第17話 大神殿の銃撃戦

レギー

俺は復讐に燃えている魔人、クラウザーに大神殿の中に案内された。

中は白の石で作られた内装で、奥の大きな窓には、神聖教の女神と思われる女性と赤子が太陽を見ている様子が映っていた。

これはまるで礼拝堂みたいじゃないか。

俺は無宗教派だから、神を信じている奴の考えが分からんな。

分かりたくもない。

「So do you fight in such a place?It's spacious and anadvantage for you.but ……(それで、こんな場所で戦うのか?確かにお前には有利な場所だが……)」

クラウザーは鼻で笑い、奥の壇上に座った。

「Yeah,of course.Does it sound?(ああ、もちろんさ。それに聞こえるか?)」

外から多数の銃声が鳴り響いていた。

グレネードの爆発音も聞こえる。

あいつらが戦っているに違いない。

まあ、加奈子にドク、赤木達冒険者がいれば大丈夫だろう。心配はない。

「それより、英語はもう止めようぜ。ジェーンからここの言葉教わっただろ?」

「ふん。相変わらず勘の鋭い奴だ。俺が好きで英語を言っているだけだが……」

「いろんな意味で疲れる。久しぶりに英語話すからな」

「ふん。それだけここに住んで、日和った訳か」

「何が言いたい?」

「イラクでは100人殺しの海兵と恐れられたお前が、今や平和を望むようになってしまったか。はっきり言うが、残念だよ」

「そうかい。それはどうも」

「だからこそ。亡き同胞の為に、お前はここで死ね」

壇上から立ち、AKのコッキングを引いた。

俺もMK18を構える。

「ちょうど良い。魔人との因縁にも決着をつけるか」

「Can you do try?(お前に出来るかな?)」

お互いに銃を向け合う。

最後の生き残りの魔人であり、同じ米兵だったクラウザーと戦う。

少し心が痛むが、やるしかない。

「来い!クラウザー!」

「Come on Reggie!(来い、レギー!)」

俺とクラウザーの戦いの火蓋が切られる。







赤木

GS師団の傭兵と銃撃戦。

俺達の銃と傭兵達の銃が火を噴き、お互いに銃撃していた。

「カバー!」

一人の兵士が隠れてリロードし、他の兵士が援護する。

GS師団の生き残りは二十数人。

武装は前と同じAK-47、G3、RPD軽機関銃だ。

奴らも石に隠れながら、銃をぶっ放している。

俺もHK416で傭兵達をを攻撃する。

セレナは、

「ソーラービーム!」

魔法で攻撃して、傭兵達の遮蔽物を減らしていき、兵士達が傭兵が残っている遮蔽物に移動している隙を狙い、次々と傭兵達を倒していった。

「いけるぞ!奴らを殲滅しろ!」

「喰らえ!」

兵士の一人がグレネードを投げる。

「グレネード!」

傭兵は叫び、逃げるが、三人が巻き込まれた。

「この野郎!」

傭兵の一人がAKを連射して、M16A4持ちの兵士の腕に数発命中した。

「ぐわっ!」

その兵士はすぐに石に隠れる。

「撃たれた!」

「スティムを打て!」

兵士は俺が渡したスティムを思い出し、スティムを出して、下の蓋を開けて腕に打った。

すると、傷が瞬時に治り、破けた腕の服も再生した。

「すげえ。治ったぞ!」

「まだみんな戦っているよ!さっさと援護して!」

「了解です!少佐!」

回復した兵士はすぐに復帰し、隙だらけの傭兵を撃った。

「スティムは使えるな。良かった」

この世界でもスティム注射器は使えるみたいだ。

渡しておいて良かったぜ。

撃たれた兵士が、すぐ隠れてスティムを打って回復して、また傭兵を撃つ。

これならすぐに殲滅しそうだな。

次々と減らされた傭兵は残り二人になり、その二人は勝てないと悟り、武器を捨てて投降した。

「抑えろ!」

近くにいた兵士が投降した傭兵を拘束した。

これで俺達の勝利が確定したな。

あとはレギー中佐だけだ。

「うう……痛ぇよ……」

すると、近くで撃たれて負傷した兵士が倒れていた。

スティムを既に使用して、その後もう一回撃たれたようだ。

「待ってて!」

ドクがすぐに到着し、手から緑の光を撃たれた兵士に当てる。

「回復魔法です。今回復させます」

「ドク、魔法が使えるのか?」

「これだけですよ」

ドクが回復魔法で負傷した兵士を回復させ、撃ち込まれた弾を消し、撃たれた傷を塞いだ。

「これで大丈夫ですよ」

「あ……ありがとうございます、軍医様」

「その名は止してくれ。ドクって名前が一番良いからね」

「軍医様?」

俺は気になってドクに聞いた。

「魔人戦争でたくさんの負傷兵を救ったから軍でそう呼ばれ、今や国民にも浸透しているんですよ」

