第21話 エピソードある仲間達

赤木

「じゃあまずは、そこのゲリラみたいな冒険者グループから」

「俺達からか?」

「ああ。頼むぜ」

最初になったモヒカン男達が仕方ないと肩を落とし、語り始めた。

「名前は?」

「バラター。フードの女はアレイ、そこの脳筋がボルトだ」

「誰が脳筋だ?」

脳筋と言われたボルトがバラターに突っ込む。

それに皆が笑う。

「出身は?」

「王国から少し離れた田舎さ。見た目はこうだが、村ではちゃんとしていたんだぞ」

「分かったよ。続けろ」

「ある時、俺達が冒険者をやって数年後、俺達の村に帝国がやって来て、村を焼き払った。俺達は幸運にも村に来ていたから何とか撃退したが、村の半分が死んだ……」

バラター、急に重い話になったぞ。

「そんな時に姉御が来てくれた」

「姉御?」

「レイチェル=スカーレット。俺が唯一尊敬する姉御だ」

「レイチェルが?」

クラン大佐が驚くように質問した。

「ああ。姉御とその部隊が村の再建を手伝って、村に活気が戻ったんだ……あの時はマジで姉御が女神だと思った」

アレイとボルトがうんうんと頷く。

「だから、俺は姉御に憧れ、改めて立派な冒険者になると誓ったんだ。村を手助けする為に、姉御に認められる為にな」

なるほど。そのレイチェルっていう兵士に憧れて、冒険者のランクアップに勤しんだのか。

いい話だ。

「レイチェルは俺達の仲間、そしてボスの妹だ」

「そうだったのか」

「え!?」

「え?誰ですか?」

ボスの妹を少しだけ知っていた俺とセレナは驚き、それを知らない五月は率直に言った。

俺はクラン大佐の代わりに説明する。

「セベラル王国軍司令官ゼロール=スカーレットの妹だ。確か二年前の魔人戦争で謹慎をくらったはず」

「その通り。レイチェルは今王国の施設で精神医療を受けている。謹慎としてな」

「姉御が……そうか……」

複雑だろうなあ。

尊敬する姉御が魔人戦争で謹慎しているとな。

「アレイとボルトはバラターの友人か?」

「まあ、そうよ」

「バラターに誘われて冒険者をやっている。最初は大変だったが、今日まで何とか過ごしているよ」

「なるほど、ありがとうバラター。次はそこの自衛隊装備のリーダー」

椅子に座っている自衛隊装備のリーダーが次の番となった。

「俺か。俺は佐々木兵長だ。一応軍直轄の冒険者だけどな」

ん?佐々木?

