第19話 第二部隊

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セベラル王国から南に四十キロ離れた草原

赤木

この世界に転生し、八月を迎えた。

俺達は次々と冒険者の依頼を達成していき、

順調にランクアップへの道を進んだ。

その結果、Cランクに昇格し、冒険者としての名を上げた。

Cランクになると、自然と他の冒険者が噂する。

この世界に転生したと言われる二人が結成した冒険者が、次々と難易度の高い依頼を達成していき、力を上げていると。

実際、セレナが魔法攻撃で牽制して、俺達三人がライフルで魔物を狩る感じでセレナが良い仕事をしてくれている。

俺達が有名になったせいか、銃を手に取る新人冒険者が増えているようだ。

武器屋のおっちゃんは銃が売れて喜んでいた。

ただ、使い方を知らないから、アミリア陣営の冒険者に教えを請うているようだ。

アミリア陣営の冒険者は全冒険者の四割を占めている。

俺達もその陣営に入っているから、様々なバックアップを受けている。

一方、軍でも動きが。

クラウザー達傭兵がいた大神殿跡地に無線機が発見され、調査の結果、別の国の捕獲派の連中から連絡を受けていたようだ。

セベラル王国の捕獲派、殺害派の連中は消えたが、国外にはまだいる。

引き続き監視を続けているそうだ。


「見つけた。仕留める」

俺が修理を終えたアメリカ製のM4A1を撃つ。

ランクアップした俺達は今、こちらに近づく魔物化したイノシシを次々と仕留めている。

遠くからだんだん近づくのを待ち、俺達の間合いに入ったら、俺とプリスキンとボブスキーの三人で仕留めて続けている。

今は俺が仕留め、次はボブスキーの番だ。

「次は俺だな。出来れば複数で来て欲しいぜ」 

「そうなるかもよ」

探知魔法で魔法を探していたセレナが答えた。

「前方から三十体以上来ているよ。これは三人でやった方が良いかも」

「しょうがないな。二人共、出番だ」

「行くぞ、赤木」

「俺、さっき交代したばかりなのに……」

M4A1を持った俺と、M16A2を持つプリスキン、ロシア製のAK-12を持つボブスキーが並び、腰だめでライフルを構える。

「奴らが引っ掛かったら撃つぞ」

「早く引っ掛かれ」

あとイノシシの魔物が進んだら、仕掛けたクレイモアが作動し、奴らを吹き飛ばず。

さあ……引っ掛かれ……頼むぜ……

と願っていると、ピンポイントにイノシシの魔物がクレイモアに引っ掛かった。

クレイモアの赤外線に触れ、クレイモアの爆発に巻き込まれた。

「今だ!撃て!」

プリスキンの号令で、ライフル三丁の一斉射撃を開始した。

全員が光学サイトで覗き、イノシシの魔物に照準を合わせ、五、六発でイノシシの魔物を仕留めていく。

プリスキンとボブスキーの二人は軍人だったから命中精度が高い。

俺もアバターのステータスの恩恵で狂いなくイノシシの魔物を仕留めていく。

そしてボブスキーが最後のイノシシの魔物を仕留め、イノシシの魔物の大群を殲滅させた。

「お疲れ~。後で歯や角を採取しましょ」

「そうだな、セレナ」

俺はセレナを呼びかける。

「何?」

「ハグはどうした?」

「ふふふ。忘れていないよ」

セレナが期待通り、俺にハグした。

「これで俺はまた頑張れる」

「私も……」

俺とセレナがイチャイチャしている傍で、プリスキンとボブスキーが生温かい目で俺達を見た。

「クソッタレ。このリア充が」

「嫉妬しているのか?お前も作れよ」

「簡単に言うな、この馬鹿」

「誰が馬鹿だって?」

「おい、お前ら。採取して、撤収するぞ」

プリスキンに呼ばれた俺達は仕留めたイノシシの歯や角を採取し、馬車でセベラル王国に戻った。







セベラル王国 東町 とあるレストラン