少し困り気味な顔で答えるドク。

「でも、嬉しいだろ?」

「はい……そうですね」

「負傷兵はまだいる。全員回復してから移動するよ」

今負傷兵の数は約五人。

アーマーでカバーされていない腕や足を撃たれている。

今、ドクとセレナ、スティムを使っていない兵士が負傷兵を治している。

大神殿からは時折爆音が聞こえていた……







レギー

「Take this!!(喰らえ!!)」

クラウザーから放たれる黒い魔力弾を横にローリングして避ける。

そしてすぐにサプレッサー付きのMK18をセミオート連射する。

クラウザーは高速のバック転で避けた。

クソ!相変わらずサイヤ人みたいに動き回るな!

「Hey!!」

クラウザーは片手でAKを連射する。

うお!

柱に隠れて、弾を防ぐ。

それでもたくさんの7.62ミリ弾が柱に当たっている。

あの野郎!AKに75連ドラムマガジンを付けていやがる!

それで長く連射していやがるのか!

と、悪態をつくとクラウザーが射撃を止め、高速で突っ込んできた。

俺は間一髪で回避する。

クラウザーが突っ込んだ柱は粉々に破壊された。

避けた後、またセミオート連射する。

何発も当たっているが、怯んでいない。

魔人の代謝機能が強いから、弾にもビビらない。

「What happened!Fight more!!(どうした!もっと戦え!!)」

「なら、そうさせてもらう!」

スモークグレネードを投げて、煙幕を張る。

「Smoke?good!(煙幕か?いいだろう!)」

視界を遮られたクラウザーがAKをいろんな方向に連射する。

ありがとよ。おかげで見えやすいぜ。

俺は慎重にMK18を構え、銃のマズルフラッシュを狙い、弾切れまで連射する。

そして、すぐにリロード。

「That's it!(そこだな!)」

すると、クラウザーがもう俺の居場所に気づき、黒い魔力弾を連射する。

やべえ!

俺はとっさに左に回避する。

魔力弾は当たったものをすべて破壊する恐ろしい弾だ。

当たったらひとたまりもない。

なら、グレネードでも貰っておけ!

グレネードをクラウザーに放り投げる。

すると、クラウザーが跳躍しグレネードの爆発を避ける。

「マジで!?」

「Take this!!」

クラウザーは窓に張り付き、AKを連射する。

俺はすぐに別の柱に隠れる。

クソ!あいつの身体能力は異常だ。

何とかしないと……

「おらあ!」

俺はMK18をセミオート連射して、クラウザーを攻撃する。

クラウザーは飛び降りて、銃弾を避けている。

何発かは当たっているが、あまり効いていないようだ。

「くそったれ!」

俺はまた悪態をつき、今度はフラッシュバンを投げる。

すぐに耳を塞ぎ、目を閉じる。

数秒後、眩しい閃光と轟音が鳴った。

俺は目を開け、銃を構える。

「Too slowly!(遅ぇよ!)」

それよりも前にクラウザーが俺を左足で蹴り飛ばした。

「ごはあ!」

蹴り飛ばされた俺は奥の壁まで吹き飛ぶ。

ぐ……クソ痛ぇ。

例えるなら猛スピードで突っ込む車に当たったみたいに痛ぇよ。

「What will you do?Is it over?(どうする?もう終わりか?)」

クラウザーに煽られる。

くそったれ……

「Game over.(ゲームオーバーだ)」

クラウザーが左手から魔力弾を放つ。

魔力弾は俺のいる所に命中した。

「…………死んだか」

「No.まだ死んでいない」

腰のM45の45ACP弾でクラウザーに返事する。

「What!?」

クラウザーはすぐに距離をとる。

「へへ。当たる前に伏せて良かったぜ」

そう。魔力弾が当たるギリギリで伏せて、魔力弾を避けたのだ。

まあ爆風は防げなかったが、吹き飛ばなくて良かった。

で、油断している隙に腰の拳銃でクラウザーの肩を撃ち抜いた訳よ。

「ぐ……」

「どうした?顔色が悪いぜ?」

撃たれたクラウザーはとても痛そうに肩を掴んでいた。

「モンスターバレットか」

「ご名答。軍が対モンスター用に開発した特殊弾だ。化け物でも撃ち殺せる程威力があるぜ」

「…………まさか、その弾を拳銃に仕込んでいたとはな……」

「残念だったな。ライフルはどっかに飛んでいったが、拳銃の弾ならある程度はあるぜ」

いや、ライフル失ったのはかなり痛い。

どうしようか?拳銃一丁はさすがに心許ない。

「ふふふ。くははははははははは!」

「何が可笑しい?」

「さすが少佐を殺した男だ。それなりに腕が良い。なら、本気を出そう」

すると、クラウザーは弾切れのAKS-74Uを投げ捨てた。

何をする気だ?

