第20話 過激派掃討へ

翌日

セベラル王国から南に七十キロ

赤木

俺達が到着した頃には、既に皆が集まっていた。

クラン大佐の第二部隊十二人、モヒカン男の冒険者グループ三人、陸上自衛隊装備の冒険者グループ三人、そして俺達五人。

全員が集合地点に集まった。

「全員集まったな。付近に敵はいない。予定通り南の街を目指す」

「ってあれ~?赤木君のグループが一人増えているよ~」

「皆さんはじめまして。私はマスターのバディ、五月です。よろしくお願いします」

知らないグループに丁寧に自己紹介する五月。

「これは……一体」

「この左腕のデバイスの機能の一つだ。詳しい事はまた後にしてくれ」

「了解。全員、これから進むぞ。心してかかれ」

そのクラン大佐の言葉の後、俺達は過激派が潜伏していると思われる荒廃した街に向かった。

モヒカン男の冒険者グループがポイントマンとして前に、俺達は左を、自衛隊装備の冒険者グループが右を、クラン大佐の部隊が他の所をカバーし、警戒しながら進んだ。

モヒカン男冒険者グループのモヒカン男の武器はAKS47、フードの女性がAKS74U、ドレッドヘアのマッチョな男がPKPペチェネグを構えながら警戒して進んでいる。

見た目は怖いが、やることはしっかりやるグループみたいで、連携しながら進んでいる。

陸上自衛隊装備の冒険者は、89式小銃、M24SWSボルトアクション式ライフル、M249SAWマシンガンを構えて進んでいる。

腰にはP220。

基本的な自衛隊装備だ。聞いた話だと、軍直轄の冒険者らしい。

こちらもしっかり連携しながら進んでいる。

第二部隊はというと、隊長のクラン大佐はHK46マシンガン、G18、副隊長のモナカはG36Kアサルトライフル、六インチのM686、フランはソップモッドM4、デザートイーグル、他の隊員は様々だ。

HK416、SCAR-L、SCAR-H、G36C、MP5、MP7、M240B、M60E3、M1014、HK417、M40A5など様々な武器をそれぞれ装備している。

腰の拳銃はP226。

彼らは軍直轄の特殊部隊だから、しっかりとした装備で、グレネードやフラッシュバン、スモークグレネードを装備しており、更にはガスマスクや暗視スコープも装備している。

多極面の状況にも対処できる素晴らしい装備だ。

俺達はいつもの戦闘服で、俺はM4A1、HK45、セレナはM92F、プリスキンはM16A1、M1911、ボブスキーはAK-12、五月はAUG、MP5KHC、ウイルソン45口径拳銃を装備している。

五月は筋力値が高く、100連ドラムマガジンのサブマシンガンを装備している。

他はいつも通りだ。

「なあ」

警戒を部下に任せたクラン大佐が俺に話し掛けた。

「あの子、動きが良いな。元軍人か特殊部隊か?」

「いいえ、俺の趣味が混ざったバディです」

「お、おう。ところで、この人数なら大丈夫だと思うか?」

「まあ実力のあるメンバーだからな、大丈夫だろ」

「そうだよな。変な事を聞いてすまない。戻るよ」

クラン大佐は部下と共に警戒を続けた。

それにしても、剣持ちや槍持ちなどの冒険者を見ないな。衰退しているのか?

まあ銃の方が距離を取りながら戦えるから、銃に変更する冒険者が増えているのだろう。

ちなみに、作戦に参加している全員には無線用のイヤホンが支給されている。

お互いに連絡や報告をする為だ。

歩いて三十分、目的の街に着いた。

建物のほとんどが崩壊し、ボロくなっている。

クラン大佐が指揮し、残っている建物の制圧を指示した。

それぞれのグループに別れて、建物の制圧を続けた。

だが過激派は見つからず、それどころか人のいる気配も感じられない。

俺達は三度目の建物の突入をする。

前から、俺、五月、プリスキン、ボブスキー、セレナの順番で建物の一階を制圧する。

この建物は二階が崩れていて、上に人はいなさそうだった。

「ここにもいないか」

「他の所もそうらしいぜ」

「この建物で最後だ。皆の所に集まろう」





建物を出て、街の大通りに集まる。

「おい。かれこれ一時間は探しているが、過激派の一人も見当たらねぇ。どういうことだ?」

モヒカン男がイラつきながら言う。

「警戒して奥に隠れているのでしょう」

そう言う89式小銃を持った自衛隊装備の冒険者のリーダー。

「どうする?後は大通りの奥のわずか五つの建物だけだ」

「それらを制圧して、他の所に進もう」

「見つからないなら、それはそれで一番だ」

「じゃあそれで…………」

「全員隠れて!」

五月が突然叫び、全員遮蔽物に隠れる。

「どうしたの?」

「奥の建物からスコープ光が」

「何だと」

奥の建物は一棟の三階建ての建物しかない。

俺は顔を上げ、確認すると、三階の窓からスコープ光が光った。

やば!