「いや~、このステーキは美味いなあ」

依頼を終えた俺達は東町のレストランで夕食をとっていた。

俺はステーキ、セレナはハンバーグステーキ、プリスキンは焼き肉丼、ボブスキーはロースカツカレーを注文し、さっき届いて一緒に食べている。

この世界の食文化も地球と変わらず、俺の知っているメニューが多くあった。

「そういえば、プリスキン、ボブスキー。改めて聞くが、お前らどこ出身だ?」

「俺はアメリカのロス生まれだ」

「俺はロシアのモスクワだ」

「なるほど。良い町で育ったんだな」

「まあな」

「私達日本とは違うのね」

「日本だって良い国さ。だろ?」

「そうね」

「明日は植物採取だ。簡単な依頼だが、気を抜くなよ」

「分かっているさ」

と、四人で雑談していると店内が騒ぎ始めた。

「何だ?」

「おい。店の中に特殊部隊が何人もいるぞ」

店の入り口にはSAT装備の特殊部隊員四名が店の店主と話していた。

「まさか、俺達に用がある訳じゃあないよな?」

「残念ながらこっちを見てる。俺達に用があるみたいだ」

特殊部隊員は店主と話した後、俺達がいるテーブルに来た。

「赤木さん達冒険者ですよね?我々に同行願います」

「その前に所属と目的を言え」

「これは失敬。私達は第二部隊の隊員です。隊長からの指示であなた達四人を連れて来いと言われております」

「第二部隊?」

「この国の実働部隊の一つだ」

プリスキンが補足説明をする。

「つきましては、軍の依頼で、私達はあなた達を召集しに来ました。同行願います」

「俺達を召集するって事は緊急事態か?」

「ええ。説明は後ほど」

「どうする?赤木」

「気になるし、こいつらに付いて行こう」

「ありがとうございます。外に車を待機させていますので、乗ってください」

俺達は第二部隊の隊員に促され、用意された車に乗り、とある場所に向かった。

その場所とは……もちろん軍基地の作戦司令室である。

そこに俺達が入ると、2グループの冒険者達と特殊部隊員が集まっていた。

冒険者はゲリラみたいな服装の男女三人と、目出し帽を被った陸上自衛隊装備の男三人。

特殊部隊員は茶髪のイケメン顔の男と銀髪の可愛らしい少女、黒髪に稲妻のメッシュが入った少女、彼らに従う特殊部隊員が数十人集まっていた。

こいつらが召集されたメンバーか。

それなりに実力のある集団を選んだのか。

「SAT装備やSWAT装備の青の戦闘服を着た隊員は第二部隊のメンバーだ」

「ほとんどが目出し帽で顔を隠しているが、三人顔を隠していないな」

「馬鹿野郎。その三人は第二部隊のエリートだ。男の名はクラン。軍でも活躍したベテランだ。銀髪の少女はモナカ、黒髪の少女はフランだ」

「モナカって人から魔力を感じるけど……」

銀髪の少女を見ていたセレナがプリスキンが質問する。

「モナカは魔法が使える。部隊唯一の魔術師兼特殊部隊の副隊長だ」

「するとクランって男が隊長か」

「そうだ。第二部隊を率いるリーダーだ」

と話していると、第二部隊隊長のクランが呼びかけ、集めた理由も含めて話し始めた。

「今日は召集に従い来てくれて感謝する。俺は第二部隊隊長のクラン大佐だ。今日集めたのは他でも無い。緊急事態による緊急召集だ」

「何かあったのか?」

俺は素直にクラン大佐に質問する。

「ああ。本日未明、国外で防衛任務をしていた兵士十名が襲撃を受け、射殺された」

「何だと?犯人は?」

「神聖教の過激派だ。他にもこの王国に所属している冒険者達が次々と過激派に襲撃され、次々と死者と負傷者が増え始めた」

「過激派は何と?」

自衛隊装備の男の一人が質問した。

「犯行声明が出ている。この国への宣戦布告だ」

「何!?」

「嘘だろ!」

「つまり……」

「ああ。戦争状態に突入した」

クラン大佐が重苦しく全員に話した。

