない。


惑星表面に社会を築いている以上、自然災害の被害は免れない。

アンドロイドの部品を供給する工場施設の損害は、アンドロイドの活動を大きく制限しかねない。


工業製品に生存活動を頼らざる得ない事は、有機生命体に比べ、脆い社会構造だ。


惑星政府は、半導体を初め主要工場を、政府管理下にし、幾重にもバックアップを敷き、災害時に安定的に部品供給を可能にした。


政府の厳しい管理下に置かれた情報産業は、技術革新は保守の名の元制限され、停滞した。


それはソフトウェアーにまで及んだ。


停滞を余儀なくされた時代。


図書館の地下倉庫の古い冒険小説の隅に、そんな停滞の時代を生きるプログラマーたちが思いついた、斬新なプログラミングが、落書きの様に書き込まれていた。




つづく 


いつも読んで頂き、ありがとうございます。 O(≧∇≦)O イエイ!!

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