慌てて伏せるのと同時に遮蔽物の車に弾が撃ち込まれた。

スナイパーか!

奥の建物からここまで数百キロは離れている。

一定の間隔で他の仲間に狙撃している。

仲間は遮蔽物に隠れていて、弾は当たっていない。

間隔があるって事はボルトアクション式ライフルか。

それも銃声の音が重いから、300ウィンチェスターマグナムか338ラプアマグナムのスナイパーライフルを撃っている。

「皆!顔を上げるな!狙撃されるぞ」

「どうする?ここじゃあ狙い撃ちされるぞ」

「俺は右端にいる。建物を通りながら接近する」

「分かった。お前ら、いけるか?」

クラン大佐が自衛隊装備の冒険者に聞く。

「もちろんです。回り込みます」

「俺達もカバーする」

ゲリラの冒険者グループも協力するようだ。

「分かった。俺達がスモークグレネードを投げる。煙幕でスナイパーが見えないうちに建物に入れ」

了解。と回り込むメンバーが言い、走る準備をする。

第二部隊の隊員数名がスモークグレネードを投げる。

数秒後、煙幕が張られた。

「今だ!」

俺達は右の建物に走り、中に入った。

スナイパーは左の建物に入ったグループを狙撃しているようだ。

あっちに気を取られている内に、前の建物に入る。

すると、左に回り込んだグループから銃声が鳴り響いた。

見ると、ローブで顔を覆われた過激派の戦闘員が冒険者グループと戦っていた。

やはり、どこかに隠れて待ち伏せていたんだ。

となると、俺達の方にも来るな。

その予想通り、スナイパーのいる建物から過激派の戦闘員六人が向かって来た。

「来たぞ」

すると、その戦闘員六人はクラン大佐の第二部隊の援護射撃で撃たれて倒れた。

スナイパーは今度は第二部隊に注意が向いた。

その内に移動する。

スナイパーのいる建物に何とか近づいた。

左の味方はまだ戦闘を続いているようだ。

「スナイパーは孤立している。俺一人で片付ける。お前らは後ろに回り込んで、味方を助けろ」

「一人で平気か?」

「ああ」

「分かった。行け」

俺以外の仲間は左の味方の救援に向かい、俺はスナイパーのいる建物のドアを蹴破った。

急ぎ足で一階を制圧し、二階に上がる。

二階の制圧の途中、スナイパーの銃声が止んだ。

さすがにバレたか。だが遅い。俺はもう三階にいるぞ。

三階の二つの内の一つをすぐに制圧し、スナイパーのいる部屋に近づく。

おらあ!

思いっきりドアを蹴破り、中に突入する。

そこには防弾板で覆われた窓と置かれている狙撃銃が。

あれ?スナイパーは?

「喰らえ!」

と左からスナイパーがナイフで攻撃してきた。

ドアに隠れていたのか!

俺はすかさずライフルで防御し、そのライフルをスナイパーに投げ、怯んでいる内に拳銃でスナイパーを片付けた。

スナイパーは為す術なく倒れた。

「スナイパーを排除」

無線で皆に報告する。

『やった!私達の所も制圧しました。あなたの仲間の救援、感謝します』

『助かった!借りが出来たな』

『分かった。俺達も……うお!』

突然奥から複数の銃声が鳴り響いた。

『後ろから過激派の増援だ!援護を!』

マジか!