「戦争……だと……理由は?」

「不明だ。しかし、きっかけは赤木、セレナ。お前達が転生した頃からだ。過激派達もそれをきっかけに活動的になった」

「過激派は全員神聖教の信者か?」

「その通りだ」

「で、大佐殿。俺達冒険者は何をすればいいんだ?」

ゲリラの冒険者のリーダーのモヒカンの男がクラン大佐に依頼内容を聞く。

「冒険者達は過激派達が潜伏している街に入り、俺達と共に過激派を掃討しろ。報酬は高く弾むぞ」

「がっぽがっぽだよ~」

銀髪の少女が嬉しそうに言った。

「まあ、そういう事だ。サポートしてくれたらボーナスもある。やれるか?」

ゲリラの冒険者は、

「金がかなり弾むなら、やるしかねぇ。いいだろう、引き受ける!」

自衛隊装備の冒険者は、

「分かりました。引き受けます」

そして、俺達は、

「まあこの国には世話になっている。もちろん引き受けるぜ」

と全員が依頼を受ける事に決めた。

「助かる。全員名のある冒険者達だ。期待する」

クラン大佐は俺達に礼を言った後、作戦の説明を始めた。

神聖教の過激派達が潜伏している場所は、ここから南に数十キロ離れた荒廃した街で、無人機で過激派のメンバーと思われる人影が映ったらしい。

街はアフリカ風の街で、石レンガで作られた家や建物が多い。

そこまでは車で近づき、街に着いたら降りて、過激派の掃討を行う。

だが過激派も丸腰では無い。

当然武器を持っているし、魔術師もいるはずだ。

危険な依頼だが、この王国に危険が及ぶのは避けたい。

この王国にはシノ達がいる。

守るべき人がいる。

クラン大佐からの説明が終わり、作戦開始時刻は明日の朝八時に軍基地の車両基地に集合と伝えられ、解散となった。

神聖教の過激派が犯行声明?

何でこのタイミングだ?意味が分からない。

しかも、聞いたら奴らはロケットランチャーやアーマーまで装備しているらしい。

ただの神聖教のゲリラが持てる装備じゃない。明らかにどこかの国が支援している。

どの国だ?と言っても、この国以外の他の国を知らないけどな。




クラン

「行ったな」

冒険者達を見送り、第二部隊は改めて集まっていた。

「それで、あの子達は使えるの~?」

「ああ。決めたのはボスだ。間違い無い」

「けど、転生者の二人がいる冒険者も作戦に加えるのですか?危険では……」

稲妻のメッシュが入った黒髪の少女、フランが言う。

「聞けば銃撃戦でも貢献している奴らだ。大丈夫だろ」

「先輩がそう言うなら……」

「全くもう~。フランは心配症だな~」

「うるさい、モナカ」

部隊の隊員たちが笑う。

「とはいえ、あいつらは銃を持った戦闘員だ。躊躇せず殺せ。たとえ子供でもな」

『了解』

「俺達も準備だ。行け」

俺達は作戦準備の為、それぞれの場所に向かった。







21:11

南町 シェアハウス

赤木

「さて、どうしよう」

家に帰った俺達は、さっそく明日の作戦について話し合いをした。

「戦争……か。これで三度目だな」

「俺は二度目になるよ」

戦争経験者のプリスキンとボブスキーが話した。

そういえば二人は軍人だ。

戦争に参加したベテランだ。

「戦争……私も懐かしいです」

シノもプリスキン達に同調した。

シノも元第三部隊の隊員だったな。

「危険な任務だ。他の味方がいるとはいえ、今回の依頼は危険が伴う」

「どうするの?」

「…………よし!決めた!」

俺はある事を決心した。

「決めたって何がだ?」

ボブスキーが俺に聞く。

「戦力増強だ。デバイスの機能にバディ召喚がある。セレナは知っていると思うが、俺がやっていたゲームでは、バディを召喚してゲームを有利にする機能があった。バディは自分が作ったキャラで、俺が念入りに育てたから、戦力増強になると思う」