「ふん!おおおおおおおおおお!」

クラウザーが左腕を抑え始めた。

左腕がどんどん赤黒く変化し、どんどん大きくなっていく。

腕の形が変わり、皮の薄い羽根みたいになっていく。

これは……帝国の寄生手術か!

かつて滅んだ帝国の中には、腕に魔物の血を注入し、体の一部を化け物化させるイカれた手術。

そんな手術を受けていたのか。

腕が完全に変化し、肉抜きされた刃物みたいな羽根が出来上がった。

「これが俺の本気だ!」

「イカれた寄生手術か!地に落ちたな、クラウザー!」

「Let's go,Reggie!(行くぞ、レギー!)」

クラウザーが跳躍し、俺に斬り掛かって来た。

俺はギリギリで避ける。

クラウザーが切った床はパックリ割れていた。

マジかよ!切れ味良すぎだろ!

距離を取り、クラウザーに向け拳銃を連射する。

クラウザーは左腕の羽根で拳銃の弾を防いだ。

クソ!弾が通らない!

クラウザーが左に刃物みたいに鋭い羽根を振る。

すぐに体を屈め、避ける。

すると、すぐにクラウザーが下から上に左腕を振った。

バック転で攻撃を避ける。

「今のを避けるか!」

「俺だって鍛え続けているからな!」

俺は拳銃をまた連射する。

クラウザーはすぐに左腕の羽根で防ぎ、右ストレートの攻撃をした。

距離は遠いから大丈夫…………!?

クラウザーの左腕の羽根の骨が伸びた。

慌てて屈んで、何とか攻撃を避ける。

マジかよ!伸びるのは反則だろ!

リロードしながら悪態をつく。

立ち上がり、今度は足を狙いながら連射する。

クラウザーは左腕で防ぐが、足まではカバー出来なかった。

左足の関節を撃たれ、驚いたクラウザーに回し蹴りを喰らわせ、数メートル吹き飛ばした。

「Oh……Shit.」

クラウザーが立ち上がり、距離を詰めた。

左腕の攻撃を屈んで避けて、右足の関節撃ち抜いた。

撃たれた箇所を手で抑えたクラウザーにひざ蹴りして、顔に右ストレートを喰らわせた。

「どうした?まだやる気か?」

「ふん」

よろけながら立ち上がる。

「お?」

クラウザーの体を見ると、心臓部が露出し、ドクンドクンと心臓が動いていた。

「無理な寄生手術を受けたから体が不安定になっているんだ。これ以上の戦闘は無理だろう」

「ふん。悔しいがその通りだ。この手術は体に負担をかける。命を削る腕だ。俺の命も長くはない」

「だろうな。なら、決着をつけよう」

「いいだろう」

俺は拳銃をリロードし、クラウザーは左腕を中心に構える。

クラウザーまでの距離は約二十メートル。

クラウザーの攻撃有効射程は約七メートル。

俺の手持ちは拳銃とナイフだけ。

…………よし。決めた。後は上手くやるだけだ。

「いいか?」

「ああ。どんと来い!」

「Here you die!Reggie!(ここで死ねえええ、レギー!)」

クラウザーが突撃する。

俺はクラウザーの攻撃を待つ。

来い……来い……

「Take this!!」

クラウザーが左腕を斜めに振る。

体を反らし、攻撃を避ける。

今度は横に左腕を振った。

距離があるため、バック転で後ろに回避する。

二度も攻撃が当たらなかったクラウザーはストレートに羽根を伸ばす。

少し体が抉られたが、想定内だ。

ここからだ。

ナイフでクラウザーの左腕を刺し、左腕を軸に回り、心臓部に拳銃を当てる。

「The endだ。クラウザー」

拳銃を連射し、心臓部に撃ち込む。

全弾撃ち込まれたクラウザーはよろけながら後ろに下がる。

「オ…………オオオオ…………」

心臓部は完全に破壊され、辺りから血が流れ、口からも血が流れている。

「レギー……やはりお前は…………アメリカ兵の神だ…………仲間が……お前に慕うのが……分かるよ……」

「…………」

「ゴフッ…………すみません……ジェーン隊長……今から……そちらに……いき……ま……す……」

クラウザーは口から血を吐き出し、クラウザーは倒れた。

倒れたか……

俺はクラウザーに近寄る。

…………元グリーンベレーのクラウザー。

正義感溢れ、忠誠心の強い男だった。

昔は俺と共に戦った事がある。いずれ皆を引っ張る男になれたはずだ……

それがこんな事になるとはな……昔は良い奴だったが……

「Sorry,krauser……(残念だよ、クラウザー……)」

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