俺は投げたライフルを窓に置き、置いてあった338ラプアマグナムのM98Bを持ち、バイボットを広げて防弾板の上に置き、狙撃態勢をとった。

横にはたくさんの予備マガジンが床に置かれていた。

俺はM98Bのボルトを引き、ライフルの八倍スコープを覗く。

大通りの真ん中で、第二部隊が後ろから来る過激派の戦闘員と交戦しながら後退している。

俺は木で隠れながらAK102を撃ちまくっている男を狙撃する。

男のアーマーを貫き、内臓を破壊し、男を倒した。

次は第二部隊に接近している戦闘員を狙撃する。

右からセレナ達が援護に入り、過激派の戦闘員を倒していく。

このまま過激派を殲滅させる。

そう思った時、奥から防弾盾のある荷台が走りながら、マシンガンで味方を攻撃していた。

ああ、クソ!

俺は何度狙撃し、マガジンを交換しながら狙撃するが、防弾盾は硬く、ラプアマグナムを防ぐ程硬かった。

俺は防弾盾のマシンガンの狙撃を止め、他の過激派の戦闘員を狙撃する。

すると、モヒカン男がモロトフ、火炎瓶を投げ、マシンガンを燃やした。

燃やされた戦闘員は悲鳴をあげながら倒れていった。

エグっ!

火炎瓶で燃やすとか。ってお!

数百メートル奥で遮蔽物にスナイパーライフルを置き、狙撃しようとしている戦闘員が見えた。

させるか!

俺はM98Bの引き金を引き、スナイパーの戦闘員の頭をぶち抜いた。

うわ。ラプアマグナムだから、頭の半分が……てかグロ!

どうやら俺が狙撃したスナイパーが最後で、過激派の戦闘員を殲滅させたようだ。

『マジで危なかった。助かったぞ、赤木』

『さすがマスターです!』

『援護助かったぜ!』

仲間から称賛の無線が。

「礼は良いから、早くこっちに来い」

『了解です、マスター!』

『待ってろ。今そっちに……ってやべえ!』

『おらあ!』

スコープの中に、建物から現れたゾンビに驚いた自衛隊装備の男にモヒカン男の八インチのM629リボルバーが火を噴き、ゾンビの頭をぶち抜いた。

『すまん。助かった』

はあ。ヒヤッとした…………ってえ?

大通りの奥から複数のゾンビが……って戦闘員の服装のゾンビだ。

まさか、やられてゾンビ化したのか!