「ほう。それはまた面白い機能だ。いつ気づいた?」

「最近だけどな。だが戦力増強は良いと思うが、皆はどうだ?」

「私は賛成。今は強いメンバーが欲しいわ」

「俺も賛成だ」

「文句はない」

「よし。じゃあ選ぶか」

左腕のデバイスを起動し、バディ選択の項目を選ぶ。

俺の作ったバディはたくさんいる。

どれが良いかな?

「どんなのがいるんだ?」

「いろいろ。近接スナイパーに二丁銃使い、オールラウンダーにショットガン使い。強さはほぼ同じだ」

「俺達はどれが良いか分からん。お前が決めてくれ」

完全に俺任せか。

しかも今はバディは一人しか召喚出来ない。

魔物を狩って、その魔物の魔力を得てポイントを貯めて召喚するが、召喚するまでのポイントがとても高い。

ようやく一人召喚出来るぐらいは貯まっているが、悩むな。

うーん。オールラウンダーかスナイパーか。

この二人で悩むが、ここはオールラウンダーのバディにしよう。

「決めたぞ。今から召喚させる」

操作してオールラウンダーのバディを選択する。

「出て来い。オールラウンダー、五月!」

デバイスが光り出し、リビングの中に光の柱が現れる。

「うへぇ!何それ?」

気になってニノとユノが階段から降りて来た。

光の柱から人影が現れ、どんどん作られていく。

そして光の柱が消え、ある可愛らしい少女がそこにいた。

「…………お呼びですか?マスター」

ショートヘアの金髪に空より青いブルーアイ、俺と同じぐらいの歳で、ブレザーの学生服を着ている。

胸はセレナより少し小さいが、それなりに胸はある。

学生服には個人装備の装備品が付けられていて、腰にはステンレスのXDM-40が収まっている。

これが俺のバディの一人、五月(さつき)という少女だ。

後ろを見ると、皆がポカンとしている。

「マスター、今日はどんな用ですか?」

おお。リアルの五月は初めてだ。しっかり人間らしく動いている。

「急に呼び出してすまない。お前が必要な任務があってな、協力してくれ」

「もちろんです、マスター!この五月、必ずマスターのご期待に応えて見せます!」

敬礼しながら言う五月。

「よろしい、じゃあ作戦を説明するぞ」

「その前に一つ良いですか、マスター」

「何だ?」

「シャインさんがいるのは分かりますが、他の方々は?それにこの世界は私達のいる世界とは違う気がします」

鋭い。さすが五月。

俺は五月にこの世界の事、皆の事などを説明した。

「なるほど。ここは異世界で、魔法が使える国ですか。プリスキンさんとボブスキーさんはマスターとシャインさんの護衛で、シノさん達は同居人ですか……」

「これで分かったか?」

「はい!理解しました!」

「よし、じゃあ説明する……お前ら何で固まっているんだ?」

俺が皆を見ると、まだポカンとしていた。

そして、プリスキンが先に目を覚ました。

「おい。その子が……お前のバディか?」

「ああ。五月だ。仲良くしてくれ」

「よろしくお願いします、皆さん」

「五月!久しぶり!」

「シャインさん。お久しぶりです」

「まさか五月に生で会えるなんて。あと、私の名前はセレナよ。覚えておいて」

「分かりました、セレナさん」

「戦力増強はまあ分かったが、五月でどう補うんだ?」

それはな……

「今から教えよう……」

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