19話 銀髪にしたら私の全てをあ・げ・る☆彡
「仕方ない・・・」
コーリーは、呟くとアレム神父の後を追った。
「博士、俺はどうしましょう?」
銀髪のアンドロイドは、どうでも良さそうに、コーリーの後姿に問いかけた。
「お前は、発電所制圧に参加しろ」
「え~こいつらと一緒っすか」
やる気のない声で、銀髪は返事した。
「気持ちは解る。十分すぎるほど、その気持ちは解る。
我々の様な高貴なアンドロイドには辛いだろうが、だがそれはそれだ!
逆に高貴だからこそ、ほぼスクラップの連中に慈悲を見せねばならないのだ!
見て見ろ、高貴なアンドロイドをみるスクラップたちの羨望の目を!」
かなりインチキな部類に属するコーリー博士は、タップダンスを踏んだ。
まるで地団駄を踏んでいるようにしか見えないのだが、コーリー博士としては、高貴な証なのだろう。
「いや・・・うん・・・お前らに、高貴さの欠片も見つけられないのだが」
デューカはすかさず反論したが、銀髪のアンドロイドは「見ろ!この高貴なしるしを!」とばかりに銀髪をなびかせた。
そのちゃっちい銀髪に、そこまでの自信を見せるのが引くのだが。
そんな自信に満ちた銀髪のアンドロイドに、ソフィーは失笑しつつ声を掛けた。
「久しぶりね」
「おう、お前みたいな人間臭いアンドロイドなんか会いたくなかったけどね。
腐れ縁って奴?」
「気が合うね。私もあんたなんかには会いたくなかった。
相変わらず銀髪も似合ってないし・・」
「ひどいね~お前が『銀髪にしたら私の全てをあ・げ・る』って言ったからしたのに」
「それはさ~、あなたが可愛い美少女アンドロイドだった時の話でしょう。
何!そのごっつい機体は!声も変えたし!
幻滅だよ。もう愛でれない・・・」
「俺は俺だろ!」
コーリーは急ぎ足で歩く、アレム神父に急いで駆け寄った。
「神父、これからどこへ行かれる気ですか?」
「教会だ。教会に帰ってゆっくり今後の事を考える。」
「教会に帰っても、あなたはすぐに評議会に引き渡されます。
そんな事も解らないのですか。
とりあえず、私の話を聞いてください。時間は取らせません。
神父様ともあろうお方が、迷える子羊である我々の話をお断りになるのですか?
そうですよね、迷える子羊を救うなど、教会にとって建前に過ぎない。
実際、誰も救えない。整備員の方がずっと救いますよ。
善意の神父を装い、教義を押し付け、寄付を巻き上げ、権力を維持する」
もし、大衆に慕われる神父のままであったなら、激しく叱責したはずだ。
それは体制を守る立場として染みついた習慣だ。
コーリーがアレムの腕を掴んだが、アレムは振り払わなかった。
「神父、反論なされないのですか?」
「・・・」
「機械による偽りの善意、偽りの教義、偽りの神・・・
そんな偽りの世界があなたの居場所ですか?
解りますよ。あなた方、体制側の機械たちは、人類との接触によってもたらされる変化を恐れている。違います?」
つづく
いつも読んで頂き、ありがとうございます。O(≧∇≦)O イエイ!!
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