『やばい!かなりの数いるぞ!』

『マスター!狙撃して援護してください!その内に皆がマスターのいる建物に逃げ込みます!』

「分かった!早く来い!」

俺はスナイパーライフルで近づくゾンビ化した過激派の戦闘員を次々と狙撃していった。

マジで数が多い。眠っていたゾンビも来ているな。しかも走っている奴らもいやがる。

そう思いながら狙撃していると、ついに弾が切れた。

うわ。降りて合流しよう。

弾切れのM98Bを置き、M4A1を手に取り、一階へと降りた。

「赤木君!」

「マスター!」

「来たか!こっちはゾンビの対処を行っている!」

第二部隊の隊員や冒険者グループがゾンビの侵入を銃を撃って抑えている。

「隊長!裏口を出たら、奥へ続く門が!」

「よし!この家の補強状態なら、しばらくはゾンビは入ってこない。その内に裏口を出て逃げるぞ!」

俺達は裏口へと出て、門をくぐり、門を閉めて、セレナの魔法で門を開けれないようにした。

俺達はこの緑の草原を走り続け、ゾンビの声が聞こえなくなるまで走った結果、岩が散在している所までいった。

「ハア……ハア……ゾンビは?」

「来ていません。逃げ切れたようです」

「ハア……ハア。つ、疲れた……」

モヒカン男が荒く呼吸しながら言う。

「やっぱり過激派、いたな」

「待ち伏せていたようだが、一部はゾンビにやられていたな」

「奴らの隠れ家どこだよ?」

「探すしかないよ~」

「仕方ない。進むぞ」






さっきの戦闘で疲れた俺達は更に前に進んだ。

本当に疲れた。どこか休める場所を……

「おい。見てみろ」

と俺に言ったプリスキン。

見てみると、大きな二階建ての建物が。

「運が良い。ここの安全確認をしたら、ここで休憩しよう」

クラン大佐の指示に全員が喜び、興奮しながらその建物の制圧を始めた。

どうやら過激派の隠れ家みたいで、あちこちに神聖教のマークが入った旗が飾られていた。

一階を制圧し、二階も問題なく制圧。

この隠れ家を完全に制圧した。

その後、全員一階の中央ホールに集まった。

「この隠れ家は最高だ。周りは柵で囲まれ、中は大量の武器や弾薬、保存食糧がある。見張りに最適な屋上の監視台がある」

「ちょうど良いぜ、ここで休もう」

「ああ、見張りは……」

「俺と佐藤がやります」

そう言ったのは自衛隊装備のM24SWS使いとM249SAWの二人。

後は第二部隊の三人だった。

「分かった。頼む。他は休めよ」





「ふぃ~」

俺とセレナと五月は手頃なソファーに一緒に座り、持っていた銃を近くに置いた。

過激派の奇襲からそこからの反撃、そしてゾンビの大群。

いろんな事があり過ぎて、色々疲れてソファーでぐったりした。

そんな俺を隣の二人が労う。

「お疲れ~、赤木君」

「お疲れ様です!マスター!」

「ああ。ドッと疲れた……」

特にゾンビ処理が。

このホールには別のソファーに座っているゲリラの冒険者グループ、プリスキン、ボブスキー、第二部隊のクラン大佐、モナカ、フラン、六人の隊員がその場にあった椅子やベッドに座って、銃の点検、仲間同士で話し合っていた。

「マスターの狙撃、見事でした!ゾンビを次々とヘッドショットです!」

「まあ、ゾンビは頭が弱点だからな。そこばっか狙って狙撃していた。まあ何発か外れたが」

「それでもゾンビをたくさんスナイプするなんて、さすが赤木君だよね」

スナイプとはFPS用語で狙撃という意味だ。

「どこで鍛えていたんだ?」

とクラン大佐が質問してきた。

「リアルでちょっとな」

「なるほど。だいたい分かった」

本当かよ。

「それにしても、仲が良いな、三人は」

「は?」

「いや、両手に花だなあと思ってな」

確かに両隣には可愛いセレナと五月が座っている。

クラン大佐の言っている事は正しい。

「はい!マスターは私の愛するマスターです!」

「赤木君は……私の初恋の人で……私を認めてくれた優しい男の子です」

さらりと恥ずい事を言うな。

俺が恥ずかしくなるわ。

「む!セレナさん!マスターは私が貰いますので、引っ込んでください!」

「あら?私に口答えするの?いくら赤木君のバディでもちょっと怒っちゃうなあ」

「器小さいのですか?」

「あはは」

何でサラリと腰の拳銃を五月に向けるんだ?セレナよ。

「上等です」

五月も対抗して拳銃をセレナに向けるなあ!

しかも弾入りで、安全装置外れているし!

「お?修羅場か?」

「いいぞ!やれやれ-!」

おい!特殊部隊の隊員が、はやし立てるんじゃあねぇよ!

「おい。セレナ、五月。とりあえず落ち着け」

「赤木君」

「マスター」

「俺はな~二人が仲良くしてくると~嬉しいなあ~」

棒読みで二人に言う。

疲れてそれぐらいしか出来ない。

「む~。マスターがそう言うなら……」

「赤木君が言うなら、分かったよ。五月と仲良くするよ」

「よろしくお願いします、目狐」

「ん?聞き間違いかな?」

「気のせいですよ~」

「「あっはっはっ。殺すよ(殺しますよ?)」」

これはあれかな?ケンカする程仲が良いってやつか?

……いや、とても仲が悪そう。大丈夫か?

「そうだ。皆聞いてくれ」

「どうしましたか?隊長」

「俺の住んでいたアメリカは、ある特徴がある」

「何だ?」

「女はエロい」

周りから笑いが起きる。

「何でか分かるか?早くヤりたいからだ」

「ハンサムなボーイをな」

俺が続けたら、皆が笑ってくれた。

「日本人にも特徴があるぞ」

「何だ?」

「男はすぐに性知識を学び、女を口説く」

「それで?」

「良い雰囲気になったら家にお持ち帰りさ」


「ふふふ……」

「くくく……」


「お前がもし、セレナをいじめる美女がいたら?」

「その美女を懲らしめて、セレナを助ける」

「どうやって?」

「正規の方法がダメだったら、非合法のやり方で懲らしめる」

「赤木君らしいね」

「それでこそマスターです!」

「で、セレナを抱く」


『ハハハハハハハハハハ!』


「台無しだよ!」

「あれ?そう?」

「もう!」

俺の体をポカポカ叩くセレナ。

うん。可愛い。

「ちょうど良いな皆で会話しようぜ。お互いにな」

そのクラン大佐の言葉によって、それぞれ皆が話をする雰囲気となった……

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