「もしかして、日本人か?」

「そう。育ちは静岡だ。あそこのお茶が恋しいよ」

「見張りをしている二人もか?」

「ああ。山田伍長と鈴野上等兵も日本人だ」

「……日本が恋しいか?」

「ああ。だが、この世界で家族が出来ちまった。日本には行けたら行きたいな」

寂しそうに言う佐々木兵長。

だから、日本の陸上自衛隊の戦闘服を着ているのか。

そして、日本人らしい喋り方も出身が日本なら納得がいく。

「ところで赤木」

「何だ?」

「まだ沼津のアイドルは残っているか?」

「ああ。最近は二代目に変わって、武道館でライブをやっている」

「そうか。それだけ気になったんだ」

「ところで、誰が好きなんだ?」

「オレンジ髪の夏狩ちゃんだ!」

「主人公押しか。俺はニコルンが好きだ」

「あー!分かる!ニコルンはあの決めゼリフがあるから、アイドルの中で人気があるんだよ!」

「おお!分かるか?あと、主人公の幼なじみの沙智子がいたよな」

「ああ」

「去年にその沙智子の声優さんにサイン貰って、握手したわ」

「マジっすか!凄え!さすが転生者!」

いや、それは関係ないだろ。

「セレナさん。マスターが何を話しているのか分かりません」

「多分ラブライフの話をしていると思うけど、他の皆がポカンとしているよ」

おっと。深く佐々木兵長と話してしまった。

「兵長。ラブライフの事はまた今度話し合おう」

「おう!分かった!」

「……楽しそうで何より。ボスや零、メリーがいれば盛り上がったけど、まあいいや、次は俺達だ」

ここで第二部隊の話か。少し気になるな。

「おお~。遂にモナカちゃんと先輩の熱いお話が出来るのだな!イェ~イ!」

「いや、それは話さない」

「ええ~?釣れないなあ~」

「モナカ。先輩をからかわない」

「分かっているよ~」

なぜかクラン大佐とモナカとフランの雑談となったが、クラン大佐がすぐに修正してくれた。

「俺はアメリカのバージニア州育ちだ。ボスの部隊に入った時にモナカとフランに会ったんだ」

「私はハワイ島出身で~す。よく小さい頃から銃を撃っていたよ~」

「私は二人と違って日本出身。六本木で育って、ボスの傭兵会社で働いている時に二人と出会ったの」

「そうなのか……てか傭兵会社?」

「ボスはこの世界に召喚される前は世界傭兵会社の社長をやっていたんだ。世界の紛争にはボスの会社の傭兵が一番介入していたの」

「ちなみに本部は東京。当時世界の人が憧れた職業だったんだぞ」

傭兵が憧れの職業って。

「まあとにかく、そこでモナカとフランに会ってすぐに友達の関係になったんだ」

「私とフランは二年後に入社したけど、先輩はイケメンで社内の女子達で人気だったんだ~」

「ちなみにその時、先輩はモテている自覚無し」


『ハハハハハハハハハ!』


「大佐、鈍感系かよ」

「マジで自覚が無かった」

嘘だろ?本当に無自覚系男子じゃないか大佐よ。

「先輩はね~、私がからかうと~、赤くなってムキになるんだ~」

「馬鹿にされている感じがしてな」

すると、クラン大佐の部下からこんな一言。

「今もそうですよね?」

「締め上げて腕折るぞ」

「あの~、大佐。顔がガチなので勘弁してくれませんか?」

「安心してくれ、上等兵よ。このモナカちゃんが何とかしてくれましょう~!」

と、少し豊満な胸をポンと叩くモナカ。

「何をする気だ?」

「え~?数年前のあの事をバラすだけですけど~」

「ごめんなさい、マジで勘弁してください」

おい!大佐!秒で負けるなよ!

「ふふふ。こうすれば、先輩もイジれない訳ですよ~!」

「く……モナカめ……」

悔しそう大佐。頑張ってくれとしか言えない。

「先輩、一つ良いですか?」

「何だ?フラン」

「最近、モナカと過ごしている時間が多いですよね?私は先輩の何なのですか!」

突然クラン大佐に怒るフラン。

何だか昼ドラの修羅場の雰囲気になったぞ。

「いや……それは……」

「この前、町でレストランに行くとこ、見てましたよ」

「み、見ていたのか……」

「いつもモナカばっかり……私は寂しいの!先輩が……私と一緒じゃないと嫌なの!」

「オーケーオーケー、とりあえず落ち着いてくれ」

「先輩……せっかく許可貰って多妻制の申請をして二人を妻にしたのに、子供がたくさんいるのに……」

あ?ちょっと待て!何かおかしな部分があったが。

俺の気持ちを読み取ったのか、プリスキンが説明してくれた。

「この王国の結婚には特例があってな。同じぐらい愛があれば、妻を二人にする事が出来るんだ。あまりいないがな」

ええ~。まじですかい?

「だから、町で男一人の女二人のカップルがいるんだ」

「マスター!また一つ賢くなりました!」

五月!これは賢くならないぞ!あと、んな事を覚えるな!

「大佐、平等に愛しているだろう?なら、フラン中尉の事、しっかり愛しな」

プリスキンがクラン大佐を諭す。

フラン、中尉だったのか。

じゃあモナカは?

「私は太尉だよ~」

フランより階級が高かった。

「プリスキン、有難く受け取るが、お前も娘をちゃんと構ってあげろよ」

「へ?」

「はい?」

「ん?」

「え?」

プリスキンに……娘?

「知らないのか?ほら、お前らと一緒に住んでいるシノっていう少女、プリスキンの血の繫がった一人娘だよ」

「え!そうなのか?」

「ああ……言ってなかったな。あまり会ってはいなかったが、シノは俺の娘だよ」

「少佐。黙っているなんて、俺達とても驚いたんですが……」

「いちいち畏まって言うわけでもないだろ」

「プリスキン、シノと隠れて楽しく話しているの、知っているぞ」

「!どこで!」

「この前、夜リビングで話しているのを偶然、偶然!見てしまったんだよ」

「わざとらしいな。気のせいか?」

「ハハハ。マサカネー」

「マスター、棒読みですよ?」

五月、少しシャラップ。

「まあ、これで俺達の話はいいだろう。最後は……赤木、お前で締めるか」

「待て。他の奴らが話していないぞ」

「今、時間は十一時だ。お前とセレナの生活リズムを崩したくない」

子供扱いするな。

「まあそういう事だ。赤木、お前の話を皆に話せ。何でも良い」

最後は俺の話で締める事になった。

いや何でや。

決められたから話さないとだが、何を話そう?

ん~~~。

「まあ、適当に最初から話そう。俺は元は静岡出身だったんだが、俺が五……いや六歳の頃に東京の親戚の家に預けられて、中学の頃、新宿のマンションで一人暮らしをしたんだ」

「何で親戚の家に?」

「両親が事故で亡くなったからな」

「……すまん。悪い事を聞いた」

「いや、過ぎた事だ。気にするな」

「続けろ」

「小学校の頃、親の約束で強い男になる為に空手、剣道、柔道、ボクシング、射撃、ケンカ道を極めた。小学時代をそれに捧げたが、おかげで小学五年にはすべてを極めて、強い男になったんだ。苦労はしたがな」

「マスター、すごいです!」

「ありがとう。それで、いろんなエピソードがあるから、何にしようか迷うんだよな。何にしようか……」

ん~。やっぱりあれか。あれにするか。

「決めた。これは俺が中学二年の頃の話だが……」

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